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乃亜 side
二人きりの図書室。 一緒にいるのは同じ図書委員で幼なじみのゆうき。
海人
乃亜
二人きりで話なんて、期待しかしない。 …でも、そんな自分がバカだったことを 5秒後に思い知らされる。
海人
乃亜
乃亜
思ってもいないことを言葉に出すのは ある意味私の特技だ。 でも、こんな時までしなくても いいのにね、私。 っていうか、ちゃんと笑えてるかな。
乃亜
海人
乃亜
海人
タオルをぱぱっと出して、 トイレへ駆け出す。 よかった、涙、隠せて。 きっと、私笑顔で頑張れてた、 多分だけど。 あぁ、もう、好きなのに。 絶対、私の方が海人のこと好きなのに。 絶対私の方が前から好きだったのに。 …でも、伝えてない方が悪い、よね。 あぁもうどうしよ。 海人に会う顔がないよ…。 もう顔みたら泣く自信しかない。 ほんとだったら一緒に帰る 予定だったけど、 そんなの、むり。
海人
乃亜
海人
乃亜
海人
…ばか、もう優しくしないでよ。 これ以上、好きになりたくない。 結局、海人がかえったのを見てから しばらくして、1人で帰った。
[ピピピ ピピピ] 今日も目覚ましに起こされる。 身体を起こして目の前を鏡を覗いたら、
乃亜
昨日泣いたのがキレイに跡になって、 しかも瞼はすっごく腫れている。 こんなの、海人にもクラスメイトにも 見せられない。
乃亜
お母さん
乃亜
お母さん
随分察しがよくて気の回るお母さんだ。
乃亜
私は力なく微笑んで、 また布団に潜り込む。 最近ただたんに睡眠不足 だったのもあり、 1時間くらいねていたら、 通知の音で目が覚めた。 LINEを開くと。…海人だ。
海人
もー…海人のばか。
乃亜
海人
乃亜
海人
乃亜
やめてよ、 だから、優しくしないでってば。 もう、好きになっても意味ないのに。 この気持ちは、どうにもできないのに。 その日は1日、 部屋にこもって過ごした。 でも、頭の中にずっと海人がいて、 また涙も止まらなくなって、 心が休めた時間なんてなかった。
次の日、瞼は冷やして 腫れたのを直してから家を出た。 そしたら少し歩いたところに、 海人がいた。 …なんで。
乃亜
海人
乃亜
海人
今出来る精一杯の笑顔をつくり、 海人の方を向いて話した。 海人が笑うたび、胸がぎゅっとなる。 でも、それは思い出しては いけない感情。 その感情は、胸の奥底に閉じ込めて、 なかったようにすごそうと心に決めた。 …ちゃんと、笑えてますように。
海人 side
もう図書室には俺と乃亜の二人きり。 仕事も終わらせたから、 昨日からの悩みを 乃亜に打ち明けようと思った。
海人
乃亜
微笑みながら、こっちに振り向く。 その笑顔に、もしかしたら止めてくれるんじゃないか、なんて、 思った自分が馬鹿だと思う。
海人
乃亜は、びっくりしたような、 傷ついたような顔をした。 言ってくれるか?乃亜は、俺のこと、
乃亜
…なわけねぇもんな。 乃亜は、笑ってる。 いや、ちょっと引きつってる気もする。 そんなの、俺の願いも入った幻覚かな。
乃亜
海人
乃亜
海人
急いでいるようにパタパタと走りながら トイレに向かう乃亜。 …ほんとは、乃亜のことが好きだ。 もし、これを言って止めて くれたりしたら 別れようって思ってたけど、 よかったねなんて言われたら、 付き合うしかねぇし、 …はぁ、ほんと、俺ってだっせぇな。 相手の気持ちを探らないと、 自分の気持ち言えないなんて。 正直、今乃亜とは笑って 話せる気がしない。 一緒に帰るの、大丈夫かな。 なんて考えてたら 乃亜からLINEがきてた。
乃亜
…まじか。 でも、ちょうど良かった、 なんて思ってる俺がいる。
海人
乃亜
海人
…さて、帰りますか。 すぐにカバンを持って、学校から出た。
次の日、教室に入ったら、 いつも早くついている 乃亜がいなかった。 休みか…?なんて思ってたら
担任
なんて担任の声が聞こえてきた。 ちょうどいいような、会いたいような。 そういえば、 昨日お腹痛いって言ってたから、 悪化したのかもしれない。 LINEを送ろうとしたけど、 LINEの通知が来てて、 あぁ、なんだゆかか。
ゆか
…正直、めんどくさいな、なんて。 ゆかに会うなら、乃亜に会いたい。 そう思って俺は普通にゆかに 既読スルーをしていた。 心配してほしそうにするゆかより、 他の人に心配かけたくない乃亜の方が、 よっぽどいいやつで、…好きなんだ。 何も考えずに、 乃亜のLINEを開いてた。 そしてLINEを送ると またすぐに大丈夫って言う。 ほら、乃亜の方が、 よっぽどいいやつなんだ。 その日は1日、 授業なんかに集中できなかった。
次の日、乃亜に早く会いたくて、 乃亜の家の近くで乃亜を待ってた。 視界に歩く人が入ってきて、 ぱっと顔を上げると乃亜が歩いてた。 こっちをみて、 ちょっとびっくりした顔している。 乃亜の瞼はなぜか少し腫れていたけど、 こんな時に聞けるほど、 俺は強くないんだ。
乃亜
海人
乃亜
海人
にこっと眩しく笑う乃亜を見ると、 胸が痛くなる。 俺も笑顔をつくって返したら、 なぜかすぐにそらされた。 もう、俺はダメってことなのかな。 乃亜が笑う度、どんどん胸が痛くなる。 そして、どんどん乃亜への 感情が溢れてくる。 でもそれは、 思い出してはいけないんだ。 心の中で蓋をして、しっかり鍵をかけて その感情に気付かないふりをした。 …友達でもいい。 だから今は乃亜の隣にいさせてくれ。 ~END~