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2031年夏
このストレス社会とも言われる日本で国を支える若者達だけにとあるウィルスが流行っていた
日本の経済は今までにないほどに困難な状況にあった
その症状は酷く、嘔吐・頭痛を含め判断力や不眠症、それらを耐えられない患者は自殺をしてしまう者も多くいたそうだ。
日本の人口は減り続け、2021年からの10年後の2031年で500万人の減少
30代以下の若者は人口のたった18%という最悪な状況だった。
少子化は更に悪化し人材不足を含め日本の経済困難から脱税・所得隠し・パワハラなど様々な業種の業界も悪循環な環境から抜け出せずにいた。
国の政府はこの困難を乗り切る為、緊急会議を開く
2032年8月10日
東京都巣鴨のアスファルトはフライパンの上のように暑く熱せられていた
猛暑の中、白いシャツに紺色のスーツパンツを履き黒いビジネスバッグを持ちながら歩き、駅を目指す若者のサラリーマンがいた。
永野慶太
彼は不動産会社に勤める22歳
営業部、入社2年目の若者だ
彼の業務は一戸建て物件の売買。新しく出た物件の資料を作りホームページにアップし、その反響があればお客の希望に従い物件案内をするといった内容
この不景気な世の中に新築物件を求める人は少なく、最近の業務はチラシ配りや一度物件案内をした方へ再度電話をして様子を伺うなどの作業が基本的になっている。
永野慶太
午前8時55分
出勤時間の9時を手前に事務所の前に着き、汗を拭きシャツを整え入り口から入ると罵声ととも永野は立ち止まる
太田正志
永野はすかさず頭を下げ謝罪する
永野慶太
永野に罵声を浴びせるのは営業部係長、太田正志。不動産業に就き16年目の永野の上司だ
太田正志
永野慶太
そう言い返す永野に対して被せるように太田が怒鳴る
太田正志
太田の怒鳴る声が事務所に響きわたる中、1人の社員が太田に対して小さい声でつぶやいた
安田智久
そう言われると太田は歯痒い顔をしながら手に持つペンを力強く握りしめた
太田正志
太田が怒鳴ると永野は小声ですみませんと頭を下げ自分のデスクにつきスケジュール帳を出しすぐさま予定を確認する
永野慶太
永野は物件を紹介出来るお客がいない為、チラシ配りや電話できっかけを作るだけの業務を繰り返し送っていた
永野慶太
上司である太田にそう伝える永野
太田正志
太田正志
太田は素っ気なく怒りを抑える事に必死なのが伝わっていた永野は素早く事務所を出た
永野慶太
そんな疑問を持ちながらも永野は現地までは車で向かいパーキングに車を停めた
永野慶太
ため息を半分混じらせたようにそうつぶやき、車の運転席から外に出ると真夏日の暑さは永野の身体をさらに重くさせた
永野慶太
この日、田端へ物件のチラシを撒くのは初日な事もあり1丁目の1番からポストに配っていく。
順にポストへ投函して行き、開始から2時間半が経ったところで、あまりの暑さと喉の乾きに限界が来た永野は1時間ほどのお昼休憩を取る事にした
休憩時間などは各社員が自分自身で時間や場所を決めて自由に取る事が出来る
だが、永野は昨年末の冬にチラシ配りの際、寒さを凌ぐためファミレスで休憩していたところを上司の太田に見つかり、食事中にも関わらず説教や嫌味を言われ散々な思いをしていた
なのでお昼休憩はコンビニ弁当や牛丼などを買い各現地の近くの公園の日陰でとるようにしている
その日もコンビニで500mlのお茶とお弁当を買って公園で昼食をとっていた
子供連れの母親がちらほらいる中、日陰のベンチに座り買ったお茶を飲み一息つく
永野慶太
永野慶太
学生の頃は陸上の高跳びで高校全国大会に出場したものの、引退し大学に入ってからは上級生の影響から夜遊びをおぼえてしまい道を逸れ、就活もまともにせず今では仕方なく地域密着型の不動産に就職したのだ
永野慶太
永野はそうつぶやき、学生時代の後悔と今後の不安におそわれる
永野慶太
食べたコンビニのゴミを一つの袋にまとめ重たい腰を上げようと立ち上がろうとした時、永野は力尽きたようにベンチから落ちた
永野慶太