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キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン 本鈴と共に、コツコツと聞き馴染みのある足音が響く。
慈翠 眞矢
溜息混じりに、廊下でたむろっている生徒に注意するは、 担任の慈翆先生。 猫背とくたびれた白衣、目の下からは気怠さが伺えた。
慈翠 眞矢
川添 紗奈
慈翠先生と対比するかの様に、 キリッと背筋を伸ばし、スーツにはシワひとつ見られない 副担任の川添先生。
川添先生は教室全体を見回し、 ピントを合わせるかの様に胸のブローチを正す。 その仕草が、教室全体を掌握するかのように見え、 琥珀色に輝くそれからは、 値踏みされている様な心地の悪さを覚えた。
保健室登校の近衛さんを除き、 生徒39名……教員2名。 高等部1年A組の日常となるはずだった。
慈翠 眞矢
慈翠 眞矢
突き出された画面には、“高等部 1年A組 カースト表”と、 1から40までの数字が私達に振り分けられたものだった。 “12位:皇 要” 自分に振り分けられた数字を眺めながらも、 この状況を受け入れようと、 身体が必死に熱を冷ましているのが分かった。 それは、私だけでは無かった様だ。
01位 大日方 光咲
真っ先に静寂を破ったのは、 ランク1位の称号を得た大日方 光咲。 彼女は自信満々に振る舞い、 教室の絶対権力である慈翠先生を嘲笑している。 それは、自分の地位が確固たるものであることを、 理解していた故の行動だろう。
慈翠 眞矢
川添 紗奈
次に繰り出される言葉を食い止めるかの様にして、 川添先生は手元の時計を指差す。 慈翠先生は頭を掻き、深い溜息を吐いた。
慈翠 眞矢
慈翠 眞矢
慈翠先生は視線を移し、 答えを催促するかの様に私を見ている。 先生……ましてや担任から任せられたからには、 私に拒否権なんてものは無い。
12位 皇 要
挙動不審にも私が返事をすると、 ランク1位を勝ち取った彼女……大日方さんが、 まるで私を嘲笑っているかの様に、 私を見ているのに気が付いた。 心地が悪く、胸がざわつく。
キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン 閑静な教室には、本鈴だけが鳴り響く。 カースト表を咎められた事によって、 私達の心に嫉妬や劣等感が芽生え、 教室は一触即発の雰囲気が渦巻いていた。