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イソップ
流石のイソップでも、彼女の放った衝撃的な言葉を聞き返した。
トレイシー
其れに対し、トレイシーはまた淡々とした口調で繰り返す。
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
其れを聴くと、机を挟んでイソップの向こう側に座っていたトレイシーが、唐突に立ち上がって彼の方へ向かって来た。
そのまま目の前までやって来ると、彼女は少ししゃがみ込む。
トレイシー
イソップが顔を横に向けると、そこには光の無い目を持つトレイシーが居た。
イソップ
彼女はイソップが完全に自分の方を向いたのを確認して、ネックラインを人差し指でゆっくりと下げ始める。
トレイシー
イソップ
首には、赤い結索痕が付いていた。
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
“優しい” 其の言葉を言う彼女は、何処か嫌悪感を抱いているに見えた。
トレイシー
どんな秘密でも見透かしてしまいそうな、深淵の眼には、不思議な魔性が宿っていた。
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
思いもよらぬ提案に、イソップは当惑する。
イソップ
トレイシー
然し、誰よりも其れに興味を持った。
イソップ
どんな方法でも死ねないーー 俄にも信じ難い事である。 トレイシーは一旦イソップから距離を取り、机の上に置いていた工具箱を持ち出した。 そしてまた彼の目の前で来ると、また工具箱を机に置いた。
イソップ
トレイシー
静かに、彼女の手によって、工具箱が開けられる。 中にはーー
イソップ
一丁の銃が入っていた。 其れを丁重に取り出すと、トレイシーはイソップにシリンダー部分を向ける。
トレイシー
慣れた手つきで安全装置を外し、自身の頭に銃を突き付けた。
イソップ
イソップが固唾を飲み込んだ、その瞬間
トレイシー
玩具の拳銃の様な乾いて軽い音一つ響いて、その後に銃弾が床に散らばった。
イソップ
トレイシー
イソップ
銃を頭から離して、トレイシーは一呼吸置いてから話し始める。
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
イソップはトレイシーから目を逸らした。 確かに、彼女の言っている事は的を射ている。然し、まだ彼にとっては信じられない部分も大半なのだ。
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
光無き目に、少しばかりの期待が宿った。 然し、腕は重力に従って不恰好にだらりと垂れ、彼女の足元には先程不可思議に散らばった銃弾が転がっている。 その光景は、異常であった。
トレイシー
イソップ
トレイシー
トレイシーは、空の、今となっては唯の玩具へと成り果てて仕舞った銃と弾丸を工具箱に押し込む。 その一連の動作の間でさえ、イソップは彼女に話し掛けられなかった。
トレイシー
工具箱を持ち、立ち去ろうとした彼女に、愈愈彼は一言。
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
その顔には、少しの寂しさが有ると彼女は捉えたのかも知れない。
トレイシー
彼は小さく首を縦に振る。
トレイシー
××××年 12月24日
まさかサンタクロースが実在するとは思っていなかった。 あんな人間が、この世に存在するなんて! 余りの衝撃に言葉を失ってしまい、彼女のどんな万物よりも素晴らしい提案にYESを言う事が出来なかった。 嗚呼、一品一秒でも惜しい! 早くこの時間が過ぎれば良いのに。