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コメント
11件
お話好きすぎます…!フォロー失礼します!
ねぇありがとうございます…(?) これは泣いちゃうってぇぇぇ泣泣
こさめちゃぁぁぁーーん!!よかったぁぁぁ😭神様に感謝 ていうかもう最終回か、、、めっちゃ楽しみ!!
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 警察官パロ⚠️ 敬称に違いあり⚠️ パクリ禁止⚠️
主
主
主
26,再び、君に降る雨
春の風が、街の並木を優しく揺らしていた。
桜の花びらはほとんど散って、淡い緑が顔を出し始めている。
警察署の庁舎の窓から差し込む光が、書類の端を金色に染めていた。
日向美琴はデスクに向かい、報告書をまとめていた。
字を打つ手は迷いなく、視線は静かで落ち着いている。
制服の肩章が陽に照らされて、淡く光った。
——あれから三年。
警察官としての仕事にもすっかり慣れた。
最初の頃は電話対応だけで精一杯だったけれど、今は後輩に指導を任されることもある。
少しだけ、あの頃の須智の背中に近づけた気がしていた。
机の上には、小さな額縁。
そこには、青空の下で撮った署員たちの写真がある。
美琴の隣に立つ須智の笑顔は、どこか兄のように優しい。
そしてその後ろには、警視総監——蘭の姿。
あの柔らかな笑みの裏で、どれほどの苦労と責任を背負っているのか。
それでも、彼が国を変えていった。
静かに、確実に。
寿命抑制薬という名は、いつの間にか誰も口にしなくなった。
処刑制度そのものが見直され、冤罪の再審請求も増えた。
——世界は少しずつ、優しくなっていた。
それがきっと、心雨の願いだった。
扉の向こうから声がした。
夏希が顔を覗かせ、ちょいちょいと手招きをする。
美琴は首を傾げながら立ち上がる。
夏希はにやりと笑い、身を横にずらした。
そこに立っていたのは、小柄な青年だった。
白銀の髪に、水色の瞳。
制服の袖が少し長く、緊張したように背筋を伸ばしている。
その名前を聞いた瞬間——美琴の心臓が一度止まった。
“こさめ”。
どこか遠い記憶の底で、同じ響きが脈打つ。
思わず漏れた声に、青年は目を瞬かせた。
慌てる姿がどこか懐かしくて、美琴は思わず微笑んだ。
ゆっくりと首を横に振る。
恋雨の表情が一瞬、止まった。
笑顔がゆるやかに崩れていき、代わりに何かを思い出すような、深い息が漏れた。
夏希はその空気を察して、ふっと視線を逸らす。
それだけ言い残し、静かにその場を離れた。
廊下に二人きり。
時間が、ゆっくりと巻き戻るように流れていく。
恋雨は自分の胸に手を当て、震える声で呟いた。
涙が頬を伝い落ちる。
その雫の軌跡が、光の中で虹色に揺れていた。
美琴はゆっくりと一歩、彼に近づく。
その言葉を聞いた瞬間、恋雨は大きく目を見開き、やがて、子供のように泣きながら笑った。
彼の声が署内に響く。
どこかで誰かが振り返るけれど、誰も何も言わなかった。
まるでこの瞬間を、世界そのものが祝福しているかのようだった。
夕方。
庁舎の外は、柔らかな雨が降り始めていた。
道路に映る灯りが滲んで、まるで天と地が一つに溶け合うように見えた。
恋雨がそっと囁く。
その返事に、恋雨は小さく頷いた。
風が吹き、桜の残り花が二人の肩に落ちる。
名前を呼ばれ、美琴は驚く。
美琴は少しだけ涙ぐんで笑った。
26・了
主
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡270
主
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