トモミ
お邪魔します…!
佐藤
入って入って~
トモミ
佐藤くんの家ほんとお城みたいだよね!
佐藤
自慢の豪邸だからね
トモミ
今日こそご両親に挨拶させて!
佐藤
そういうのはまだしなくていいよ
トモミ
も~なんでよ~
トモミ
(佐藤君は私と結婚する気ないのかな…)
トモミ
(家のこととか両親のことを聞くといつもはぐらかす)
佐藤
トモミ?
佐藤
急に黙ってどうした?
トモミ
べつに~、なんでもないよ
佐藤
そうか?ならいいけど
トモミ
(こっちはなんも良くないけどね!)
佐藤
じゃあ飲み物持ってくるからくつろいでて
トモミ
は~い
トモミ
(それにしても本当に立派な家…!)
トモミ
(佐藤君と結婚したら玉の輿も夢じゃない!)
佐藤
はい、どうぞ
トモミ
え!?これめっちゃ高いお酒じゃん!
佐藤
そうなの?
トモミ
うん!この前テレビで見たもん
佐藤
父さんが酒好きでさ
佐藤
じゃあ乾杯しよっか
佐藤
乾杯~♪
2人は酒が進み、話が弾んできた。
トモミ
佐藤君がお金持ちって付き合うまでわかんなかったよ~
佐藤
あんまり人に言いたくなくてさ
佐藤
俺が『金持ちだから』って寄ってくる女の子が多くて
佐藤
だから隠してた
トモミ
大変だったんだね…
佐藤
トモミは俺が金持ちだと知らなくても好きになってくれた
トモミ
私は佐藤くんの内面に惹かれたからね!
トモミ
佐藤くんにお金がなくても大好きだよ
トモミ
(金持ちと分かってもっと好きになったけど)
佐藤
ありがとう…
佐藤
どんな俺でも愛してくれる?
トモミ
もちろんだよ!大好き
ガチャ ガチャ
トモミ
あ!誰か帰ってきた?
佐藤
悪い、トモミ!
佐藤
急いで裏から帰ってくれ!
トモミ
え!?ちょっと待って!?
トモミ
今日もなの!?
佐藤
ほんとにごめん!
そうしてトモミは裏口から無理やり帰された。
トモミ
ってことにいつもなるの!
トモミ
どう思う?
チカ
いや~
チカ
その男マジで怪しいわ
トモミ
怪しいよね!?
チカ
絶対にトモミ以外の女がいる気がする
トモミ
やっぱりそうかな…
チカ
そうじゃなきゃ彼女を裏口からなんて帰さないっしょ笑
トモミ
だよねえ
トモミ
他に彼女を親に会わせられない理由考えられないし
チカ
ちょっと探ってみなよ
チカ
私以外の女いる?的な感じで!
トモミ
わかった
トモミ
やってみる!
<ファミレス デート>
トモミ
ねぇ、佐藤君
佐藤
ん?どうした?
トモミ
佐藤君って私以外にも女いたりする…?
佐藤
直球で聞いてくるね笑
トモミ
はぐらかさないで
トモミ
私、真剣に聞いてるの
佐藤
いるわけないじゃん
佐藤
俺が付き合ってるのはトモミだけだよ
トモミ
じゃあなんでいつもさ
トモミ
家族が帰ってきたら私を帰すの?
佐藤
それは…
トモミ
家族に紹介してる本命の女がいるんでしょ?
佐藤
いないってば
佐藤
本当だよ
佐藤はトモミの手を握った。
佐藤
俺が愛してるのはトモミだけだから
トモミ
ほんと?
佐藤
うん。好きだよ、トモミ
トモミ
じゃあ今から家行ってもいい?
佐藤
佐藤
い、今から?
トモミ
うん
トモミ
私が本命なら家族に紹介して
佐藤
分かった
トモミ
やった!お会計は…
佐藤
ごめん!今日も財布忘れちゃった
トモミ
分かった…払ってくるね
トモミ
(なんでいつも私が払わされるんだろう?)
トモミ
(佐藤君あんなに豪邸に住んでるのに…)
<佐藤家 前>
トモミ
(何度見ても素敵な豪邸だな…)
トモミ
(お父さんが社長とかかな?)
ガチャ ガチャ
佐藤
あ、あれ?
佐藤
今日は鍵が締まってる…
トモミ
どうしたの?
佐藤
ごめん
佐藤
鍵忘れちゃったから入れないや
トモミ
そう…
トモミ
それなら仕方ないね…
佐藤
信じて!
佐藤
俺が愛してるのはトモミだけだから!
佐藤
トモミ以外の女なんていないから!
トモミ
トモミ
うん…わかった…
トモミ
私以外に女はいないって
チカ
口ではいくらでも言えるよ!
トモミ
だよね…
トモミ
今日家行きたいって言ったのにさ
トモミ
鍵が開いてないとかで入れてくれなかったし
チカ
それは本当に鍵忘れたんじゃない笑?
トモミ
1回疑っちゃうとさ
トモミ
全部疑い深くなっちゃうんだよね…
チカ
それは分かる
チカ
じゃあさ、誕生日に家で祝って!って言えば?
チカ
んで、それが無理なら別れる~って!
トモミ
別れたくはないんだよね…
チカ
でもそれくらい言わないと!
チカ
このまま半端な感じになっちゃうよ?
トモミ
分かった…
トモミ
言ってみる!
トモミ
来週私の誕生日じゃん?
佐藤
ちゃんと覚えてるよ!
佐藤
どこか行きたいとことかある?
トモミ
佐藤君の家行きたい
佐藤
うちはちょっと…
トモミ
もしそれがダメなら
トモミ
もう私たち別れよ?
佐藤
嫌だ
佐藤
別れたくない
佐藤
絶対に別れたくない
佐藤
分かった、うちで祝おう
トモミ
(チカの作戦成功じゃん!)
トモミ
やった~!
トモミ
楽しみにしてる!
佐藤
別れないでくれる?
トモミ
うん!
佐藤
佐藤
よかった…
佐藤
最高の誕生日にするからね
トモミ
お邪魔します~
佐藤
どうぞ~
トモミ
ご両親は?挨拶したいな
佐藤
今日はトモミの誕生日を2人で祝いたかったからさ
佐藤
外に出ててもらってるんだ
佐藤
挨拶はまた今度でいい?
トモミ
それなら仕方ないね
佐藤
それから
佐藤
奥の部屋だけは絶対に開けないで
トモミ
奥の部屋…?わかった
2人は家にあったご馳走を食べながら酒を浴びた。
佐藤
トモミお誕生日おめでとう~♪
トモミ
他に女がいるとか疑っちゃってごめんね…
佐藤
全然大丈夫よ~
佐藤
これで信じてくれた?
トモミ
うん!信じた!
トモミ
ちょっとトイレ行ってくるね!
佐藤
いってらっしゃい~
トイレに立ったトモミは、奥の部屋へと向かった。
トモミ
(信じてるとか言ったものの…)
トモミ
(私に隠し事ってことは浮気かもだよね?)
トモミ
(ここが奥の部屋…)
トモミ
(ここに何も怪しいものがなければ)
トモミ
(私は佐藤君の言葉を信じよう…)
ガラガラッ
トモミが奥の部屋を開けるとそこには──
トモミ
黒いごみ袋がたくさん…
トモミ
おえっ…すごい匂い…
恐る恐るゴミ袋を開けると
中には死体が入っていた。
トモミ
キャッ!!
トモミ
何なのこれ
トントン
トモミ
佐藤…くん
佐藤
開けるなって言ったよな?
ピンポーン ピンポーン
宅配業者
田村さーん!
宅配業者
田村さんはいらっしゃいますか?
トモミ
田村って誰?
トモミ
え?ここ佐藤君の家なんだよね?
佐藤
こんな家で2人で住みたかったなぁ