TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

第一章-5

少年の心中を慮るが

俺ごときでは到底理解できない絶望を抱えているのだろう。

少年の頭を撫でようとした手は

虚しく空を切る。

もう誰にも

撫でてもらえないのか。

その事実に気づいた瞬間

胸の中に得体の知れないやるせなさが広がった。

僕には

夢がありました。

その為に必死で勉強した...

なのに

なのに。

僕じゃない僕が

のうのうと生活してるんです!

憤怒。

嫉妬。

絶望。

怨嗟。

激情。

どす黒い負の感情が少年の周りで渦を巻き

身を切り裂くような空気と化して部屋中を駆け回る。

本棚が揺れ

写真立てが弾け飛ぶ。

さらにはベッドの下の秘蔵文庫まで舞い上がり

俺の顔面に張り付く大惨事だ。

ストップ

ストップストップ!

宙に浮く少年の顔を見上げるようにして

俺は言葉を続ける。

お前の事情はわかった

これ以上

絶望の海に沈む少年を見過ごせなかった。

出会ってまもないとはいえ

会話を交わしたのならばもう友達だ。

ノリと勢いで生きる高校生にとって

友達の定義なんてそんなもんだ。

そして

友達の涙を放っておくなんて選択肢は

高校生には存在しない。

少年を救えるかどうかは分からない。

けれど

この衝動に身を任せないと後悔するのは確かだ。

1人で背負わずに

俺にも背負わせろ。

ドッペルゲンガーを殺すかどうかはさておき

まずは一緒に作戦を立てよう。

殺害に踏み切る自信はないが

必ず別の手段があるはずだ。

それを探すことは俺にだってできる

俺は万遍の笑みを作り

拳を突き出す。

やってやろうぜ

相棒

少年がゆっくりと顔を上げる。

その目は真っ赤に充血していた。

なんで

そんな簡単に決めちゃえるの

いつの間にか敬語も外れ

少年が震える声で俺に問いかける。

協力を願ったのは彼なのだが

それを指摘するほど野暮ではない。

不安定な男子に必要なのは

包容力と愛の言葉だと誰かが言っていた。

次回作❤×410

さよなら僕のドッペルゲンガー

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

417

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚