午前6時半、眠い目を擦り、バス停に佇む小さなベンチに座る。 重い瞼を開けた先には、見慣れた人影。 彼女の存在は、まるで私の眠気を吹き飛ばす魔法の様だ。
皇 要
おはようございます…。
欠伸を交えた挨拶をすると、彼女はやや首を傾け、 口元に笑みを浮かべつつも、どこか不満を抱いている様だ。
辰原 佳月
相変わらず、堅苦しいな~
もっとこう…ダチらしく!
もっとこう…ダチらしく!
彼女は辰原 佳月(たちはら かづき)。 勝気で、喧嘩っ早いところはあるが、誰に対しても優しく、 クラス中の注目を集める、人気者の1人だ。
皇 要
友達らしくですか…
おはよう、佳月ちゃん!?
おはよう、佳月ちゃん!?
彼女の言葉に戸惑いつつも、努めて笑顔を作ったが… 彼女は私を小馬鹿にしたように笑った。
東雲 重利
は…要が困ってるでしょ。
佳月、止めな。
佳月、止めな。
東雲 重利
全く…朝から元気な様で。
背後から聞こえた声の正体は、 クラスメイトの東雲 重利(しののめ しげとし)。 根は優しい子だが、嫌味ったらしいところが目立つ、 彼女の幼馴染であり、親友だ。
辰原 佳月
お前こそ…!
嫌味ばっか言いやがって!
迷惑はどっちだよ!?
嫌味ばっか言いやがって!
迷惑はどっちだよ!?
またしても始まってしまった… "喧嘩する程、仲が良い"ということわざは、 正にこの2人の為にある言葉だと、思う程だ。 2人は毎日、些細な言い争いを繰り広げているが、 互いを信頼しているのが感じられる。
金立寺 紬
みんな、おっはよ~!
大きな食パンを口に咥え、 鞄にはたくさんのマスコットを提げている… まるで、少女漫画のヒロインのような姿で現れたのは、 金立寺 紬(きんりゅうじ つむぎ)。 天真爛漫なクラスのムードメーカーだ。
東雲 重利
紬、おはよ…
今日は何を持って来たの?
今日は何を持って来たの?
金立寺 紬
今日はねぇ…ジャーン!
新作のパン!
新作のパン!
辰原 佳月
おぉ~クマか!?
よく出来てるじゃねぇか!
よく出来てるじゃねぇか!
東雲 重利
違うよ、佳月…
どう見ても猫でしょ?
どう見ても猫でしょ?
金立寺 紬
2人とも、ひっどーい!
この子はリスなの!!
この子はリスなの!!
紬ちゃんの元気な姿は周囲の空気を一変させ、 私達の笑い声が朝の静けさを破った。 こうして…普通の1日が始まったが、 私達の心に潜む不安は、依然として消えないままだった。







