結月
泣き叫ぶように懇願するが、聞く耳を持たず再び顔を近づけてくるリカルドに対して、思わず手で押し返そうとするフィオナだったが、逆に手を掴まれてしまう。そのままベッドに押し倒されてしまい、両手を押さえつけられてしまった。抵抗しようと暴れるが、リカルドの力の前には全く歯が立たなかった。
その時、部屋のドアが激しく叩かれる音が聞こえてきた。誰か来たようだ。「誰だ!?」と声を上げるリカルド。
ドアの向こうからは「陛下、緊急事態です!侵入者が城に現れました!!」という兵士の声が聞こえる。
「チッ……邪魔が入ったか。まあいい。続きは後回しだ……。」と言い残して部屋を出て行くリカルド。
フィオナはほっとして力が抜け、その場に座り込んでしまった。
シーンは再びスウィートルームに戻り、リカルドが戻ってくる。手には銃を持っている。それをフィオナに向けると躊躇なく引き金を引いた。撃たれたのはフィオナではなく壁であった。
驚いた表情をするフィオナに向かってリカルドは
「この女は人質にする。傷付けるような事はせんよ。お前さえ大人しく従えば、こいつには危害を加えないと約束しよう。」
「分かったわ……。言う通りにします。だからお母さんだけは見逃してあげて……。」
