長編集

nmmn注意

先輩後輩パロ

桃赤

青赤要素あり

「せんぱい。」

新一年生の、入学式。

予想していた事態は訪れた

俺、桃は

このとおり、モテる。

そりゃあそうかとも思うけど、

1年のときはバスケの新エースになると騒がれ

この進学校にも進んでいる

顔も…いいし

非の打ち所がねえな。

自意識過剰かもしれないが、

毎日毎日女たちが俺目当てで教室や部活にやってくる

それを見てれば嫌でもわかるだろう。

恋愛経験はない

前、ノリで女と付き合って

そいつが酷いいじめにあってからは彼女は作らないと決めた。

今日で高二になったけど、また面倒になりそうだな

その予想は、まさに的中した。

振り返ると、

まず、顔に目がいった

大きな瞳に、長い睫毛

赤い唇、

ふわふわの髪

正直、めちゃくちゃ可愛い

今まで見た中の女でダントツだ。

でも、めんどくせえやつだな

人めちゃくちゃいるのに

まあいいか、

たまにこんなやつもいるし

これで、いいだろ

そう思った矢先

…あれ

ほんとうだ

制服に目を向ければ、

ネクタイとズボンが目に入った

やばいやつに捕まったな

顔は可愛いのに。

何言ってんだこいつ

最悪な一年になりそうだ

そう思った。

まあでも、男のこいつは

俺のファンとやらになんか言われて堪えるだろ

こいつは、俺の親友ってやつだ

俺の知名度とかを気にしないでくれる

ふと、あいつの顔がよぎった

「俺を、先輩のお嫁さんにしてください！」

…やべえやつだ

その時、ガラガラとドアが開いた

今は休み時間だから、どうせ女だろ

周りの男が惚れていく様子がわかる

メンタル鬼か

そんなやつに少し興味をもった、

俺もおかしい。

ボールを回され

そのままゴールへとシュートした

ぽすんっ、と音がして

ボールが一直線に転がり落ちた

部活の練習試合でも、

ゴールが決まればうれしい。

歓声が湧き上がる

いつものことだ

そう思ったけど、違った

…おかしい

いつもなら俺の休憩時間には、女がよってたかってくるのに

どういうわけかわからないが

こいつの影響みたいだ

…使えるな、こいつ

なんで知ってんだよ…

ぼすん、とベッドにダイブする

ふと、さっきもらったお菓子に目を向ける

綺麗な包を開けて、口に放り込む

でも、面倒事になるのはごめんだ

そう思いながら目を閉じた。

今日も、頑張ってアピールする

周りから見たらお気楽なやつに見えるかもしれない

でも、本当は

結構、ダメージくらってる

前、勢い余ってみんなの前で告白して

桃くんが早々と去ったあと、

一人でいろいろ後悔して

汗流しながら泣きそうになってたら、女の子たちが味方してくれた

でも、好きなんだもん

かっこよかった、

追いかけてここまできた意味があった。

でも、行動しないよりマシだから

そう思って、また先輩の部活を見に行った

でも、少しもやもやする

この気持ちは何なんだ？

かわいい、なんて

思うのはおかしいだろうか

やっぱりうるせえ…

怖…

だめだ、

もやもやする

顔を真っ赤に染める赤

それを見て、自分が言ったことの重大さに気づいた

ああもう、

俺らしくねえ

あいつの、せいだ

もういい

これ以上俺がおかしくなる前に、離れねえと

数ヶ月前なら余裕で突き放せたのに

お前がそんなに可愛く笑うから

でも、それも今日で終わりだ

明らかな嘘

こんなに落ち込んでるこいつ、見たことない

ていうか、今日あの子こないな

やっぱりおかしい

赤くんと何かあったんだな？

そうなったら解決するのが僕の仕事！

探しに行くか

残るは、

裏庭！

裏庭に着いたら

案の定、いた。

長い睫毛や白い肌、赤い唇に

思わず唾を飲み込む

頬にある涙の跡は

儚さを感じさせた

平静を装う。

ああ、やっぱりな

こんなに、想っているのか

胸がずきずき、痛い

こんなの、分からない

あいつの名前なんて出してほしくなかった

それだけ、

それで終わったはずだ

この痛みも、

どうすればいいんだよ。

気づいたこの思いは、

まだ手に届くものだと願う

あのふたり、

何話してんだよ

こんな、人目のつかない場所で

イライラする、

苦しい

聞きたくないのに、話に耳を傾けてしまう

青の体に赤が収まる

いやだ

俺以外に、

染まるな

かっこわりいな

こんなに必死で

でも、お前を手に入れたいから

そのくらい、安いもんだ

どういう状況なのか

わからないけど、

繋いだ手が熱い

それだけわかる

さいあくだ

泣き顔まで晒して。

そう言い、背を向けた時

ｷﾞｭｯ

熱のこもった声を聞いて、思わず上を向いてしまう

そうしたら、君と目が合って

ﾁｭｯ

もうちょっとでいけたかもなのに

うっすら涙の跡をつけて

教室へ戻った

二人の薬指には、指輪が光っていた。

end.

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