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中学最後の夏休み。 俺はどこの高校に行こうか悩んでいた。

いや、美月と同じ高校ならどこでも良いのだか、 それを言ってしまうと告白になってしまう…

俺はまだ、告白の決心がついていなかった。

翔太

どうしよっかなぁ…

俺が悩んでいると、後ろから声がした。

美月

ここ好きだね。

翔太

んだよ桜井かよ…ビビったぁ…

美月

ねぇ池田くん、高校決めた?高校でも野球は続けるんでしょ?

翔太

え?あぁ…

翔太

いや、俺は…

美月と一緒ならどこでも… そう言いかけたが、寸前で言葉を飲み込み、 そのことを忘れるように俺は首を振った。

美月

でた首振り王子w

翔太

んだよ首振り王子って

美月

だってピンチになると、
インコースもアウトコースも全部のサイン首振っちゃうじゃん

翔太

俺って、みんなからそんな風に呼ばれてんの?

美月

うん

翔太

えぇ…

美月

うそうそ私だけ。スコアつけながらずっとそう呼んでた。
優柔不断な首振り王子って。

翔太

おいマネージャーw

こんなことを話していると、またも後ろの方から声がした。

あの!この辺りで“死体”見ませんでしたか?

翔太

死体⁉︎

美月

死体⁉︎

私と翔太は陸に連れられ、死体があるという場所に来た。

しかし、そこには死体など無かった。

美月

ここに死体が?

はい。これっす。

そう言って陸はスマホで画像を見せてきた。

全く動いてなかったんで、多分、死んでると思います。

美月

…え、待ってこれ殺人事件だよね?

翔太

だったら先に警察行けよ。

行きましたよ。でも、もう死体が無かったんすよ?

美月

…ん?

死体があった辺りを見てみると、何か黒い本のようなものが落ちていた。

美月

ねぇあれなに?

翔太

手帳だ。

翔太がそれを手に取り、パラパラと中身をめくる。

美月

それって殺された人のじゃない?

翔太

何も書いてない…あ。

なんか落ちましたよ。

それは何かのメモのようだった。

美月

ん?ミツ…イブンコ?イブンコってなんだろ?

…あ、俺分かったかもっす。ついてきて下さい。

美月

え?うん。

美月

なるほどね。

三井文庫ですよ。

翔太

そりゃそうだろ。なんだよイブンコってw

辺りを見回すと、折り畳まれた謎の紙が。

これ、何すかね?

美月

ん?なんだろ

開けちゃっていいっすかね

翔太

おう。

美月

檸檬を…仕掛けろ…

美月

ん?

M

お前が人を殺すところを見た

美月

は?なにこれ。

翔太

どうした?

美月

見てこれ。お前が人を殺すところを見たってメッセージ来たんだけど。

翔太

誰からのメッセージだよ。

美月

Mって人。

誰っすかMって

美月

知らないってば。気持ち悪っ

翔太

…それってもしかしたら、宮田のMじゃね?

美月

え、宮田ってあのテニス部の宮田くん?

翔太

あいつ、前に櫻井にフラれたろ?その腹いせでこんなの送ってきやがったんだよ。
絶対そうだ。

美月

…えぇマジで?

翔太

そういえば、あいつ今日、帰りにエコルとごしに寄るって言ってたぞ。

美月

エコルとごしに?

翔太

いた?

ううん。どこにもいなかった。

美月

いないじゃん、宮田くん。

宮田くんを探していると、遠くから聞き覚えのある声が。

浦山

おお、池田!

美月

あ、浦山先生!

浦山

おお櫻井も一緒か。何やってんだ。

翔太

宮田見ませんでしたか?

浦山

宮田?見てないな。そんなことより池田、お前読書感想文の提出明日までだぞー
内申に響くから、ちゃんと出せよ?

翔太

あぁ…あったっけ?そんな宿題…?

浦山

おいおい…梶井基次郎の檸檬だよ。梶井基次郎はな、大阪で生まれて、幼少期に父親の転勤でほんの少しだけど品川に住んでたらしいんだよ。

美月

檸檬…梶井基次郎…

先生の長ったらしい話よりも私の頭は、 「檸檬を仕掛けろ」 で頭がいっぱいだった。

浦山

ほんの少しだけど品川って接点があるんだからさ、お前さ…

美月

ねぇ分かったかも!

浦山

ん?あの、まだ先生の話終わってない…

美月

分かったかもあのメモの意味!

翔太

はぁ?

美月

だから、檸檬は、爆弾なの。

翔太

ん?は?落ち着けよ。レモンは果物だよ。

美月

だから、あれは暗号なんだって。小説読めば分かるよ。
梶井基次郎の「檸檬」の中の主人公、私は檸檬を爆弾に見立てて、
本屋に置いてくるの。

つまり、メモにあった檸檬は爆弾で、爆弾を仕掛けろってことですよね?

翔太

…?

美月

なんか大好きなミステリーっぽくなってきた!

ミステリー俺もめっちゃ好きっす!

美月

さっきのメモ、もう一回見せて。なんか分かったかも。

美月

私の推理ね。
殺された人は、爆弾を仕掛けるのが怖くなって逃げ出した。
それで、誰かに殺された。

その推理ありっすよ。
その殺された男は、人知れず活動しているある組織の一員だったってことっすよね?

翔太

待て待てある組織ってなんだよ。

爆弾を使った犯罪はほとんどが、組織的犯行なんです。

美月

その裏切り者の男の人を殺して、別の組織の人が爆弾を奪って…
あ、爆弾は檸檬の形をしてるんだよきっと。

翔太

あのさぁ…

翔太は二人の妄想合戦にはどうやらついて行けそうもなかった。

美月

檸檬の爆弾を、どこかに仕掛けようとしている…

翔太

二人とも妄想が過ぎるぞ。なんだ、最後はトムクルーズでも出てくるのか?

美月

どこかに次の暗号があるかもしれない。手分けして探そ。

分かりました。

翔太

まじかよ…(ってか俺の渾身のボケ無視かよ!)

翔太

ったく…爆弾やら暗号やら…そんなことあるわけないだろ…

俺が一人歩きながら暗号を探していると、前から陸が。

翔太

あれ、櫻井は?

え、まだ探してるんじゃないすか?

翔太

え?

翔太

(ったく、あいつどこ行ったんだよ…電話してみるか…)

プルルルルル…プルルルルル…

翔太

…え?

俺が美月に電話をかけたその瞬間、

美月の着信メロディが、目の前のベンチの下から流れ始めた。

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