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先生

転校生、早く入れ。

…はい。

教室に足を踏み入れた途端に、ざわめきが広がる。

前の学校の制服を身にまとっている私は、ここで1番浮いているのだろう。

西園寺華と申します。

気軽に、華って呼んでください。

一拍間が置かれた後、割れんばかりの拍手が響き渡った。

そんなクラスメイト一人ひとりをざっと見てみる。

1クラス40人の教室は、前の学校より少し手狭に感じた。

…?あの、先生。

先生

なんだ

1番後ろの席が空いているようですが…私の席ではないですよね。

男子の列の1番後ろ。一つだけぽつんと、誰にも座られていない席が佇んでいた。

先生

あー…アイツは訳ありでな。

登校しなくても良い理由でもあるんです?

先生

いや、

誰もめんどいから相手にしないんだよ、華ちゃん!

先生

おい木枯。遮るな。

あっ、俺は木枯樹っていうのね。よろしく!

ええ、よろしく樹さん。

先生の話を遮って教えてくれた樹さん。ムードメーカー的存在なのだろう。誰も嫌な顔はしていない。

先生

そんな事は気にしなくていいんだ。

先生

おら、授業始まるから西園寺も席につけ。

はい。先生。

……。

流斗

だりー…

学校の屋上。普段は立ち入り禁止になっているここは絶好のサボり場だった。

何しようと誰の目にも入らない。

誰の邪魔にもならない。

家に居てもイライラするだけだ。

屋上に続く階段を昇る音が聞こえる。

こんな所に来るやつなんて物好きかヤンキーくらいだろうに。

流斗

(人がいない所に行きたいんだっつーの。)

…あら?

ドアを開けたのは黒髪ロングの女子生徒だった。

転校生かなにかだろう。見たことのない顔だ。

貴方が、茅ヶ崎さん?

流斗

…なんで、俺の名前。

先生に聞いたの。

私は転校生の西園寺華。

貴方と同じクラスなのよ

先生やクラスメイトには放っておけって言われたけど、気になってしまって。

気を悪くしたならごめんなさい、と謝る西園寺を横目に屋上を後にした。

流斗

(ああいう正義感強いやつが1番嫌いなんだよな)

流斗

何も出来ない癖に。

気持ちだけじゃ何も変わらない。

変えて欲しいとも思わない。

ちょっと!話の途中でしょう!

遮って帰ろうとするなんて失礼だと思わないの!?

流斗

着いてくんなよ

貴方が話を聞いてくれるなら追いかけたりしません!

人のプライベートにズカズカ踏み込んでくる奴が1番嫌いなんだ。

無力の癖に。

流斗

お前には関係ない

あります!私達、クラスメイトでしょ?

流斗

呆れた

お人好しが過ぎる。ただのアホだ。

いくら金髪でピアス開けてる、どこからどー見ても不良の貴方でも放っておけないのよ。

流斗

ナメてんのアンタ。

流斗

そのどー見ても不良の俺に関わったらめんどいだろ。近寄んな。

一匹狼拗ねらせてる貴方を助けたいんです!

流斗

寝言は寝て言えポンコツ

ぽ…ポンコツ…!?

失礼ですよ貴方!初対面の人間に向かってそんな口の利き方…!

流斗

人の事を貴方貴方ってうるせぇな。俺には茅ヶ崎流斗っていう名前があんだけど。

西園寺は軽く息を吐いて俺の目を見つめる。

人の目を見つめてくるやつにろくな奴はいない。

そうですね。茅ヶ崎くん。

貴方のその意見も一理あります。

なら、茅ヶ崎くんも私の名前を呼ぶ理由がありますよね?呼んでください。

華でも西園寺でも、お好きな方で。

西園寺は口の端をピクピクさせながら、笑顔でそう言った。

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