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3 - 祝.福のメ.シアとア.イの.塔 2

♥

236

2020年07月25日

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エーミールside

次の祝福は…

恵みの陽光… でしたっけ……?

鬱先生

…シッマ

コネシマ

んー? なんや大先生

鬱先生

……いや、やっぱなんもないw

コネシマ

ないんかよww

相変わらずあの兄弟は仲がええなぁ…

ロボロ

…なぁグルッペン、まだ辿り着かん??

グルッペン

…いや、もう少しだと思うゾ……

しばらく歩いていると、グルッペンの言う通り 『祝福』に辿り着いた

シャオロン

『恵みの陽光』… か

エーミール

(次、こそは…)

エーミールが扉に入ろうとしたとき

エーミール

…!?

コネシマがエーミールの前に立ちはだかった

エーミール

どうして…!?

鬱先生

っ… シッマ…!

鬱はコネシマに近付く

しかしコネシマは…

コネシマ

…なぁ鬱

コネシマは手を伸ばし、鬱の頭を撫でようとした

鬱先生

っ… 触んなや!!

鬱先生

その『祝福』は僕が横取ろうと思っとったのに…!

え…? 今、なんて……

するとコネシマは、取ってやったと言わんばかりの声と表情で

コネシマ

ハッ、残念やったな!!
ここの『祝福』はもう俺のもんや!

コネシマ

お前なんかにはやらんわ!

と、ありったけの声で言った

鬱先生

っ…!!

その言葉を聞いた鬱は、次の『祝福』があるであろう方向へと

悔しげな顔をして走っていった

エーミール

だ…大先生まで…!!

さっきのあの発言からして…

大先生は最初から狙ってたんか…?

それじゃ、みんなも……?

気付けば、『祝福』への扉は閉まっていた

コネシマside

コネシマ

……すまん鬱、、、みんな…!!

目の前には黄色に輝く『恵みの陽光』がある

コネシマ

……最後くらい笑顔で別れたかったなぁ…

ははっ、とコネシマの乾いた笑いが部屋に響き渡る

…それじゃ、ちょっと早くいってアイツを待つか……

そして、コネシマは『祝福』へと触れる

すると、『祝福』は眩しく光り出した

その眩しさは、目を開けるのが精一杯なほどだ

コネシマ

眩、し……

しかし、『祝福』はそれだけでは収まらず まさます眩しさを増す

すると、部屋にあるもの全てがみるみる乾いていく

それは、コネシマも例外ではないわけで

コネシマ

はっ… なんや、これ……

…『祝福』ってこんなに苦しいんや……

身体が乾いていく刹那、そんなことを考えていた

コネシマ

…まる、で俺の…心みたい、やな……w

…あぁ、死ぬ直前ってこんなに冷静なんか

コネシマ

っ… 先、逝って待ってるからな……

鬱先生side

鬱先生

はぁ… はっ……

全速力で走ったから疲れた……

でも、そんなこと言ってられない

遠くから走ってくる足音が聞こえる

鬱先生

早く… 扉に入らな……

僕が失敗したらみんなのが無駄になってまう……!

鬱は決心し、扉へと飛び込んだ

扉の内部

扉の中は暗く、『祝福』のほのかな光が 唯一の明かりだった

鬱先生

っ… 暗い

…怖い

でも……

鬱先生

兄ちゃんが待っとるから… いかんと……

鬱は震える手で『祝福』に触れる

途端に辺りは真っ暗の闇になった

ひっ…怖、い……

鬱先生

_________!!

鬱は恐怖で必死に叫ぶ

が、

もう自分の声も聞こえない

自分が今声を出しているのか、 どこを向いているのかさえ分からない

それがさらに鬱の恐怖心を煽った

嫌や…! 助けてや!

みんな…!!

鬱は恐怖と不安で暴れる

しかし、闇の中に囚われている鬱には もう何が何だか分からなくなっていた

…時間が経つにつれて鬱の動きは鈍くなっていく……

…みんな……

僕、もう頑張ったやろ…?

早く…早く僕も逝かせてくれや……

その時、鬱には大好きな兄のコネシマが見えた

コネシマ

鬱…

しっ、ま……?

僕…僕は頑張ったで…しっま?

コネシマ

分かっとる、お前は充分頑張ったで

なぁしっま、ぼくもつれてってくれや

コネシマ

当たり前やん、置いてくわけないわ

コネシマ

ほら、おいで鬱

コネシマ… は鬱に手を差し伸べる

鬱はそのコネシマの手を掴む

コネシマ

一緒にいこうや…?

おん…

闇に囚われていた鬱は、ようやく解放された

見えていた兄が本物でも、鬱の心が魅せた幻だったとしても…

エーミールside

……閉まってる

一同は鬱を追って『安息の闇』の扉の前まで辿り着いた

しかし、その扉は固く閉ざされている

…選ばれたのは私やのに……

エーミール

(欲は人を変えて…しまう?)

ショッピ

大先生……

ショッピは扉を見つめてそう呟く

エーミール

……あの、みなさん?

チーノ

? なんですか??

エーミール

…みなさんも祝福を狙っているんですか……?

エーミールが質問をすると、その場の空気が固まった

シャオロン

………

チーノ

…やだなぁ! そんな訳ありませんよ!!w

ショッピ

そうですよ! 俺等全員狙ったりなんてしません、
エミさんとさいごまで付き合いますよ!!

エーミール

……そ、そうよな…

…きっとそうや

あの4人にたまたま魔が差しただけや…

エーミール

ごめんな、こんな質問して

エーミール

…それじゃ、次の祝福に…向かいましょう…?

グルッペン

…あぁ、そうだな

ショッピ

…着きましたね

エーミール

そうやね……

扉の中で、土色でありながらも美しい『祝福』が輝いている

エーミール

揺蕩う大地…でしたよね

…早く祝福を受け取ろう

エーミールが『祝福』へと足を進めたとき

シャオロン

なぁエミさん

シャオロンの声が響く

え…? どうして今……??

…もしかして……?

嫌な予感が横切るが、とりあえず シャオロンの呼び掛けに応える

エーミール

ど、どうしましたか…?

シャオロン

シャオロン

…もし俺がさ

エーミール

はい…

シャオロン

この『祝福』を奪うって言ったら?

エーミール

え…!?

まさか、シャオロンさんも__

途端にシャオロンは、『祝福』へと足を進めた

エーミール

ま、待ってください…!

エーミールはシャオロンに駆け寄る

シャオロン

く、来んなや…!

エーミール

…どうしてですか

エーミールが問いかけると、シャオロンの足が止まった

シャオロン

は…?

エーミール

っ… どうして祝福を奪うんですか…!?

シャオロン

それ、は……

エーミール

祝福の火を灯せなかったら、村に残っている
オスマンさんやひとらんらんさん達は…!!

シャオロン

……確かにそうやで

シャオロン

でもな?

シャオロンはそう言って言葉を繋げた

シャオロン

…これは…… この『祝福』は…!

シャオロン

シャオロン

メシアが触れたらあかんのやで…!?

シャオロンのその言葉に、エーミールは一瞬固まってしまう

エーミール

………え?

どうして…?

…やって、祝福はメシア"だけ"が賜う栄光の、はず…

シャオロン

…お前、本で読んだことあると思うで

シャオロン

小さい頃から読んどったやろ…?

エーミール

本は… 読んでましたよ……?

確かに小さい頃から本は読んでいた

もちろん祝福やメシアのことについても…

でも… 祝福に触れてはいけないなん_

エーミール

っ!?

本について思い出そうとしたとき、突如頭痛に襲われた

チーノ

エ、エミさん! 大丈夫ですか…??

エーミール

…大丈夫や ちょっと頭痛がしてしもて……

シャオロン

…まぁエミさんなら分かるはずや

シャオロン

…とにかく、この『祝福』貰っていくな?

いつの間にか扉の前まで歩いていたシャオロンは、 扉の中へと足を踏み入れた

石の扉は音を立てて閉じ始める

しかしそんなことよりも、エーミールには 今1番『祝福』についてのことが気になっていた

祝福に触れてはいけない…?

エーミール

(一体どうして…?)

ロボロ

…エミさん

エーミール

え、あ… どうし、ましたか?

ショッピ

もう扉は閉まりました、
なんで次の『祝福』に……

どうやら考え事をしている内に閉まっていたらしい

エーミール

そうやね…
行こか……

シャオロンside

『祝福』ねぇ…

シャオロン

こんなもん『祝福』なんてもんやないわ…

…あー、見てるだけで腹たってくるわ

みんなも待ってるやろし、俺もいくか…

シャオロン

…エミさん頑張れよ

シャオロンはそう呟いて『祝福』に触れた

すると、床が音を立てて開き始めた

シャオロン

…あ、そういう系なんか……

シャオロンは、その開いた床に呑み込まれるように落ちていった

…結構なスピードで落ちてくなぁ

シャオロン

はは…… まるで俺の人気やな…w

そんなどうでもいいことを考えている間にも どんどん落ちていく

……最期くらい笑ってたかったのになぁ

シャオロン

どうして… 涙が止まらんのやろ……

シャオロンの目からは、今までの 思い出が映し出された涙が溢れ出てくる

シャオロン

みんな……

シャオロン

楽しかったで

シャオロンの意識はそこで途切れ、床は徐々に閉じていった

エーミールside

祝福についてのことが、思い出せそうで思いだせない…

エーミール

(私は一体、本で何を…?)

チーノ

…エミさん、本のことは1回忘れてみましょ

チーノ

1回忘れたら、ふとした時に思い出すかもしれないですし

…確かにそういう時もあるなぁ……

エーミール

…うん、分かった……

しばらく歩くと、扉が少しずつ見えてきた

ロボロ

…もう少しで『祝福』やで

グルッペン

……そうみたいだな

…あれ、そういえば

エーミールは突然立ち止まる

グルッペン

どうしたエミさん?

エーミール

いや… ちょっと思ったのですが……

エーミール

エーミール

ゾムさんやトントンさん達はまだ帰って来ないんですかね…?

ショッピ

い、いや… あれやないですか?

ショッピ

単純に帰りずらい…とか

ショッピ

『祝福』を横取っ…た訳ですし……

エーミール

あぁ… なるほど……

そういうことなら分からなくもない……

チーノ

着きましたよ… 『雷鳴の囃子』に

扉の中には黄色く輝く『祝福』がある

エーミール

(…祝福を受け取らんと………)

エーミールは扉へと足を進める

先程のシャオロンの言葉が頭に木霊し、 足が止まってしまう

シャオロン

〈メシアが触れたらあかんのやで…!?〉

エーミール

っ……

グルッペン

…エミさん

エーミール

グルッペンさん…?

グルッペンはその呼び掛けに答えず、 黙々と扉へと歩き出す

エーミール

グルッペンさん…! そっちは…!!

エーミール

祝福が__

エーミールはグルッペンを追いかけようとしたが、 足が動かない

エーミール

(どうして…! なんで……)

グルッペン

〜♪

鼻歌を歌いながら、グルッペンは扉へと入っていく

グルッペン

…エミさんは『こんなもの』知らんくてええんや

グルッペンのその言葉を最後に扉は閉まり始める

…シャオロンさんは触れたらあかんって言っとった……

だけどどうして…?

エーミール

(なんでみんなは… 自ら……?)

エーミールは疑問符を浮かべながら閉まる扉を見つめた

チーノ

……グルッペンさん…

ロボロ

…なぁみんな

ロボロ

もう次の『祝福』に向かおうや

エーミール

……そう、ですね

なんか… みんなの様子がちょっとずつ……

エーミールは少し違和感を覚えていた

グルッペンside

グルッペン

…あともう少しで集合できるな

あの3人なら安心だ…

…それに

前回この塔に登った"アイツ"も待っててくれてるやろし……

そしてグルッペンは『祝福』へと触れた

すると天井付近に真っ黒な雲が発生した

その雲から雷の音が聞こえてくる

グルッペン

(『雷鳴の囃子』… やはり雷か)

その瞬間、グルッペンの金色の髪を目掛けて雷が落ちる

グルッペン

(っ…!!)

グルッペンの意識は今にも途切れそうだ

……これが… 俺の役割や

最期にグルッペンは、そんなことを考えていた

エーミールside

エーミール

…着いた……

エーミール

旋風のロンド…やね

エーミール

……みなさん

チーノ

…どうしました?

エーミール

……みなさんの目的は一体… なんなんですか…??

エーミール

祝福を横取って… どうしたいんですか?

ショッピ

…どう、したい……?

ショッピ

…俺は…… いや

ショッピ

俺等は最初から、『祝福』を横取る気なんかないですよ

ショッピ

なぁ、チーノ?

チーノ

当たり前や!

エーミール

…でも、みんなそんなことを言って……!

ロボロ

エミさん

エーミール

は……はい

ロボロ

…俺等が『祝福』を取ってる理由なんて知らんくてええねん

エーミール

えっ……

ロボロ

"まだ"…な

ロボロはそう言い残して『祝福』へと駆ける

エーミール

ぁ………

ロボロ

……みんな、あとは頑張ってな…!

またしても扉は、音を立てて閉じ始める

ショッピ

ロボロさん…

チーノ

くっそ……!

石の扉は完全に閉じてしまった

ショッピ

…エミさん、もう次に行きましょう……?

ショッピ

俺、もう嫌です……

チーノ

は、早く次の『祝福』に…

2人が焦っている理由は分からないが、 エーミールは次の『祝福』へ向かった方が良いと判断した

エーミール

わ、分かっ…た……

ロボロside

ロボロ

…あの2人なら上手くやってくれるよな……

頼れる後輩たちのことや… 上手くやってくれるはず

ロボロ

……はやくこの仕事終わらせなあかんな

俺もみんなんとこいきたいし……

ロボロは少し震えながらも『祝福』へと触れた

すると、少しずつ風が吹いてきた

その風はだんだんと鋭くなっていき…

ロボロ

いたっ…

どんどんロボロの身体を切っていく

ロボロ

(…なんや、これえらい時間かかりそうやなぁ……)

風は休む暇なく切っていき、風の量も増していく

ロボロ

(…ただで小さい俺なんに、ますます小さなってまうやん…w)

これじゃアイツらに会った時に笑われるな…w

そんなことを考えている間にも、風の量は増えていく

ロボロ

(まぁ最期に笑いのネタが出来て良かったわ…)

これならあっちでも楽しく話せそうや…w

…しばらくすると風は無くなり、そこには 誰かが居た形跡しか残っていなかった

この作品はいかがでしたか?

236

コメント

28

ユーザー

やばい…! 表現の仕方が…!

ユーザー

……ううん? メシアの記憶が消されてるんか……なるほど……あぁ推しがどんどんと))))))))

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