赤嫌われ

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赤嫌われ

…こんなの、いつものこと

…大丈夫、

…どうして

こうなっちゃったんだろ、

…いや、理由は簡単か……

お母さんが…俺にだけ優しくするから

…それも、

「表」だけで

お母さんは

表では俺を愛すんだ

……裏では……＿＿＿＿…

お母さんは兄弟達には

冷たくして、…

兄弟達は

六人兄弟の中で

1人だけ

愛されてる俺のことを憎んで、

…俺に冷たくする、

そもそも俺達兄弟は

血が繋がっていない

兄弟達はお母さんの再婚相手の連れ子

俺だけ血が繋がっていない

そういうこともあって嫌われてんのかな、…

違うの、

違うんだよ、

愛されてるのは

…俺じゃないんだよ、＿＿

…助けてよ

…「助けて」

この一言を口にすることが出来たら

どれだけ楽だろうか、

お兄ちゃん達は…

愛されてるよ＿＿

もっと勉強しなきゃだな…、

そう言って

俺のことを横目に睨み

階段を上り自分の部屋に向かう2人

ｶﾞﾁｬ

毎日 毎日

兄弟からの冷たい態度

それが原因で出来た心の傷は

見には見えない

…だから こうやって

カッターを握り

自分の"手首"に赤い線を引くんだ

でもね、それだけじゃ物足りなくなってきちゃって

手首だけでなく、"腕"も傷つける

ｼｭｰｼｭｰｯｻﾞｸｯ

部屋に1人

ただただ刃物で身体を切る音だけが響く

”自傷行為”

いけないことだってわかってる、

…でも、でも、！

手は止まらなくて

気づいた頃には血まみれで。

心の傷は目に見えない

…だから 自分を自分で傷つけるの

…もちろん痛くないはずはなくて

…痛いと同時に快感に襲われる

夢中で切ってたら痛みなんて気づかない

でもね、

リスカなんてやっても良いことは1つもない

…むしろ、

やめた時に辛いことを思い出して

また苦しむだけ

だから傷つける、…それの繰り返し

…こんなの知られたら

気持ち悪い…って思われて

余計に嫌われちゃうかな、

…俺もこんなの自分が大っ嫌いだよ

そして…生きてる限り

夜は来る

…次は

目に見える

傷をつけられる

ｶﾞﾁｬﾝ…

ｶﾞﾁｬ

ﾎﾞｺｯﾄﾞｶｯ

ｶﾞｼｯ((赤の頭を掴む

ﾄﾞｶｯﾎﾞｺﾎﾞｺｯ

ﾄﾞﾝｯ((赤を突き飛ばす

…ｯ ﾀｯﾀｯﾀｯ

ｶﾞﾁｬ

うわ…

あざ ヤバ……

…いっか、

もう眠いし 寝ちゃお…ｯ

毎日 毎日 殴られて

助けて欲しかった、

誰かに助けてもらいたくて

辛くて、

苦しくて

…今日もいつも通り殴られるだけだと思ってた

ﾄﾞﾝｯ

凄い衝撃だった

頭と体中に激痛が走って

一瞬どうなったのか理解出来なくて

…お母さんに突き飛ばされて

運悪く机にぶつかっちゃったみたい

…なんだろ、

…頭がくらくらする、

…立てない、？

ｶﾞﾁｬｯ

…誰か、…来た、？

ど、しよｯ

お母さんに殴られてたの…バレちゃう…、

?? side

リビングから鈍い音が聞こえて

気になって来てみたら

驚いた、

そこには

ぐったりとして動かない弟

赤に呼びかけるも反応は無し

俺は急いで赤を抱きかかえて部屋へと向かう

ちゃんと飯を食べてるのか心配になるほど

桃の部屋

とりあえず急いで手当てをしようと思い

赤の服をめくる

痣や打撲だらけの身体

そして

痛々しいリスカの跡

衝撃で思考が止まる

なぜリスカや痣が沢山あるのか

…いじめ、？

いや、…さっきの状況から考えると違うな、

…まさか 母さん、？

なんで、？

だって赤は家族の中で、

…母さんに1番愛されてたじゃん、ｯ

もしこの痣や打撲は母さんがつけたとたら、？

…赤は、

母さんに…虐待を受けていた、

ってことか、？

じゃあ普段 母さんが優しくしてるのは演技ってこと、…？

…でも、考えてみれば違和感はあったのかもしれない

毎回 毎回 赤はテストで満点をとれって言われていて、

母さんと話している時の赤は

笑顔だったけれど…

指先は震えていて

怯えていたかもしれない

赤side

あれ…、俺…

昨日 倒れて…、てか

なんで…桃にぃの部屋に…、

傷…ｯ！…ぇ、

…手当てされてる、？

ｶﾞﾁｬ

…桃にぃ、

…え、？

…やっぱり桃にぃがしてくれたんだ、

…なんで、よ

…なんでバレてんの、？…

あぁ

なんでこんなこと言っちゃうんだろ

本当はこんなこと言いたいんじゃ ないじゃんっ、

違う、

本当は…

心配してくれて

嬉しいはずなのに……ｯ

ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

ｶﾞﾁｬｯ

…あーぁ

せっかく桃にぃが心配してくれたのに

怒りに任せて桃にぃに酷いこと言うとか…

俺、…最低すぎでしょ、笑

俺 また、心配かけて迷惑かけて…

…ううん、違う

ｶﾞﾁｬｯ

赤の部屋

お兄ちゃん達の前で

素直に「助けて」って言えれば…

どうしてよ、

…違う、自分のせいだ

自分で自分を苦しめてるんだ、ｯ

"助けてください…"

次の日

あ…俺昨日そのまま寝ちゃったんだ…

喉かわいたな…

ｶﾞﾁｬ

ど、…しよ、

また何か言われる、？

…もう何も言わないでよ、

やめてよ、ｯ

…は、？

…"痣は"って、

…もしかして

リスカしてたこと…バレた、？

"自傷行為" って…

もう…全部ばれてんじゃん、

"表" ではね、

もういいや、

「つらかった」

「助けてほしかった」

…どうしてこの一言が言えないんだろうなぁ…、

誰かに慰めてもらいたいって思ってしまう

ｶﾞﾁｬｯ

…お母さん、…帰ってきたの、？

なんでお母さんのこと庇ってるんだろ

みんなが助けてくれるかもしれなかったのに

いいなぁ…俺も心配してもらいたい

傷の手当てなんて…お母さんしてくれないもん、笑

なんで、泣いてんだろ

その場の空気に耐えきれなかった俺は

外へと駆け出した

気づいたら屋上まで来てて

ここから飛び降りたら死ねるんじゃないか

なんて思ってしまう

自然と死ぬことは怖くなかった

この苦しみから解放されるんじゃないか

そう思うと

フェンスの向こう側へと足を進めていた

俺は飛んだ

はずだった

「桃にぃ」

そのまま俺は引き上げられた

ｷﾞｭｯ

数年後

ｶﾞﾁｬｯ

ﾁｭｯ

そして

赤い彼と桃色の彼の

左手の薬指には

小さなダイヤモンドがきらめく

指輪がはめられたそうです

❦ℯꫛᎴ❧