昼下がりの銀行は
静かで張りつめていた
窓口で名前を呼ばれ
案内されたブースに腰を下ろす
目の前に座る男性は
淡いグレーのスーツに身を包んでいた
整った髪型
無駄のない所作
名札には「国見 英」と書かれている
国見
国見
低い声に○○の眉が反応する
○○
○○
○○
国見さんは少しだけ私の顔を見てから
手元の書類に目を移した
国見
国見
国見
落ち着いた声
抑揚の少ない話し方なのに
言葉がきちんと届く
○○
私が頷くと
国見さんは淡々と資料をめくった
国見
国見
○○
国見
国見
質問は必要なことだけ
表情もほとんど変わらない
けれど言葉の端々から
「仕事への真面目さ」が伝わってきた
○○
○○
国見
国見
国見
淡々と進む会話
それ以上、彼は余計なことを言わなかった
冗談も慰めもない
でも、不思議と冷たくは感じなかった
書類の説明が終わる頃
彼が1度こちらをみた
国見
国見
○○
国見
国見
簡潔で正確な言葉
その一言には妙な安心感があった
帰り際
ビルの窓に冬の光が射していた
ガラスに映る自分の顔を見て
ふと今日担当してくれた国見さんを思い出す
年齢は近そうだけど
...しっかりしてる人だったな
○○
○○は小さく呟き
そのまま自分のお店へと向かった
カフェに戻ると
昼下がりの光が窓辺を照らしていた
るいちゃんがカウンターの奥で伝票をまとめて
私の顔を見るなり
パッと顔を明るくした
るい
るい
○○
るい
るい
るい
るい
○○
○○
○○
○○
るい
るい
るい
るいちゃんの声はまっすぐだった
この子の明るさは
どんな時でも救いになる
○○
○○
○○
るい
○○
○○
○○
るい
○○
○○
そのありがとうに自分の声が
少しだけ掠れていた
小さなベルの音が鳴ったのはその時だった
○○
振り返るとそこに居たのは
○○
○○
那月
那月
入口には那月が立っていた
昔と変わらない無造作な髪
少し疲れたような笑顔
あのころと同じように
気づけばそこにいるひとだった
那月はカウンターの席に座った
○○
那月
○○
那月
○○
○○
そう言って○○はブレンドを前に出した
○○
那月
自然と懐かしさが蘇る
那月
那月
○○
○○
○○
○○
那月
○○
○○
那月
那月
那月の視線が
私の手元に置かれた資料へ
一瞬だけ落ちる
紙をめくるわけでもなく
ただチラリと目を走らせた
那月
○○
○○
那月
那月は1口飲むと少し笑った
○○がペラペラと紙をめくると
那月は一瞬眉をひそめた
○○
那月
那月
指を刺したのは国見 英の名前だった
○○
○○
○○は少しだけ考えた
○○
私がそう言うと那月は少し笑った
那月
那月
○○
コーヒーの香りが2人を包み込み
その香りには懐かしさを帯びていた
コメント
3件
るいちゃんのような子って周りにいたらきっとめっちゃくちゃ癒されますよね🤭 国見ちゃん登場…!💫💫 にしても国見ちゃんの名前、"英"で読みが"あきら"って初見じゃまじで分かりませんよね😹 とにかく相変わらず文才と言葉のチョイスが天才的すぎます🥹💗💗💗 那月氏と○○ちゃん、きっと隼人さんが生きてた頃からの友達とかだったんだろうな…💭 今回もめっちゃくちゃ最高でした!💗💗💗
るいちゃんいい子ぉ( ߹꒳߹ ) やっぱ最高です!自然と口角が上がってきてなんかすごいです!(?) 続き待ってます!