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ミーンミンミンミーン……

ないこ

あっちぃ……

夏  俺は実家に帰ってきていた

ないこ

はぁ、なんでエアコン
ついてないの……

ウィーンと扇風機の音が頭に響く

ないこ

……そういえば、
今日だっけ、夏祭り

いつもこの季節、この日に 夏祭りが地元では開催されていた

ないこ

どうせなら
行こうかな〜

ぼっちでは寂しいかもだけど

ないこ

んー、行こう!

ないこ

食べたいものいっぱい
あるし!

ないこ

あ、せっかくなら
浴衣も着てこ〜っと!

夏祭りに行く となれば テンションも上がる

ないこ

懐かしーなぁ

そして 思い出も蘇る

ないこ

よく、アイツらと
夏祭り行ってたなぁ

幼馴染2人と、鮮やかな夏祭りの記憶

ないこ

確か、あの時も
こんな風に________

こんな風に暑い夏の日のことだった

ないこ

はー、あっつ"……

エアコンは壊れてて、 ウィーンと扇風機の音が 頭の中に響いていた

いふ

なーいこ!

りうら

ないちゃーん!

ないこ

んぇ?

だらりと寝転んでいた俺を呼んだのは 幼馴染2人だった

ないこ

どうしたの?

いふ

だらっとしとんなって
早よ着替えてこいって!

ないこ

…今日なんかあったっけ

りうら

え!?ないちゃん
忘れたの!?

働かない頭の中を探ってみる、が 何も思いつくものはない

ないこ

…なんだっけ

りうら

ええ……もう、
しっかりしてよ

いふ

今日は夏祭りやろ!?

ないこ

あ、ああ〜!!

夏祭り! そういえば行く約束をしていた

ないこ

ごめん!今すぐ
着替えてくるから!

いふ

わかったけど、
はよしてよー?

りうら

売り切れてたり
したらないちゃんの
せいだからね!

ないこ

はーい!

2人に急かされて、俺も急いで 浴衣に着替えた

ないこ

着替えてきたよ!

いふ

お!ほんまや

りうら

桜って感じの浴衣だね〜
めっちゃ似合ってる!

ないこ

え?そう?

りうらに褒めてもらった。 なんだか照れ臭いけど嬉しかった

ないこ

2人も浴衣凄い
似合ってるよ!

いふの浴衣は蝶の柄が入った 青色の物

いふ

そうやろ?

りうらの浴衣は椿の柄が入った 赤色の物

りうら

ありがと!

ないこ

さ、行こっか!

いふ

let's go!

りうら

ゴー!

いふ

めっちゃ人おるな〜

りうら

祭りって感じだ!

ないこ

良い匂いする……

それぞれ、夏祭りの感想を述べながら どこへ行くか、何を買うかを決めた

ないこ

まずりんご飴だね!

りうら

どこかな?

いふ

あ、あそこにあるで!

ないこ

お、本当だ!行こ行こ!

いふ

逸れやんで!

パシッと音がして手首を掴まれる

ないこ

あ、ごめんごめん

夏祭りの熱気にやられたのかな なんて思いながら冷静になっていく

りうら

あ、そうだ!

りうらが思いついたように言う

りうら

みんなで手
繋いでいこうよ!

りうら

そしたら
逸れないでしょ?

ないこ

いふ

ええな、それ

ないこ

俺も良いと思うよ!

3人仲良く手を繋ぐ

ないこ

ふふ……

2人のことが、結構好きだった 俺はこの繋がりが嬉しかった

いふ

あ、りんご飴って
いくら?

りうら

300円くらいじゃない?

ないこ

えっ、結構する……

持ち金が1000円程度しかないため 何を選ぶかは重要だとこの時知った

りうら

まあお祭りだし?

いふ

しょうがないよね!

ないこ

…そうだね!

「お祭りだから」 今日はあんまり考えない!

ないこ

おじさん!りんご飴三つ
くださいな!

店のおじさん

はいよ!どれが
いいか、選んでな!

気前の良い笑顔もお祭りだから、 おじさんも楽しいのかもなぁ なんて、どうでもいいことを思った

りうら

僕、この赤そうなの!

いふ

じゃあ俺これ〜

ないこ

じゃあ、いふの隣のやつ
にしよーっと

店のおじさん

はい、まいど!

俺たちはそれぞれ300円出し、 りんご飴をもらった

りうら

おお……僕、何気に
初めてりんご飴自分で
買ったかも…

ないこ

ええ?

いふ

去年も来とったやんかw

りうら

去年はチョコバナナに
するからって買わなかったの!

ないこ

そういえば、そうだっけ?

りうら

そうだよ!

いふ

www

くだらない会話を交わして お店を見回る

ないこ

んー、次どこ行く?

りうら

金魚すくいは?

いふ

金魚飼えるん?

りうら

う"っ……

図星だと言わんばかりの反応をする それが可愛いかった

ないこ

飼えないなら
別のにしようね?

りうら

……はーい

唇をとんがらせて、不機嫌そうに 返事をする

ないこ

…じゃあヨーヨー釣り
しようよ!

いふ

お、ええな!

りうら

やりたいやりたい!

さっきの姿はどこへやら 目を輝かせどこかな?と探している

ないこ

(可愛いなぁ)

声に出したら怒られるから 言わないけど

いふ

あ、一回100円やって

ないこ

100円かぁ……
誰からやる?

りうら

僕からやる!

いふ

お、がんば

ないこ

頑張って!

りうら

うん!

意気揚々と前へ行く

店のおじさん

はい、どうぞ

りうら

ありがとう!

ヨーヨー釣るためのこよりを貰い 浴衣の袖を捲り、水槽の中を除く

りうら

よーし、どれに
しようかな〜

ないこ

あ、赤色のあるよ

りうら

本当?じゃあ、それに
しようっと!

いふ

がんばれー

りうら

よーし……

真剣な顔で赤色の鮮やかなヨーヨーと 向き合っている

りうら

とりゃあ!

パシャっと水音がして、 釣れたかな?とりうらの方を見る

ないこ

……千切れちゃったね

りうら

むぅ……!

いふ

まあまあ、ないこが
仇取ってくれるってよ

ないこ

りうら

え!?本当ないちゃん?!

全く、勝手なことを言ってくれる 後でしばく

ないこ

はぁ……しょうがないな!

いふ

お、さすがないこ!
がんば!

ないこ

いふおぼえとけよ

いふ

はにゃ?

コイツとぼけやがって!とまあ 思ったがりうらの眼には敵わなかった

りうら

ないちゃん!
赤色のとって!

ないこ

おっけー!任せといて!

ないこ

よーし!

さっきのりうらと同じように 袖を捲り、濡れないようにする

ないこ

……っと!

りうら

あ、とれてる!

ないこ

やったぁ!

いふ

めっちゃ喜ぶやんw
渋々やったくせにw

ないこ

るっせぇw

歓喜の声を上げていると、 店のおじさんが

店のおじさん

お、千切れてないから
まだできるよ

と言ってきた

ないこ

え、やった!

ないこ

何色の釣ろうかな〜

青、赤、緑、黄色など、様々な 色のヨーヨーが浮いている

いふ

その、ピンクのに
したらどうや?

りうら

ないちゃんの色だもんね!

ないこ

じゃあ、それにする!

俺はピンク色の可愛らしいヨーヨーを 狙うことにした

ないこ

……よっ、!

集中して、やった だけど

りうら

あー,千切れちゃった

ないこ

とれなかった……

りうら

ないちゃん……

いふが声を張って言う

いふ

しょーがないなぁ!

いふ

俺がとったるわ!

ないこ

え?マジ?

りうら

お、いふくんがんばれ!

ないこ

頑張って!とって!

これでとれたら、さっきのは チャラだけどとれなかったら 倍にしてやる と心の中で誓った

いふ

これでも得意
なんやからな

そうやっていふが、一息つくと

いふ

よっ……と!

素早い動きでこよりを動かした

ないこ

あ、とれてる!!

りうら

凄いいふくん!

いふ

当たり前やろ!

ふふん、と自慢げに笑っている 面白いなあ、なんて思った

ないこ

あ、まだ千切れてないから
もう一回できるじゃん!

いふ

よーし,今度は
青色のとるわ

ないこ

頑張れ!

りうら

頑張れ〜!

店のおじさん

頑張れよ!

もうなんか店のおじさんまで 応援し出している

いふ

………よっ、!

緊張が走る中、 いふはこよりを動かした

ないこ

お、おー!!

りうら

とれてる!!

いふ

よっしゃぁ…!

こよりは千切れる寸前まで きているが青のヨーヨーはしっかり 釣れていた

いふ

おじさん、ありがとう
ございました

ないこ

ありがとうございました!

りうら

ありがと〜!!

店のおじさん

おう!こちらこそ!

店のおじさんにお礼を言って、 ヨーヨーのお店を後にした

ないこ

次はどこ行く?

いふ

あ、俺焼きそば
食いたいんやけど

ないこ

俺はたこ焼きかな〜

りうら

えー?僕じゃがバタが良い

3人の意見がここに来て別れる

いふ

……

ないこ

……

りうら

……

気まずいようなどちらかと言うと 張り合っている雰囲気が流れる

ないこ

割れちゃったね……

いふ

どうする?

りうら

……集合場所決めて
後でもっかいくれば
良くない?

ないこ

そうだね

いふ

そうしよや

まあそんなこんなで 別行動を取ることになった

ないこ

ふー、買えた買えた

たこ焼き屋は並んではいたが、 無事に買えた。

ないこ

今更だけど、本当
暑いなぁ〜

うちわをパタパタと仰ぎながら 集合場所まで移動する

ないこ

あ……綺麗な髪飾り…

ふと眼に止まったのは、花形の髪飾り

赤から青に変わる 鮮やかなグラデーションの大きな花に 小さく可愛らしい赤色と青色の 花が二つ付いている

ないこ

うわっ……高っ…

値段は1000円と俺にとっては 高めな値段でもちろん 買えるわけもなかった

ないこ

あ、時間やばっ!

ないこ

もう集合する時間じゃん!

見惚れていて時間を忘れていたようだ

俺は走って集合場所へと向かった

集合場所に着いたとき、 もう既に花火は始まっていた。

いふ

こっちやで!

ないこ

ごめん、遅れた!

りうら

おっそいよ!

ドーンドーンと花火は 打ち上がっていく

いふ

……綺麗やな

りうら

うん、とっても

ないこ

……

小さな声で言う

ないこ

俺、この先も
何十年未来だって

ないこ

お前らと一緒に
こうやって花火を見てたい

何十年未来だって いふと、りうらのこと好きでいるから

ないこ

……

ミーンミンミンミーン……

ないこ

あの後、髪飾り
買ってくれてたの、
すっごい嬉しかったなあ

髪飾りに触れる ずっと閉まってたからか、冷たい

ないこ

夏祭り行こうっと

もう、準備は済ませたから 俺は立ち上がり夏祭り会場まで 向かった

着いた時には、花火はもう既に 打ち上がっていた

ないこ

少し、出遅れちゃった

笑ってみせるけど、それを許す友は ここにはいない

ないこ

……

ドーンと、花火の音がただ辺りに 響いていた

ないこ

……キレイ、だなあ

零す言葉は誰の耳にも届かない

翌日、俺は墓に来ていた

ないこ

いふ、りうら

ないこ

久しぶり

二つ並んだ墓を見てそう言う

ないこ

お前らが先にいったから
俺、ぼっちで夏祭り
いったんだよ?

2人して、俺を置いていって。

ないこ

本当、酷いよね

掠れた笑いは2人には届かない

ないこ

……夏祭りでさ、
ヨーヨー釣りしたの
覚えてる?

ないこ

赤、青、ピンクのさ

ないこ

つい懐かしくなっちゃって
とってきたんだ

ないこ

凄くない?一回で
三つとれたんだよ?

凄いね! やるやん そんな声は、聞こえてはこない

ないこ

せっかくだし、
お前らにやるよ

赤と青のヨーヨーをそれぞれの墓に 置いた

ないこ

こんなんより、
花がいい?

ないこ

ねえ、答えてよ

わかってるよ

何も聞こえてこないのが 答えなんだよね

ないこ

……安心して!

ないこ

花もちゃんと
持ってきてるから

ニチニソウ ネリネ それぞれに2本ずつ

ないこ

あんまりお金ないから
これで我慢してね

2人の前まで行ってそっと花を刺した

ないこ

……

ないこ

またね

今も昔も大好きだよ

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