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第十八話 たった一人で戦い続ける者達-閑話
ざあざあと雨が降っている
道行く人々は皆傘を差して歩いている
その中に傘を差していない者が 一人だけいた
黒いローブで全身を纏っているその人は
片手に淡く光るコンパスを持ち 歩き回っていた
途中で小さな十字架が道端に 捨てられているのを見つけて
彼はそれに手を当てると
きらきらと輝いていた十字架は 輝きを失った
――その作業を続けてもう一週間になる
コンパスが指し示す先に近付けば
その針はくるりと回転して いつも逃げられてしまう
翻弄されている、と感じていた
だがその攻防ももうこれでおしまいだ
雨が降り続く中――
彼はある館へ足を踏み入れた
みゃお
彼を出迎えたのは黒猫だった
足元のその猫を見て ローブから腕を出すと
そこからするりと彼の猫が下りて行って 黒猫と相対する
くんくんと鼻を合わせて 挨拶をしているようだ
?
館の奥から声が響いた
ローブの男は一歩足を踏み出し 館の奥へと進む
そこには、テーブルの前に座っている
怪しげな男がいた
?
笑顔で歓迎した男は 狐の面で目元を隠していて
口元だけ露出していた
スマイル
Broooock
Broooock
狐の面の男――
Broooockは面を外すと 立ち上がった
スマイルもローブを外して 彼に姿を晒した
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
?
二人の会話中に館に入ってきたのは
パンダ柄の上着を着た男だった
視界にBroooockとスマイルの姿を入れると
彼は二人を交互に確認する
?
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
?
Broooock
Broooock
Nakamu
Nakamu
Nakamu
Broooock
Broooock
Broooock
Broooockは店を閉めて 二人を部屋の奥へと招いた
二人への飲み物を用意しながら
Broooockは二人の様子を窺っていた
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Nakamu
スマイル
Nakamu
Nakamu
実際に悪魔を視認したのは初めてだが
Broooockと同じ気配を纏っている事と
魔力が視えない事で断定ができた
どうやら間違いではなかったらしい
Nakamu
Nakamu
Nakamu
Nakamu
その時、Nakamuが勢いよく立ち上がって
右腕をスマイルに向かって振り上げた
Broooock
ガチャンッ――!
陶器が壊れた音が鳴り響いた
Broooockが用意していた
ティーポットとカップは 無残に砕け散って床に散らばり
Broooockはスマイルの前に立ちはだかって
Nakamuに杖を向けていた
Nakamuは腕を振り上げたまま
Broooockを見据える
Nakamu
Nakamu
Nakamu
Broooock
Broooock
Nakamu
Nakamu
スマイル
Broooock
Broooock
Nakamu
Broooock
Nakamu
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
――理由
Nakamuは腕を下ろして その場に立ち尽くした
そうしたい理由を
Nakamuは今まで考えてこなかった
ただ追いかけていた
――ような気がする
いつからか、それさえも疲れてしまって
一人は怖くて、とても虚ろで
何も考えたくなかった
苦しみから逃れたくて
全部忘れられたら どれだけ幸せだろうと焦がれて――
Nakamu
Nakamu
Nakamu
不快な想いをさせるものは 全部壊してしまいたい
気に入らないものは 全て燃やし尽くしてしまいたい
そこに誰かが――
Broooockがいてくれれば 今はそれだけでNakamuは満足だ
Nakamu
――例えば、紫色の目をした魔族とか
そこにいるだけで、その存在が許せない
なぜ涼しい顔をしてそこにいるのだとか
訳も分からず沸々と怒りがわいて
そんな感情に苛まれる
Nakamu
どうか、どうか――
――安寧に過ごしていたかった
Nakamu
Nakamu
Nakamuは背から黒い蝙蝠の翼を開いた
右腕を振りかざし炎を召喚すると
それをスマイルにめがけて打ち放った
Broooockは杖を翳し結界を生成すると
炎はそれに阻まれ爆発が起きた
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
スマイル
Nakamu
スマイル
ぱ、きんッ――
部屋全体が凍った
それと同時にスマイルも氷に包まれた
Broooock
Broooockは慌てて スマイルに向けて呪文を唱えた
炎に包まれた氷は見事に しゅうしゅうと音を立てて溶けて
スマイルはその場に片膝を付いた
スマイル
スマイル
スマイルは懐から黒い球を取り出すと
それをNakamuに向かって投げた
Nakamuはそれを鋭い爪で引き裂いた
その瞬間、黒い球から煙幕が発生して
部屋全体を煙で包み込んだ
Nakamu
Nakamu
Nakamuは壁に手を付くと
館全体に逆結界を張り巡らせた
これで館の外には誰も出られなくなった
くるりと回転しながら
翼をはためかせて煙幕を払ったが
そこにはBroooockの姿も スマイルの姿もない
Nakamu
ざわざわと己の中の悪魔が騒ぎ出す
高揚を感じながらNakamuは胸を抱えた
Nakamu
Nakamu
Nakamuは苦し気な表情をしながら
笑っていた
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock達は逃げるには逃げたが
ただテーブルの下に隠れただけだった
煙幕に紛れてテーブルの下に隠れ
スマイルの使い魔に結界を施させただけだ
数秒経つと、Nakamuは部屋から出て行った
どうやらBroooock達には 気付かなかったらしい
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooockはテーブルの下で 頭をがしがしと掻いていたが
スマイルの言葉に顔を上げる
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooockはテーブルの下で再び頭を抱えた
以前からこうして発狂する事はあったが
こんなに大袈裟に体を振り回して
リアクションをするような奴ではなかった
スマイルはBroooockの背中を 慰めるように叩いてやった
スマイル
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
ぎゃんぎゃんとBroooockは喚くが 何の意味もない
きりやんがここに 顕現していると知れた事は良かった
しかしやっと会えたと思ったスマイルは
きりやんから 自分を守るために来たとか言い出すし
きりやんから敵対視されている事に 違いはない
嬉しいような悲しいような よくわからない状態だ
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooockはきりやんに固執しているようだ
スマイルは首を傾げた
スマイル
問いかけられたBroooockは
少しだけ固まった
それから小さく微笑んで 目を閉じて胸に手を当てた
Broooock
Broooock
脳裏に蘇るのは 楽しかったあの頃の思い出
それをもう自分しか覚えていないことも 知っている
Broooockは使命を持ってここにいる
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
対してスマイルは疑問を浮かべていた
スマイル
スマイル
スマイル
そう考えれば辻褄が合う部分がある
スマイルの記憶が混濁しているのは
Broooockが眠りにつく前後だ
彼がどのようにして眠り
最後に彼とどんなやりとりをしたのかさえ 覚えていない
スマイル
その時、Broooockが 降らせていた雨の魔法が消えた
Broooock
スマイル
スマイル
スマイル
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
スマイル
スマイルは水色の妖精に指示をすると
妖精から薬瓶を何個か受け取った
恐らく隠れるための薬だろう
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
紫色のお香を焚いていた時に Nakamuがやってきて
消してほしいと言われた時のことを 思い出したが
それくらいの記憶だ
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
スマイルは魔法使いの終戦の話を Broooockに聞かせた
その後、スマイルが世界中から 魔力を奪いつくしたこと
そして自ら魔法を封印した事も告げた
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
自分勝手にスマイルの手で生み出され
自分勝手に魔族は必要ないと判断されて
その存在を抹消された数多くの魔族たち
彼らに感情はない
スマイルも彼らに事情を伝え
納得してもらえた上で魔族を分解した
スマイルが生成した魔族は 誰も反論もしなかった
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
Broooockの言葉にスマイルは固まった
魔法を失った魔法使いたちは
あの後どうなったのだろうか――?
――お前はそんな俺らの将来を潰すって 言ってんだぞ!?
ズキンッ――!
頭が痛んだ
あの声は誰のものだっただろうか
ただ結果だけを見てきたスマイルは
その経過によって魔法使いたちが
どうなったのかは知らなかった
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
スマイルは思考を切り替えた
今は過去の感傷に浸っている場合ではない
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Nakamuは一番最初に Broooockの元を訪れてくれた
Broooockはそれが嬉しかった
だから彼のお願いを なんでも聞いてあげたかった
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
ちりん――
部屋の扉のほうから音が鳴って
Broooockはテーブルの下から顔を出した
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooockとスマイルは テーブルの下から出て
玄関に向かって走り出した
その後をスマイルの 水色の妖精と猫もついてくる
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
Broooockとスマイルが玄関に辿り着いた時
悪魔の結界が破られて
きりやんを先頭にシャークんときんときが 館に入ってきたところだった
Broooock
狐の面をかぶったBroooockを見て
スマイルもなんとなく 黒いローブを着込んでフードをかぶった