しゆん
しゆんはてるとのことは知っていたが、家にはまだ来たことがなかった。
しゆん
ガタン
軽く音を立てて馬車が止まった。
しゆん
固く覚悟を決めて馬車から降りた。
てると?
偽のてるとは待ちきれない様子でしゆんの手を握ってくる。
しゆん
適当に返事をしながら辺りを見渡す。
すると茂みに紛れてキラリと光るものがあった。
しゆん
手に取ると、てるとが履いていたガラスの靴だとすぐにわかる。
てると?
しゆん
怒りを抑えようとしても言葉の圧に現れている。
てると?
てると?
しゆん
てると?
てると?の顔は青ざめている。
てると?
と、急いで足を少し前に出して薄く笑った。
しゆん
しゆん
てると?
しゆん
てると?
てると?は慌ててドアを開けた。
てると
てると
いくら王子様でも、こんなに早く見つけられない。
てると
王子様だからこそ、周りに目を配らないといけないし、急に抜け出してなんて来れない。
てると
てると
てると
そう、全くもって馬鹿みたいだ。
あんなに優しくても真実を知っちゃったら結婚しようなんて言ってくれない。
そうだ、もしかしたら、パーティーで婚約者を見つけてるかもしれない。
きっと、そんな子は、美人で、お金持ちで、素直ないい子で、親からも愛されて育ったんだろうな、、。
てると
何もすることがなくて、嫌なことばかりが頭を埋める
そして、冷静になってきて気がついたが、靴をどこかで落としたらしく、片方ない。
てると
ごろんと寝そべって天井を見上げた。
てると
何か、忘れているような気がする
てると
断片的に記憶に残る、ピンクのドレスと、ガラスの靴
てると
そして、自分と似たような顔が、、、
てると
お母様と、偽物の僕、みたいな人
てると
もし、もし仮に長女が僕に魔法が何かで変装して、代わりに舞踏会に行ってしまったら
てると
てると
てると
想像するだけで、本当に許せない
てると
今まで生きてきた中で1番の期待。そして、それが果たされなかった時の絶望は、きっと何にも例えられない。
てると
しゆちゃが、
てると
薬の効果が切れてきて、ようやく喋りやすくなった。そして、その切実な願いは、どこまでも届きそうなくらい、 真っ直ぐに響いたのだった。
しゆんはというと、もう家の中まで来ていた。
しゆん
本当にあと少しで全てが上手くいく
そう思うとずいぶん早いものだ。
しゆん
てると?
てると?
てると?
しゆん
ぶっきらぼうな声で答える
しゆん
お母様
全然王子を騙せていない様子に、お母様がため息をついた。
王子にバレないようにてるとの姿をした長女を睨む。
てると?
お母様
てると?
長女は悔しくて唇を噛んだ
てると?
確かに、自分は悪いことをしたかもしれない。
てると?
小声で呟く。
だって、てるとを虐めないと自分も惨めになるような気がした。
てるとを利用しないと、王子様と結婚できなかった。
てると?
それに、たまたまてるとは知らなかったが、お母様は魔法使いだった。
てると?
しゆん
しゆんは長女の肩に手を乗せ、笑顔で聞いた。
てると?
しゆん
お母様
お母様
お母様
お母様
しゆん
お母様
階段の方に歩いて行って2階に呼びかけると、次女が嬉しそうに降りてきた
次女
しゆん
次女
わざとらしい口調で問いかける
お母様
次女
てると?
次女
ちょっとしたお祭り騒ぎに、しゆんが口を挟む。
しゆん
次女はあっ!という顔をした。
次女
長女が止めようとしたのも目に入らず、咄嗟の判断で口にする。
次女
刹那、冷酷な魔王のように、美しくて感情が一切読めない笑みに、皆固まった。
王子の微笑に、お母様でさえ、動揺した。
しゆん
‥‥‥‥
沈黙
その元凶である王子は、自覚がないのかケロッとしている。
しゆん
てると?
てると?
しゆん
長女と次女は運が悪かった。ご丁寧にも、この靴はばぁうがこっそりてるとの足のサイズを測り、細かな拘りまで詰まっているオーダーメイド
さらに、履き心地が良いように、てるとの足にぴったり当てはまる、魔法の微調整付きだ。
それくらい、てるとが愛されていた。
愛していたから、しゆんもすぐに偽のてるとを見抜けた。無論、この、ガラスの靴を使って問い詰める作戦が上手くいかなくても、諦める気は微塵もない。
しゆん
残念ながら、もう逃げ場はない。
しゆん
しゆんは無邪気な声で、鋭い目線を周囲に向けながら言った。
コメント
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続き気になるー!!
どうなるどうなるどうなる