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美雨
美雨
ー私の名前は、篠目 美雨(ささめ みあ)。 ー今年で、中学2年生。 ー4年前に、両親を、不慮の事故で、亡くしてしまって………。 ー今は、奨学金等を、やりくりしながら、1人、マンションで、生活している。 ー1人で、暮らすのは……、 ー正直、まだ、全然、慣れないし、寂しいんだ………。 (ーでも、パパとママの他に、私に家族なんて、居ないしなぁ…………。) ー私が、ため息を吐きながら、高速道路を、歩き続けていると…………………。
朋揮
美雨
美雨
ー突然、男の人に、声を掛けられた。 ー彼は、40、50代くらいの、顔立ちの整いすぎた、イケメンさん………! 濃紺のスーツを、ビシッと着こなし、とても良い、体つきをしている。
朋揮
美雨
美雨
ー私に、家族なんて、居なかったはず、なのだけれど……………。 ー私が、混乱して、目を見張り、固まっていると……………。
朋揮
ー朋揮さんに、そう聞かれ、私は、我に返った。 ー良く良く観察すれば………。 ーこの人は、前に見た、家族の写真に、載っていた、パパの、パパ ーつまり、お爺ちゃんの顔に、そっくりだ。 ーお爺ちゃんとは、1回も、会ったことが無いけど、電話で話したことは、あった。 ーその人の声と、朋揮さんの声が、完全に、一緒なのを、聞いて………。 ー1人、納得していた、私は…………、 ー朋揮さんに、顔を覗き込まれて、はっと、我に返った。
美雨
美雨
ー私は、頭の中が、パニックになり、あわあわと、視線を、左右に、惑わせる。
朋揮
ーすると、何故か、イケメンさんーあっ、ううん、朋揮さん(?)が、可笑しそうに、笑い声を立てた。
美雨
朋揮
美雨
朋揮
朋揮
美雨
ー私は、咄嗟に、ぶんぶんと、首を、左右に振る。 ー彼氏なんてーー、 ………まだ、私には、早いと思う。 ー青春は、きっと……、 ー恋愛だけでは無いって、思っているから……………。 (………それに、私、可愛くないし………っ………!!) ーさっき、朋揮さんに、 『ーヤバイくらいに、可愛いね、』 ーと、言われた時から、心臓の鼓動の高鳴りが、止まらない。
美雨
朋揮
美雨
ー私が、正直に、自分の意見を口走った瞬間ーー、 ー朋揮さんに、優しく、ぎゅうっと、抱き締められていた。
朋揮
美雨
「……可愛くないですよ…っ!?」 ーと、言い掛けた、私の、唇にーー、 朋揮さんは、そっと、人差し指を、当ててきた。 ーどくん、どくん………! ー心臓の高鳴りが、止められず、私は、思わず、俯く。
朋揮
美雨
朋揮
美雨
ーこんな格好いい、お爺ちゃん(?)と、一緒に暮らすなんて、申し訳ない、というか……………。 ー私が、そこまで言って、口ごもった時ーー、
ー今度は、清楚な、イケメンさんが、やって来て、 「ー親分、お嬢の荷物、全部持ってきました!」 ー朋揮さんに、そう言って、頭を下げた。 ………彼の、両手にはーー、
美雨
ー私の家の、古ぼけた鍵と、荷物が、しっかりと、握られていた。 ーどうして、この、男の人や、朋揮さんは………、私の家や、荷物のことまでも、知っているの………っ………!? ーしかも………、 ー私が、 「お嬢」って………、 ーど、どういう、こと………っ………!?
美雨
白山 怜
朋揮
美雨
ー朋揮さん、今……、 ー子分って、言ったような気が、するんだけど………。 ー私は、内心で、首を捻りながらも、ぺこりと、白山さんに、頭を下げる。 ー私にしては、彼が、突然、私の、目の前に、現れたことよりも………、 彼に、自分が、「お嬢」呼ばわりされていることに、驚いていた。
白山 怜
美雨
白山 怜
ー意外そうに、私に尋ねた、白山さんに……、 ー朋揮さんが、何故か、大分、慌てた様子で、 「ーおい、怜……! ーそれは……!」 ーと、声を掛けたけどーー、 怜さんは、彼には気付かずに、私の前に、しゃがんで……、 ーこんなことを言った。
白山 怜
美雨
ー余りの事実に、私は、声を、裏返して、絶句する。 ………と、いうことは、 ………まさか、 ………まさか……、私って………、 ー「ヤクザの孫娘」 ーってこと………っ……!? (ーそ、そんなぁーー!!) ーせっかく、まともな、普通の生活を、送ろうと、思っていたのにぃーー!! ………これから、絶対、普通の生活じゃ、無くなるじゃない………っ……!! 「ーはあーー」 ー心の中で、思いっきり、両肩を落としつつ、私は、深々と、嘆息を吐く。
朋揮
白山 怜
美雨
ー私の生活、これから、どうなっちゃうの………!!!? ー心の中で、叫びつつ、私は、二人に向かって、こくこくと、頷いてみせる。 ーこんな風にしてーー。 ー私と、お爺ちゃんとの、普通じゃない日常が、幕を開けたのだった……………。
美雨
ーそれから、約、2時間後ーー。 ー沢山、歩き続けた先に、私が、二人に、案内された、屋敷はーー、 ………何と、東京ドームが、何千個も、入る程の、大きさだった。 ー外観は、洋館風なのに、その内装は、全て、和室になっていた。 ー………その広さ、造りに、思わず、驚きの声を上げた、私に、答えたのは…………、 ………お爺ちゃんの、朋揮さんではなくーー、 ー若頭の、白山 怜さんだった。
白山 怜
美雨
ー痛いところを聞かれて、私は、心の中で、ずーんと、両肩を落とす。 ー………ここは、正直に、打ち明けた方が、良い、よね………? ー私は、そっと、目を伏せつつ、口を開いた。
美雨
白山 怜
(………あ、あら………?) ー白山さんの、朋揮さんを見る、視線が…………………、 ー何だか………、 ………怖い……ような…………? ー私が、そう、答えた途端ーー、 …………何故か、白山さんの顔が、不機嫌になったのを見て、私は、小さく、首をかしげる。
朋揮
白山 怜
美雨
ーおまけに、心なしか、白山さんの、色白な顔が、赤い気がするし………………。 (ーーって、 ………どうして、白山さんのことばかり、見ているの……………っ……………!?) ー私が、ちらり、と、白山さんを、盗み見るとーー。
白山 怜
ー白山さんが、いきなり、爆弾 発言を、落としてきた。 (ー………ええっ…………!? ー会って初日で、しかも、ヤクザを、呼び捨てするのは………………っ………!!) ーど、どうしよう…………っ………!!!? ー頭の中が、真っ白になりながらもーー、 私は、頑張って、唇を割る。
美雨
白山 怜
朋揮
白山 怜
朋揮
ー白山さんに、冷たい視線を向け、そう忠告する、朋揮さん。 「手を出すな」 ーって………、 ーい、一体、何のこと………………っ……………!? ーバチバチと、火花を散らす、二人に、私は、あわあわと、視線を、左右に、泳がせる。
美雨
ー私は、2人の間に、慌てて、割って入ったけれどーー、 ー二人は、全然、此方の話を、聞いてくれない。
美雨
ー二人の、イケメンのヤクザの、間でーー、 …………私は、思わず、頭を、抱え込む……………。 ー白山さんの、呟いていた、小さな、言葉に………、 ーこの時の私は、全く、気付かないままだったんだ……………。 ー続くー