安藤がまだ教師になったばかりの頃
初めて担当したクラスでいじめが起きた
夢と希望を胸に教員試験に挑み
念願の教師と言う夢を掴み取った安藤の目の前に
そのいじめは大きな壁となって立ち塞がり
平穏だった日常は崩れていった
必死にもがいていじめを受けている生徒を救おうとした
何かある度に話し合いの場を設け
主犯格の生徒を説得しようと試みた
でも安藤の言葉はその生徒には届かず
今度は安藤が標的になってしまった
授業妨害やボイコット
全く身に覚えのない体罰の告発
言葉で注意したことを殴ったことにされ
わざと顔にアザを作り安藤の仕業だと主張する
女優並みの演技で怯えた姿を見せるその生徒は
安藤にだけ見えるようにわざと微笑み
周りの教師達には涙を見せ肩を震わせた
更に安藤は驚きと恐怖で全身が震えた
安藤優希(担任)
必死に救おうとした生徒までもが
向こう側に立って笑っていたからだ
宮田なるみ
宮田なるみ
安藤優希(担任)
どんな主張も理解されず
暴力教師のレッテルを貼られ
安藤は停職処分を言い渡されてしまった
宮田なるみ
宮田なるみ
いじめられていた生徒に詰め寄られ
安藤はその場から逃げるように立ち去った
もう生徒の顔なんて見たくなかった
学校から逃げ帰る安藤の姿を
生徒達は笑顔で見送った
宮田なるみ
友美がいじめられていることには気づいていた
黒板に落書きされたり
教科書や鞄や上履きを隠されたり
その犯人が幸枝達だと言うこともわかっていた
友美がその事を相談しに来た時
安藤は恐れていたことが起きたと思った
教師として無視することはできない
でも下手に手を出せばまた自分が標的になるかもしれない
調査をすると友美には言ったが
できればこんなことには関わりたくなかった
安藤優希(担任)
こう言えば幸枝はきっと否定する
幸枝はクラスを仕切っているリーダー
その幸枝が実際に"いじめはない"と言い
取り巻きの女子もそれに同調した
幸枝が"ない"と言ったのだから"なし"でいい
全ては友美の勘違い
そう言うことにしてしまえば
自分が幸枝から攻撃されることは絶対にない
幸枝を止めようとした蓮斗のことも邪魔に思い
蓮斗の鞄にクラスメートの財布を入れた幸枝に便乗し
蓮斗を犯人だと決めつけるような発言をした
友美と言う犠牲を払っても
平穏な自分の世界を守りたかった
それからも幸枝達の攻撃は続き
疲弊していく友美に気づきながらも
安藤は何食わぬ顔で日々を過ごした
安藤優希(担任)
安藤優希(担任)
安藤優希(担任)
安藤優希(担任)
あれ以来、友美が相談に来ることはなく
蓮斗の件も解決しないままだったが
いつしかその事に触れる生徒はいなくなり
幸枝達も騒がなくなったため放置し
蓮斗の心にモヤモヤが残る結果となった
九月一日
権田沼聖夜
権田沼奈穂美
二人の転入生が職員室にやってきた
でもきっとこれまでと変わらない
幸枝が転入生の前で友美を攻撃したとしても
周りに合わせて見て見ぬふりをするはず
だからこのまま平穏な日々が続くと思っていた
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