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主
主
名前も知らないあいつに出会って 数日がたった
あの日から何一つ変わっていないはずの 日常が少しずつ狂い始めていた
指先に残る感覚、 耳元で囁かれた時の声
全てがどれだけ長い時を刻んでも 忘れられないほど鮮明に残っている
ほんの一瞬のことだったのに
Abe
そんなこと考えても答えが出ないことは 分かっていたはずなのに
答えを求めるようにまたこの場所に ひとり立っている
冷たい風 あの人同じように光を放つ月
そして、
あの日と同じ声
???
背後からする低い声
Abe
暗い中で顔を見えないまま恐る恐る聞く
???
少し笑いながら近寄ってくる君は
得体の知れない怪物のような
でもそこに僕を包みこむ温もりがあって
少しずつ近づいてくる顔は暗くてあまり 見えなくても分かるくらいかっこよくて
逃げなきゃいけないのに
僕の中に眠る何かが君に惹かれている せいで足が動かない
Abe
???
???
さらに近づく
???
気づいたら息がかかる距離に君はいた
Abe
視線を逸らす
逃げられると思った時
手首を掴まれた
Abe
強くはないけど 振り解けない
???
心臓がうるさい
言ったら全てが本当に終わるような 気がした
???
???
怖い、、けどそれ以上に そばにいるだけで癒されるこの感覚から 抜け出せない
???
試すみたいな声
でも、手は離れない
???
小さく笑う君は
???
そんなことを言いながらそのまま 指が絡む
???
戻れないんだよ?
分かってるよ
そんなこと最初から
Abe
やっとのことで言うと一瞬だけ手が 緩んだ気がした
でも次の瞬間、
また掴まれる
さっきよりも強く
その瞬間
???
勝利を確信した君は狂気じみたその言葉で僕の心をくすぐってくる
否定したかった
でも──
何も言えなかった
???
最後に静かに囁かれる
???
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