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続き気になります!
ハート10000いけました!
よっしゃぁぁぁあとちょっと!
突然私の前に現れたのは、六本木で有名らしい灰谷さん。
私が人殺しだと知っていて、オマケに幽霊扱い。
誘拐する理由も教えてくれないし、これから何処に行くのかも教えてくれない。
灰谷さん、変な人。
そう思いながら、灰谷さんの隣をそろそろと歩く。
食べかけのおにぎりを再度食べ始めると、梅干しの酸っぱさが濃くなっていた。
𝐘𝐨𝐮
このままだと気まづいと思った私は、おにぎりの具の話を振った。
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𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
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案外灰谷さんと喋るのは退屈では無かった。
かと言って面白くは無いけど、今までの生活の中では1番だ。
噂ひとつで誰も私に寄り付かない。
そんな私を誘拐してくれるのならば、それはそれで良いと思っている。
𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
すると、『ふーん』と全く興味無さげに返事をする灰谷さん。
ていうか、何処まで歩くのだろう。
誘拐されると言っても、全く意図が読めない。
何の為にするのか。何で私なのか。
知りたいけど、それを教えてくれないのが灰谷さん。
𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
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どうやら、車道が狭い所まで誘導させられていたようだ。
確かに気付けば、段々景色が暗くなっていた。
人通りが少なく、暗くて、電柱の光だけが頼りの場所。
誘拐を周りの人に見られたら面倒くさいからかな。
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𝐘𝐨𝐮
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やっぱりか。
ここで私は誘拐されて、灰谷さんのオモチャになる訳だ。
𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
何か灰谷さんが小声で言ったが、小さ過ぎて聞こえなかった。
絶対怒らせてしまったのは分かる。
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𝐘𝐨𝐮
今から私は、灰谷さんに誘拐される。
怖いけど、怖くなかった。
逆にワクワクが止まらなくて、これから私の新しい人生がスタートする様だ。
私は残りのおにぎりを口に含み、目の前に停る車に乗った。
車内は外と同じく暗かった。
初めて車に乗った。フカフカしてる。
初めてハンドルを間近で見た。
あれちゃんと回るんだ。
幼い頃から兄と2人きりだった私は、親という物は居なかった。
いや、居たのだろうけど、途中で私達と歩むことを辞めたのだろう。
だから、旅行にも行った事は無いし
遠足なんて月に行くぐらい私とは縁のない物だった。
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𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
車って、こんなにスピードが出るんだ。
楽しい。面白い。
初めてシートベルトを閉めるのも、車のドアを閉めるのも
全部遠足気分みたいに楽しかった。
ラン
車の窓を開け閉めしていると、隣の少し離れた所に座る灰谷さんが言った。
さっきから幽霊幽霊って、灰谷さんこそ死神じゃないか。
𝐘𝐨𝐮
ラン
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そんなの楽しいに決まってる。
あの時の地獄と比べたら、ここは楽園だ。
𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
𝐘𝐨𝐮
𝐘𝐨𝐮
𝐘𝐨𝐮
誘拐された事に感謝を。
そんな事を言ってられるのは、世界で1人のこの私だけだろうか。
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𝐘𝐨𝐮
私は隣で不機嫌そうに言う灰谷さんに、そう返した。
暫く車に乗って、30分が経った。
するとどうやら目的地に着いた用で、車は止まった。
𝐘𝐨𝐮
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酷いな、灰谷さん。
でもその塩対応の理由は直ぐ分かった。
𝐘𝐨𝐮
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車で移動中、ずっと興奮状態だった私は目が覚めてたが
灰谷さんはどうだ。少し眠そうにしていた気がする。
ラン
そう言われ、私は運転手さんに挨拶をして車から降りた。
すると、目の前には大きなマンションが。
灰谷さんの家かな。
𝐘𝐨𝐮
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私専用? 私を誘拐したあとここに住まわせる為に?
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すると、灰谷さんは鍵を手渡して来た。
え、鍵受け取っていいの? 誘拐なのに。
𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
新しい登場人物だ。
アイツって誰だろう。
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𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
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聞くと、だるそうに答えてくれた。
私を誘拐する事を考えたのは、どうやら灰谷さんの弟さん。
その弟さんの名前は、竜胆さんと言うらしい。
𝐘𝐨𝐮
どこかで聞いた事のある名前。
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そう考え事をしていると、そう灰谷さんは言う。
𝐘𝐨𝐮
もうエントランスの鍵を開け、中に入っていた灰谷さんを追い掛けた。
エントランスを抜け、エレベーターで8階まで上がっていく。
このマンション、ハイテク過ぎて階段が無いらしい。
エレベーター壊れた時はどうするのだろうか。
そう思ったが、考えても分からない為辞めた。
そしてその部屋へと進んでいく。
着いた先は、マンション内部の8階の一番端の部屋。
809号室だった。
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𝐘𝐨𝐮
新しい家。
兄に追い出されて初めての家だ。
ボーッと見ていると、灰谷さんはポケットからカードキーを取り出し
ドアノブに付いたセンサーに翳した。
ピッと言う機械音が鳴ると、オシャレでシンプルなドアが開いた。
𝐘𝐨𝐮
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私の言った事を無視した灰谷さんは、部屋に早く入るよう急かした。
そっか... これを計画したのは弟さんだし、灰谷さんには関係ないのか?
そもそも、私を誘拐する理由って何だ。
さっき車でも聞いてみたけど、一向に答えてくれる様子は無かった。
.....気になる。
ただ単に無差別誘拐で私を選んだ訳でも無さそうだし。
そう考えていると、どうやらボーッとしていた様で
後ろから灰谷さんに背中を押され、無理やり部屋に入れられた。
𝐘𝐨𝐮
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2人とも無事部屋に入ると、後ろの扉はガチャンっと重い音を出して閉まった。
暗い玄関だったのが、灰谷さんが電気を付けたことによって明るくなる。
玄関の先を見ると、見たこともない感じのオーラがあった。
玄関の床は大理石の様な物で、その先に繋がる床も白で綺麗。
𝐘𝐨𝐮
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私が感動しているのもつかの間、灰谷さんはまた不機嫌そうに言った。
説明ってなんだろう。と思いながら靴を丁寧に脱いで並べた。
ついでに灰谷さんの靴も並べて置いた。
カチッと音がすると、リビングの明かりが付いた。
どうやらリビングはセンサーが反応して自動で電気が付くらしい。
その照明もまたオシャレで、またもや感動した。
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部屋を見回していると、キッチンの横で立つ灰谷さんが言う。
𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
少し想像していた物と違い、困惑。
誘拐って、鎖とか付けられてご飯も出してくれないイメージがある。
𝐘𝐨𝐮
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𝐘𝐨𝐮
『何言ってんだコイツ』とも言いたげな顔をする灰谷さん。
ますます誘拐する意味が分からなくなってきた。
その後、私は困惑したまま灰谷さんから部屋の説明を受けた。
いくつかルールもあって、計画には手が込んでいる。
外に出る時は必ず連絡。
危険で暗い場所は一切禁止。
買物等、自分の好きな事をする時は自由。(但し連絡する事)
そんな感じの事を何個か言われた。
...で、その中で理解し難かったのが、
他人の男との接触禁止。
これが1番よく分からなかった。
まあルールはルールだし、守る必要はあるけど。
結構守るのキツいんじゃないかと思ったが、どうせバレないとも思った。
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𝐘𝐨𝐮
そのまま寝泊まりすると思っていたが、そうでは無かったようだ。
こんな高そうなマンションも買えて、自分の家もあるなんて。
お金持ちなのかな、と頭の片隅で思った。
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𝐘𝐨𝐮
私は1つ、この部屋に疑問があった。
ベッドがシングルで無かった事だ。
″私専用″なのに、何でダブルベッドなのだろう。
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𝐘𝐨𝐮
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そう言って呆れたように顔を顰めたが、私はお構いなく聞いた。
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𝐘𝐨𝐮
そんなんならここで寝て行けばいいのに、と思ったが言わないでおこう。
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𝐘𝐨𝐮
すると会話は途切れたようで、灰谷さんは靴を履いて出て行った。
私はその姿に、軽く手を振る。
...灰谷さん、変な人だけど
そんなに、嫌じゃない。
朝。5時半に目が覚めた。
こんなに朝早く起きたのは初めてだ。
こんなに早く起きた理由は、朝ご飯を作るため。
今日の7時頃、予定通り行けば灰谷さんと竜胆さんが来る。
その2人の分の朝ご飯も作ろうと思ったからだ。
𝐘𝐨𝐮
私は昨日の灰谷さんの言った事を思い出しながら、料理を始めた。
冷蔵庫の中には、案外色んなものが入っている。
アイスも、冷凍食品も、フルーツも野菜もジュースも。
こんなに行動が制限されてない中で、食料も沢山だなんて信じられない。
まるで『誘拐』では無く、『保護』されている気分だ。
そう思いながら、私は朝食を作り進めた。
時計の針が、7時10分を刺す。
その途端、ピッとあのカードキーを翳した時の音が鳴った。
𝐘𝐨𝐮
私はワクワクして、玄関まで走った。
𝐘𝐨𝐮
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リンドウ
扉が開くと、やはりそこに2人が居た。
1人は灰谷さん。もう1人は弟の竜胆さんかな。
そう思い竜胆さんに挨拶をしようとした時だった。
ギュッ
私は竜胆さんに、抱き締められていた。