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流石のすおはやさんも逃げる口実を失った事は困っただろうな …弟子を心配させるでない師匠。 忙しいなんて言いながらも投稿する主ちゃんを俺は尊敬するよ( * ॑꒳ ॑* ) 他の作品も楽しみにしてるね!
今回も素敵なお話ありがとうございます🙇♀ 察しのいい楡井くん…一体誰に似たのでしょうか……😊 お久しぶりです、お忙しい中投稿してくださりありがとうございます✨ わ、本当ですか!? あんなに素敵な作品なのに人気のでない理由がわかりません…🤔 続き投稿したらきっともっと人気出ますよ!頑張ってください!! 楽しみに待ってます💕 これからも応援してます🫶
一旦打ち切った作品をそろそろ投稿してみようかと考え直しているどっかの誰かさんです。しっかり結末まで考えて題名をつけているので、作品全てに結末はあるのですが、私の書く気力が尽きてしまったり人気がなかったりと投稿を放置している作品があるんですよね🫠 さて、とりあえずこの話は置いておきまして、またもや投稿が遅くなりすみません🙇🏻♀️時間が本当に取れなくて… 今回も選択肢はこのコメントの返信に書いておきます
悩んだ末、このまま桜を放っておくのは、友人として良くないと自身に言い聞かせ、楡井と共に保健室へと足を進めた。廊下を歩いている間、二人の間は静寂に包まれており、なんとも気まずい空気が流れていた。 楡井はずっとこちらの様子を怯えながら伺っている様だ。 そんなに怖い顔でもしているのだろうか。生憎、自分の表情は鏡でも無いと見れない。
蘇枋
楡井
何か言いたいことでもあるのだろうか。楡井は、パクパクと口を開いては閉じを繰り返す。じれったい。
蘇枋
務めて優しく、務めて笑顔で、楡井に話しかける。蘇枋の雰囲気がぱっと明るい物になったおかげか、楡井の緊張で強ばっていた身体も、少し力が抜けた様に感じた。
楡井
楡井
蘇枋
恐る恐るといった楡井の様子に、蘇枋はさらに貼り付けた笑みを深くした。 単なる雑談だ。 これくらい付き合ってあげよう。 最悪、いつも通りのらりくらりと交わしてしまえばいい。 そんな事を、仲がいい友人にすら考えてしまう自分は、相当性格が悪く冷たいのだろう。 そうすぐに、自己嫌悪した。
楡井
楡井は言いにくそうに口を開く。 格好いい師匠に向けるキラキラとした子供の様な無邪気な笑顔は、そこには無い。 本当に言ってもいいのだろうかと、蘇枋の表情を伺っている。
蘇枋
胸に手を当て、深く深呼吸をした楡井は、覚悟を決めた様にキッと師匠である蘇枋を見た。
楡井
楡井
楡井
何もおかしいことは無い。だって本当に、俺と桜君は普通よクラスメイトだから。何の変哲もない、仲が良い友人。 楡井はどこが変だと言うのだ。 友人を気にかけるのは当たり前だ。 友人に優しくするのも、当たり前だ。 何がおかしいというのだろう。 蘇枋は本当に分からないと首を傾げた。
蘇枋
蘇枋
まるで小さな子供の様だ。 知りたがりの子供が、 わからない。なんでなんで?と口にする様に蘇枋は言葉にする。 楡井も、上手く返せないのか、 うーん、と腕を組み頭を悩ませた。
蘇枋
楡井
そうこうしている内に、 保健室前まで着いてしまった。 ここで雑談は終わりだと言わんばかりに、蘇枋は楡井から視線を外し、 横スライド式のドアに指をかけた。
蘇枋
遠慮がちにドアを開け、 隙間からひょっこりと顔を覗かせた。 蘇枋に続き、背後から楡井もひょっこり中を伺う様に顔をのぞかせる。
楡井
蘇枋
ベッドがモゾりと動き、掠れた音がする。寝返りを打った様だ。 寝ていたとしても、この調子ならそろそろ起きるだろう。
蘇枋
楡井
蘇枋
小さな子供を諭す様、蘇枋は優しく声をかける。 困った様に眉を下げ笑ってみせる蘇枋に、楡井は心臓をきゅうっと掴まれた様な気分になった。 そんな顔をされてしまえば、 これ以上楡井が蘇枋に踏み入る事も、言うことも何も無い。
蘇枋
楡井
楡井
楡井
蘇枋
楡井は少し開けていたはずのドアを、全開にばんっと開け、ずんずん桜がいるであろうベッドへ歩みを進めて行く。
ベッドの近くへ、椅子を移動させ、そこに座ると、楡井は 務めて優しく膨らみを丸く作る布団へ語りかけた。
楡井
桜
小さな少し掠れた声が、布団の中から聞こえ、静かな保健室の空気にそっと馴染んだ。 本当についさっきまで寝ていたのだろう。水分を取れていない桜の喉は、乾きを訴えている。
蘇枋
保健室内には1歩も入ってこない蘇枋。 腕だけ室内へとのばし、楡井にペットボトルのお茶を渡そうとしている。 いつの間にに茶等買ったのだろう。 そう疑問に思った楡井だったが、蘇枋だから。という理由で何とか納得した。
楡井
楡井
桜
一瞬悩んだ様子を見せた桜は、 喉の乾きに負けたのか、 素直にペットボトルのお茶へと手を伸ばした。 ペットボトルキャップを外し、 冷たいお茶が喉を潤す。 桜の喉が上下に動き、 しっかりとお茶を飲み込んだのを確認できた。
楡井
桜
桜は、腹を括った顔をした。 貰ったお茶を飲むために上半身を起こしていた桜は、 布団からも脱出し、 乱雑にベッド付近へと置いてあった靴に足を通した。
蘇枋
蘇枋の目の前まで来た桜の顔色は、 相当悪いもので、 それはきっと、自分が近くにいるからで、 彼との距離を友人にまで近ずけるのは、やはりもう少し時間がいるんだろうなと悟った。 彼の記憶から消えてしまった今の自分は、彼にとっては、見知らぬ人間なのだから。
桜
微かに頬を赤らめ、 礼を言う彼に、 わざわざ近くまで、歩いてきて、しかも自分の頭もズキズキと痛むだろうに、礼を言うとは、律儀だなと、そう思う。 ベッドから声を出せば、蘇枋にだってきこえる。実際それで十分なはずだ。 それなのに、わざわざ顔を合わせて礼を言う。そういう彼が、蘇枋は好ましく思っている。
蘇枋
本当に限界なのか、桜は言われるがまま布団の中へと潜り込んだ。 その様子を見て、楡井は安心した様に微笑む。 マイナスからの距離が、やっとゼロになった。そう感じたのだろう。
蘇枋
楡井
桜
蘇枋
自分がこの場にいちゃ、きっとまた桜に無理をさせるかもしれない。 今は回復に専念して欲しい。そう思い、 この場から離れよう。 そう決めた蘇枋だったが、 2人に何もいらないと言われてしまえば、この場から離れる口実もなくなってしまった。
まだまだ日も明るい中、 自分はどうしようかと 光が指す保健室の窓から空を眺めた。
どう逃げる? 「自分のお茶を買いに行く。」 「帰るという。」
幸せの道まで、後どれほどかかるのだろうか。