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翌朝。
玄関で靴を履いていると、兄がいつもより少し遅れて降りてきた。
ゆあん
それだけ。 でも、昨日までと違う。
のあ
並んで外に出る。 距離は、ほんの少し近い。
歩きだしてすぐ、兄が私の歩幅に合わせてくれたのに気づく。
のあ
信号待ち。 無言。
でも、気まずくない。
赤から青に変わった瞬間、 兄の手が一瞬だけ動いて⸺止まった。
のあ
何もなかったふりをして、歩き出す。
学校に着くと、周りの視線が少しだけ違う。
友達が小声で言う。
心臓が跳ねる。
のあ
言葉を探して、
私は、笑って誤魔化した。
でも、教室に入った瞬間。
兄と目が合う。
それだけで、 胸がきゅっとなる。
授業中、廊下ですれ違うたびに、 兄は必ず私の位置を確認する。
声はかけない。 触れない。
でも⸺目だけは、離さない。
放課後。
昇降口で靴を履いていると、兄が隣に立った。
ゆあん
確認じゃない。 当たり前みたいな言い方。
のあ
外に出ると、夕焼けが広がっていた。
歩いている途中、兄がぽつりと言う。
ゆあん
のあ
ゆあん
一瞬、足が止まる。
ゆあん
兄は、少しだけ困ったように笑った。
ゆあん
私も、正直に答える。
のあ
沈黙。
でも、その沈黙が心地いい。
角を曲がるところで、兄が立ち止まった。
ゆあん
呼ばれて、顔を上げる。
兄は、ほんの一瞬だけと躊躇ってから⸺ そっと、私の袖をつまんだ。
指先だけ。
ゆあん
それ以上は、しない。
でも、その小さな接触が、 何よりも大事な証みたいで。
のあ
帰り道、 手は繋がない。
でも、離れない。
⸺名前はまだない。 でも、この距離はもう、恋だった。
コメント
2件
今日は早く見れた気がする!! きょーも最高でした🫶🏻💗