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ソビエト
地下室の狭い道を駆け抜ける。 ただ、яは希望を持てないでいた。
何故か開いている、自分の部屋の窓。 何故か開いている、地下室への入り口。
яは嫌な予感がしてならなかった。 いや、予感、というか....。
いや、不安になることは考えずにいよう。 きっと、いる。彼は、きっと、ここに。 だって、あの壁が壊れる筈がない。きっと誰かが侵入して、あの壁の前で立ち止まっているに違いない。そうしたら、俺はすぐにそいつらを殺してナチスを抱えこの家から逃げよう。
ソ連は鎌と槌を構え、その壁の前へと向かっていく。
ソビエト
ソビエト
まあ、...察していた。
流石に、見て見ぬふりは、できないか。
壊された壁。 誰も居ない部屋。
яは、覚えている。 ここに、ナチスを幽閉したはずだ。
そうだ。間違っている筈がない。яは毎朝ここにソーセージを投げこんでいた。その証拠に、部屋には腐ったソーセージが大量に積みあがっている。
でも、ここに、彼はいなかった。 それが指し示すことは、一つしかなかった。
ソビエト
そう、これは何かの嘘なんだ。 悪夢なら覚めてほしい。яの希望を奪わないでほしい。
яはその場で膝をついて止まった。 яはもう何もかも終わった気がしてならなかった。 幽霊でもなんでもいいから、яの前にふっと表れてほしい。 そうじゃないなら、яは何のために枢軸国のやつらを犠牲にして、何のために今まで戦ってきたと言えばいいんだ。
冷たい地下の雰囲気がяの肌に触れる。 それが死人のような冷たさを纏っていて、яは身震いをする。
おそらく、ナチスを連れ去った誰かは、枢軸国の誰かなんだろう。 戦闘班と奪還班で動いて、奪還班がナチスを連れ去った、...という感じだろうか。そいつらはきっと開いていた窓から出て、外に逃げた。 多分枢軸のあいつらとは合流していないと思うから、どこか近くの森に隠れているか、あるいは...。
奪還班には誰がいるのだろう。 この壁を壊したということは、相当力がある奴に違いない。だけど、力のある奴は大体あっちにいたな。じゃあ誰だ? フィンランド、...とか。そうかもな。あいつは雪の森に慣れているし、それだったらもうとっくにナチスは、...。
ソビエト
ソビエト
そこまで考えて、яは思考を中止した。
ソビエト
不意にそう思った。
...ああ、なんで今まで忘れていたんだろう!
この苦しみから、責任から、どうしようもない幸せから一瞬で解き放たれる方法が、あるじゃないか。
一瞬痛いだけで、あとはもう楽になれる最高の方法が。
ルーマニアとか、そこらへんには申し訳ないけど、 結局ナチスは取り返されてしまった訳だし、もうяが走る理由もない。
そうだ。ナチスはあるべきところへ帰る。
元はと言えば、あいつらからも、ナチスからも、яからも、色んなものを奪ってぐちゃぐちゃにしたのはяじゃないか。そんなяには雲の上が丁度いい場所に決まっている。
яは腐ったソーセージの山を見つめた。 これだけあって、いくらの労働者を救えただろうか。 いくらの国を救えただろうか。 もしかしたら、ナチスも、яも、救えたんじゃないか。
そんな魔法のアイテムにも見えて、 ...また、 яの貶めてきた、殺してきた、犠牲になった人々、国々の屍にも見えた。
どうしようもないやつは腐ってここに積もる。 どうしようもないやつは腐らせてここに積んだ。 яも、ここに積まれる運命なんだ。
яは手に鎌を持つ。
ソビエト
あいつは、こうやって解放されることも出来なかったのか。 可哀想で、それをしたのはяで、心が痛む。 でも、その痛みからも、逃れられる。
яは死ぬまでにいくらの想いを踏みにじった? 数え切れる筈がない。яは今思えば夢のようでカスのような国家だった。
昔のяの言動・行動・...いろいろ思い出して、自己批判にふける。
...君が、この部屋で、心を壊してしまったように。 君が、この部屋で、実質的な死を遂げてしまったように。 яもここで朽ちることにしよう。
ソビエト
ソビエト
君が、この部屋で、壊れてしまったように。
яも、この部屋で、壊れてしまった。
君が、この部屋で、朽ちてしまったように、
яも、この部屋で、朽ちてしまおう。
反芻したその考えは、яにとっては、今この状況で一番きらきらしていて、今すぐにつかみ取りたいものだった。
яは鎌でяの首を掻き切った。
....ベチャッ、と音がする。
яはソーセージの山の方向へ倒れ込んだ。 案の定、腐って脆くなっていたソーセージたちはяの体重で押しつぶされる。
それはきっと、ソ連の死によって、 何もかも潰れてしまったルーマニアやブルガリアなどの国を指示しているのだろう。
...あぁ、なんて、むごい話。
可哀想で、救われない話。
「 」
ソ連は最後にそう言った。
その言葉は、今までの物語の始まりを辿って、行きついたものだった。
最後の一文字は残念ながら発音できなかったけど、 ちゃんと、言葉にはなっていた。
今日はきっと極悪人の命日として語り継がれるだろう。
きっと、そうに違いない!
コメント
7件
まさかのソ連自害エンド…あの後、ナチはどうなったのかイタ王達の行方は…きになる…
あぁ......ついに自♡♡♡てしまった....。ナチはどうなるの....。
まさかの終わり方!!いやぁ〜もうこの作品最高でした! よければですがナチのその後とかもみたいです! (⇧こいつ欲張り)