アメリカ
夕陽が差し込み、狭い会議室を薄暗く照らしている中、
チャームポイントとも言えるサングラスを頭の上に追いやり、
瞳の中に星を浮かばせた国は、不機嫌そうに口を尖らせる
国連
そう言って苦笑いしたのは、全ての国の管理を行う
『国際連合』
通称、国連。
いわゆる彼らの上司的存在である
苦笑する国連を眺めながら、
当たり前だ。と、心の中で恨めしそうに、笑う国連を見やる
何せ、国際会議で頭を使いまくって疲れた後だと言うのに、
会議後、国々が帰っていく中、なぜか俺だけ呼び出しを喰らったのである
アメリカの記憶の限りではそこまで問題になるような行動はしていないはず…
国連
アメリカ
いかにも長くなりそうだ、そう思い、アメリカは隠すことなく表情を歪める
国連
国連
国連
国連
国連
国連の真剣な表情に、何かを悟ったのか、アメリカは無言で次の言葉を待つ
国連
厨二病か…!?と突っ込みかけた言葉をぎりぎりで飲み込み、冷静に聞き返す
アメリカ
国連
アメリカ
国連
国連
アメリカ
アメリカ
俺は目を輝かせると、身を乗り出し、国連に問いかける
しかし国連は、真剣な表情を崩さないまま、バッサリと切り捨てた
国連
国連
国連
国連
アメリカ
国連
アメリカ
国連
国連
国連
国連
国連
国連
国連はどこか意味深に笑うと、残念そうに視線を影へと落とした
国連
国連
国連
アメリカ
国連
アメリカ
国連
国連
国連
国連
国連
国連
国連
アメリカ
国連は軽く手を叩くと、帰っていいとでも言うように、俺を扉へと促した
アメリカ
アメリカ
国連
国連
そういうと、国連は挑発的に口角を釣り上げた
真っ黒な液体に、体の自由を預ける
重力に従い、俺の体はどんどん奥底へと堕ちていた
もしも
この力がソ連の『能力』なら
あいつはどんな気持ちでこの能力を作り上げたのだろう
俺の体を、ソ連の感情が蝕んでいた
流れ込んでくる数々の思い
視界の端に、うっすらと見える、微笑み合う二国
アメリカ
アメリカ
お前の求める愛は、本物なのだから
懐かしい思いが、俺の胸を締め付けた
あの時だってそうだった
親父から独立する時も
日帝を止めようとした時も
……南北戦争の時も
きっと、俺の選ぶことができる『能力』によっては、
もっと国を大きくできるし、周りの国だって圧倒できるだろう
でも、それじゃ駄目なんだ
俺はずっと、善人ぶってきた偽善者
勝手な正義感に身を任せ、自分が本物のヒーローとでも思っていたのだろう
親父が苦しんでいくのを見るのが怖かった
カナダを、ほかの植民地も、いつか解放してやりたいと思った
戦争という鎖に縛り付けられ、国の道具として 使われる日帝を、助けたいと思った。
奴隷という身分に苦しめられ、全てを奪われた奴らを、
憎しみから
解放してやりたいと、思ったんだ
自分のためじゃなくて、誰かのために自分を使いたい
苦しまないで、助けを求めて欲しい
俺じゃなくてもいいんだ、誰かを頼って欲しい
今にも消えてしまいそうな二国に向けて、勢いよく手を伸ばす
これは偽善者なりの、言い訳なのだろうが……
ナチスも、ソ連も、まとめて救ってみせる
だって俺は──
何にも縛られない、自由の国だから!
アメリカ
俺の思いが、吐き出されるのがわかった
コメント
12件
初コメ失礼します アメリカさんかっこよすぎて惚れ直しました✨
一気読みさせていただきました…!ものすごく物語が作り込まれていて最高に面白かったです!ドイツの幼児退行も伏線だったのですね…!そしてアメリカがかっこいい!推しになってしまう…!✨ もう続きが楽しみすぎるあまり夜しか眠れません!
ああもうやべえ…泣いたぁ… そうだぞアメリカ!今動くんだ‼‼‼