テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#2
黄side
朝、長男から帰ってくるという旨の
連絡があった。
運良く連日の休みが取れたらしい。
親が亡くなってからというもの
離れた場所で仕事をしている為
中々此方に帰って来られなかった。
だから最後に会ったのは
確か一年以上前。
楽しみに思う反面
なんだか落ち着かなくて
朝のメッセージを何度も開いて
読み返す。
兄からのメッセージには
18時くらいに着く、という文章。
他の兄達もバイトや部活で忙しく
中々一緒に居れる事はない。
だから夜までは僕が独り占め。
そう考えると
何時もはずっと1人な分、
更に嬉しさが掻き立てられる。
家の前に着き
胸の高鳴りを感じ詰、
肩にかけた鞄を漁り
鍵に付けたキーホルダーを掴む。
反射して見えた顔は
自分でも笑ってしまう位に若気ていた。
家に入り、
靴を脱いで手を洗う。
着替えるのは面倒臭く、後回し。
キツい位に上まで締めた
ネクタイを緩め乍
廊下を歩き、
リビングの一番手前にあった
椅子に鞄を置く。
肩が一気に軽くなって
少し開放感。
若干残る肩の重みを感じ詰
背もたれに軽く手を置いて
力を抜く様に溜息を吐く。
少しして、
顔を上げると
体の方向的に
壁掛け時計が目に入った。
針は予定の時間より
30分程前を指している。
あと30分か、
そう思うと楽しみで
なんとなく
何時もはやる気の出ない課題を
リビングの机に広げ
鼻歌混じりにシャーペンを動かす。
玄関から少し大きめの音がした。
一度課題から目を離し、
再度時計を眺める。
5分程早いが
時間からして
きっと僕の待ち侘びた人。
それにしても
連絡無しなんて珍しい、
多少の違和感を感じ乍も
シャーペンを置き、
迎える為に椅子から立ち上がる。
黄
紫
目線が合わない。
何時もはきっちりと着ているスーツも
今は乱れて、
汗で少し濡れている。
素っ気ない態度と
何故か焦っている様子に
只事では無いと思い詰
無意識に口が動く。
黄
黄
紫
質問に質問で返された
黄
久しぶりに聞いた赤にぃの名前。
思わず口に出してしまう。
なんで急に赤にぃのこと…
そもそも
僕の知る限り
桃にぃも橙にぃも兄達はみんな
赤にぃと話さない。
てっきり紫にぃもそうだと思ってた。
頭の中に沢山疑問が浮かぶ。
取り敢えず
質問に答えようと
記憶を辿ってみるが
一向に思い出せる気配が無い。
なんでだろ、
一緒に生活している筈なのに
中々顔を合わせないし
僕は赤にぃのこと全然知らない。
黄
紫
黄
曖昧に返事はしたものの
正直な所、
毎日家に帰ってきてるかすら
分からない。
偶に部屋から音がしたり
玄関の開く音がしているから
多分帰ってきてると思うけど..
そんな考えを巡らせ乍
紫にぃを見ると
何か考え込んでいる様子。
会話からして
きっと赤にぃの事。
今更、
なんでそんなに気にするんだろ..
....あぁ、
赤にぃが
羨ましい
コメント多かったので 連載に移行しました
続けるに伴って#1の方も 若干の改変を入れたので
是非読んでくれると嬉しいです
コメント
6件
おぉぉまさかの連載化!?✨ これからどう進んでいくのかが楽しみだ…!(っ ॑꒳ ॑c)
やばいめっちゃ好みです!! 続き楽しみにしてます! にしても毎回語彙力が凄い…絶対国語できる人だ……