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美雨

ーふう…。
(今日も、無事に、学校、終わったなぁ…………。)

美雨

ー奨学金で、通っているから、もっと、勉強を、頑張らないと………!

ー私の名前は、篠目 美雨(ささめ みあ)。 ー今年で、中学2年生。 ー4年前に、両親を、不慮の事故で、亡くしてしまって………。 ー今は、奨学金等を、やりくりしながら、1人、マンションで、生活している。 ー1人で、暮らすのは……、 ー正直、まだ、全然、慣れないし、寂しいんだ………。 (ーでも、パパとママの他に、私に家族なんて、居ないしなぁ…………。) ー私が、ため息を吐きながら、高速道路を、歩き続けていると…………………。

朋揮

ーもし、お嬢さん。

美雨

ーえっ、私、ですか…?

美雨

(ー交通ルールは、ちゃんと守って、歩いているんだけど………。)
ーあの、何のご用でしょう?

ー突然、男の人に、声を掛けられた。 ー彼は、40、50代くらいの、顔立ちの整いすぎた、イケメンさん………! 濃紺のスーツを、ビシッと着こなし、とても良い、体つきをしている。

朋揮

ー俺は、朋揮、って、言うんだが…………。
ーそこの君、篠目 美雨って女の子を、知らないかな?
………俺の、ただ1人の孫、なんだが………。

美雨

………え………っ………!?

美雨

(ーそれって、私の、名前だけど………、
ー俺の、ま、孫って、
………どういうこと………っ………!?)

ー私に、家族なんて、居なかったはず、なのだけれど……………。 ー私が、混乱して、目を見張り、固まっていると……………。

朋揮

ーどうしたのかな、そんなに驚いて………?

ー朋揮さんに、そう聞かれ、私は、我に返った。 ー良く良く観察すれば………。 ーこの人は、前に見た、家族の写真に、載っていた、パパの、パパ ーつまり、お爺ちゃんの顔に、そっくりだ。 ーお爺ちゃんとは、1回も、会ったことが無いけど、電話で話したことは、あった。 ーその人の声と、朋揮さんの声が、完全に、一緒なのを、聞いて………。 ー1人、納得していた、私は…………、 ー朋揮さんに、顔を覗き込まれて、はっと、我に返った。

美雨

ーあ、………あ、えっと……………。

美雨

………ど、どうしよう………っ………!
ー私が、孫なんです………、って言って、思いきって、打ち明けるべき、なのかな………?
ーでも、もし疑われたら、嫌だし………っ………!!

ー私は、頭の中が、パニックになり、あわあわと、視線を、左右に、惑わせる。

朋揮

ーぷっ、
……ふふっ

ーすると、何故か、イケメンさんーあっ、ううん、朋揮さん(?)が、可笑しそうに、笑い声を立てた。

美雨

ーひえっ!?
………な、何故、笑われるのですか…?

朋揮

ー心の声、全部、漏れてたよ…?
ー………俺は、君のことを、信じるよ…、
ー君は、俺の、孫娘のーー、
………美雨 ちゃん、なんだね…?

美雨

ー………えっ………!?
ーは、はいっ!
ー……ご、ごめんなさ………ええっと、有り難う、ございます………?

朋揮

ーくくっ、何で、謝りかけたのかな………?
ーヤバイくらいに、可愛いね、美雨 ちゃんって……。

朋揮

ーもしかして、もう、彼氏とか……、居たりする………?

美雨

ー……い、いいいい、居ませんっ!!

ー私は、咄嗟に、ぶんぶんと、首を、左右に振る。 ー彼氏なんてーー、 ………まだ、私には、早いと思う。 ー青春は、きっと……、 ー恋愛だけでは無いって、思っているから……………。 (………それに、私、可愛くないし………っ………!!) ーさっき、朋揮さんに、 『ーヤバイくらいに、可愛いね、』 ーと、言われた時から、心臓の鼓動の高鳴りが、止まらない。

美雨

ーい、イケメンの、言葉は、破壊力が……………っ………!

朋揮

………美雨 ちゃん…、
ー今、俺のこと、「イケメン」って言った…?
ー俺、もうすぐ、60なんだけど………、
「イケオジ」の、聞き間違いかな………?

美雨

ーえっ、ろ、60歳なんて、見えないですっ!!
ーイケメンだと、思うので、さっき、そう言ったので………
ー………っ、きゃあ!?

ー私が、正直に、自分の意見を口走った瞬間ーー、 ー朋揮さんに、優しく、ぎゅうっと、抱き締められていた。

朋揮

ー………あぁー、孫って、こんなにも、可愛いものなんだな………!

美雨

ーと、朋揮さん!
ー私、可愛くないで…………
ーっ………!?

「……可愛くないですよ…っ!?」 ーと、言い掛けた、私の、唇にーー、 朋揮さんは、そっと、人差し指を、当ててきた。 ーどくん、どくん………! ー心臓の高鳴りが、止められず、私は、思わず、俯く。

朋揮

ー美雨 ちゃん、これから、俺の前でも、誰の前でもーー、自己否定するのは、禁止な…!
美雨 ちゃんは、もっと、自分に自信を持つことを、覚えないとなぁ………。

美雨

ーが、頑張ります………っ……!!

朋揮

ーよし、良い子だ。
ーじゃ、俺らの家に、行こうか……!

美雨

………えっ!?
ーあ、あの、私は、一人暮らしをしていて…………

ーこんな格好いい、お爺ちゃん(?)と、一緒に暮らすなんて、申し訳ない、というか……………。 ー私が、そこまで言って、口ごもった時ーー、

ー今度は、清楚な、イケメンさんが、やって来て、 「ー親分、お嬢の荷物、全部持ってきました!」 ー朋揮さんに、そう言って、頭を下げた。 ………彼の、両手にはーー、

美雨

ーわ、私の家の、鍵と、に、荷物………!?

ー私の家の、古ぼけた鍵と、荷物が、しっかりと、握られていた。 ーどうして、この、男の人や、朋揮さんは………、私の家や、荷物のことまでも、知っているの………っ………!? ーしかも………、 ー私が、 「お嬢」って………、 ーど、どういう、こと………っ………!?

美雨

…ええっと、あなたは……?

白山 怜

ー初めまして、お嬢……!
ーあ、これは、親父から、鍵を、借りてまして……。

朋揮

ー急に、彼が来て、驚いただろう、美雨…?、
ー彼は、俺の子分ーあ、いや、部下の、白山 怜
(しらやま さとし)
君だ。

美雨

ーよ、宜しく、お願い致します……!
………私は、篠目 美雨で、朋揮さんの………孫、だと、思います……!

ー朋揮さん、今……、 ー子分って、言ったような気が、するんだけど………。 ー私は、内心で、首を捻りながらも、ぺこりと、白山さんに、頭を下げる。 ー私にしては、彼が、突然、私の、目の前に、現れたことよりも………、 彼に、自分が、「お嬢」呼ばわりされていることに、驚いていた。

白山 怜

ーこちらこそ、宜しくお願い致します、美雨 お嬢。

美雨

ーあ、あの……、私って、お嬢、なのですか…?

白山 怜

ーあれ?
ー親父から、まだ、このことを、聞いていなかったんすか……?

ー意外そうに、私に尋ねた、白山さんに……、 ー朋揮さんが、何故か、大分、慌てた様子で、 「ーおい、怜……! ーそれは……!」 ーと、声を掛けたけどーー、 怜さんは、彼には気付かずに、私の前に、しゃがんで……、 ーこんなことを言った。

白山 怜

ー親父は、日本最大勢力の、暴力団、
「日本連合 篠目 組」
ーの、組長ー
ー篠目 朋揮 様っす……!
ーそして、俺は、この組の、若頭みたいなものっすね!

美雨

ーぼ、暴力……団……っ……!?
ーう、嘘っ!?
ーしかも………
ーと、朋揮さん、が、そこの、組長……………………!?

ー余りの事実に、私は、声を、裏返して、絶句する。 ………と、いうことは、 ………まさか、 ………まさか……、私って………、 ー「ヤクザの孫娘」 ーってこと………っ……!? (ーそ、そんなぁーー!!) ーせっかく、まともな、普通の生活を、送ろうと、思っていたのにぃーー!! ………これから、絶対、普通の生活じゃ、無くなるじゃない………っ……!! 「ーはあーー」 ー心の中で、思いっきり、両肩を落としつつ、私は、深々と、嘆息を吐く。

朋揮

ーと、言うことなんだ……。
ーこれから、仲良く暮らそうな、美雨!

白山 怜

ーご安心を、お嬢……!
ー組のやつらは、良いやつばかりですから………!

美雨

ー………。
ーうう…、分かりました………。

ー私の生活、これから、どうなっちゃうの………!!!? ー心の中で、叫びつつ、私は、二人に向かって、こくこくと、頷いてみせる。 ーこんな風にしてーー。 ー私と、お爺ちゃんとの、普通じゃない日常が、幕を開けたのだった……………。

美雨

ーひ、広すぎる、屋敷ですね………、
ー白山さん、朋揮さん……!

ーそれから、約、2時間後ーー。 ー沢山、歩き続けた先に、私が、二人に、案内された、屋敷はーー、 ………何と、東京ドームが、何千個も、入る程の、大きさだった。 ー外観は、洋館風なのに、その内装は、全て、和室になっていた。 ー………その広さ、造りに、思わず、驚きの声を上げた、私に、答えたのは…………、 ………お爺ちゃんの、朋揮さんではなくーー、 ー若頭の、白山 怜さんだった。

白山 怜

ーええ、うちは、日本 最大勢力の、暴力団ですから………。
…にしても、何故、お嬢は、親父のこと、
「お爺ちゃん」
ーって、呼ばないんすか…?

美雨

(ーううっ、
………ええっと………。)

ー痛いところを聞かれて、私は、心の中で、ずーんと、両肩を落とす。 ー………ここは、正直に、打ち明けた方が、良い、よね………? ー私は、そっと、目を伏せつつ、口を開いた。

美雨

ーと、朋揮さんは、
「お爺ちゃん」
ーというより………、
い、
「イケメン」
ーという、言葉の方が、似合っている気がしているのでして…………!

白山 怜

…………。
ー確かに、親父は、端麗な顔立ちを、していらっしゃいますが……………。

(………あ、あら………?) ー白山さんの、朋揮さんを見る、視線が…………………、 ー何だか………、 ………怖い……ような…………? ー私が、そう、答えた途端ーー、 …………何故か、白山さんの顔が、不機嫌になったのを見て、私は、小さく、首をかしげる。

朋揮

ーおや……?
ー白山が、俺に、嫉妬するなんて、珍しいな…………。
ーいや、初めてなんじゃないか………?

白山 怜

ー………っ!
ーお、親父に、嫉妬なんて、していませんよ…………?

美雨

………えっ………?
(ー白山さんが、朋揮さんに、嫉妬ってーー、
………どういう、意味………?)

ーおまけに、心なしか、白山さんの、色白な顔が、赤い気がするし………………。 (ーーって、 ………どうして、白山さんのことばかり、見ているの……………っ……………!?) ー私が、ちらり、と、白山さんを、盗み見るとーー。

白山 怜

ーえっと……、
ー今日から、俺のことをーー、
………良ければ、
「怜」
ーと、呼んで貰えませんか……、
ー美雨 お嬢…………?

ー白山さんが、いきなり、爆弾 発言を、落としてきた。 (ー………ええっ…………!? ー会って初日で、しかも、ヤクザを、呼び捨てするのは………………っ………!!) ーど、どうしよう…………っ………!!!? ー頭の中が、真っ白になりながらもーー、 私は、頑張って、唇を割る。

美雨

ーい、いきなり、呼び捨ては、ちょっと、無理、なので………、
ー「怜さん」
ーでは、如何でしょうか………?

白山 怜

ー…まぁ、良いですよ。
(小声で)
ーヤバい、可愛い………。

朋揮

ー白山……、
ー本気じゃないなら、絶対に、手を出すなよ………?

白山 怜

ー俺は、本気ですよ……?
………それに、俺は、本気になっても、絶対に、手放すつもりも、手を出すつもりも、ありませんので………。

朋揮

ーそうか、なら良いのだが………。
…………ともかく、美雨は、俺が、溺愛するからな………………?

ー白山さんに、冷たい視線を向け、そう忠告する、朋揮さん。 「手を出すな」 ーって………、 ーい、一体、何のこと………………っ……………!? ーバチバチと、火花を散らす、二人に、私は、あわあわと、視線を、左右に、泳がせる。

美雨

ーあ、あのっ…………!!
ええっと、荷物を置きに、行きたいのですが……………!

ー私は、2人の間に、慌てて、割って入ったけれどーー、 ー二人は、全然、此方の話を、聞いてくれない。

美雨

(ーううっ、
ー前途多難、だよおおおおおおおお………っ……………!!)

ー二人の、イケメンのヤクザの、間でーー、 …………私は、思わず、頭を、抱え込む……………。 ー白山さんの、呟いていた、小さな、言葉に………、 ーこの時の私は、全く、気付かないままだったんだ……………。 ー続くー

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