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𝐆𝐞𝐚𝐭𝐬 IX
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静かな夜だった。 リビングにはテレビの小さな音だけが流れていて、みんなそれぞれくつろいでいた。 そんな中、星奈ちゃんがふいに口を開いた。
浅薙星奈(あさなぎせな)
二人が同時に顔を上げる。
ハルトさん
とハルトさん。
ナギさん
とナギさん。
星奈ちゃんは少しだけ迷うように指をぎゅっと握ってから、小さく笑った。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさんとハルトさん
星奈ちゃんを見て、ここでは話せないようなことだと感じて
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
ナナセさん
ナナセさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
その瞬間。 空気が、ぴたりと止まった。
ハルトさんとナギさんは、しばらく何も言わなかった。 部屋の空気が重く沈む。 その中で、ハルトさんがぽつりと呟いた。
ハルトさん
ナギさん
ナギさん
ナギさん
星奈ちゃんの肩がびくっと揺れる。 その反応だけで、二人には十分だった。 ナギさんが立ち上がる。
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
珍しく星奈ちゃんが 露骨に目を逸らした。 ハルトさんの表情が消える。
ハルトさん
ハルトさん
沈黙。 長い沈黙のあと。 星奈ちゃんが小さく頷いた。 その瞬間、空気が凍る。
ナギさんは額を押さえた。
ナギさん
ハルトさん
ハルトさんが制するように名前を呼ぶ。 けれどハルトさん自身も、 顔色が悪かった。
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
ハルトさんの声が低くなる。 星奈ちゃんはさらに小さくなる。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
星奈ちゃんは黙る。 それが答えだった。 ナギさんが深く息を吐く。
ナギさん
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
ナギさんの声が響く。 部屋が静まり返った。 星奈ちゃんはびくっと肩を震わせる。 すると今度はハルトさんが静かに口を開く。
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさんとナギさんは、 何も言えなくなった。 止めるに決まっている。 こんなの、 放っておけるわけがない。
重い空気の中。 誰も次の言葉を見つけられずにいた。 ナギさんは苛立ちを 抑えるように腕を組み、 ハルトさんは静かに 星奈ちゃんを見つめている。 そんな中―― 星奈ちゃんが、ぽつりと呟いた。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
ナギさん
ハルトさんの目つきが変わる。 コウくんの呪いは、いつでも眠くなる
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
その言葉に、ハルトさんが額を押さえる。
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
ナギさん
ハルトさん
ハルトさん
星奈ちゃんの唇が止まる。
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
部屋の空気はまだ張り詰めたままだった。 星奈ちゃんは俯いたまま、 ぎゅっと袖を握っている。 その時。
浅薙星奈(あさなぎせな)
小さな声だった。 けれど、その一言で。 ナギさんが固まる。
ナギさん
アラタさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
ハルトさん達の呪いは、 ユウマくん達とは種類が違う。 長年、災害級の怪異や呪詛と戦い続けたせいで染みついた“残滓”。 下手に触れれば呪い返しが起きる。 星奈ちゃんは小声で言う。
浅薙星奈(あさなぎせな)
アラタさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
数秒間の。 沈黙。
浅薙星奈(あさなぎせな)
エムくん
あっくん
オッキー
リツくん
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ローゼちゃん
ローゼちゃん
アラタさん
ナギさん
ハルトさん
アラタさん
星奈ちゃんの視線が泳ぐ。 それだけで答えだった。
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
その声に星奈ちゃんがしゅんとなる。 するとその瞬間。
アラタさん
ナギさん
そこで言葉が止まった。 最後まで言えなかった。 でも。 その続きを、 そこにいる、 誰もがわかってしまった。
次の日、
玄関のチャイムが鳴ったのは、 昼過ぎだった。
浅薙星奈(あさなぎせな)
元気よく扉を開けた星奈ちゃんが、その場でぴたりと固まる。 そこに立っていたのは――ふわふわに巻かれた茶色の髪、大きなリボン、甘い香水の匂いをまとった女の子。
一ノ瀬 姫菜
後ろではユウマくんが 露骨に嫌そうな顔をしている。
一ノ瀬 姫菜
その瞬間、リビングの空気が凍った。 ソファにいたハカちゃんが
ハカちゃん
マキちゃんはジュースを吹きかける。
黒神ミレイ
ハカちゃん
すると奥からハルトさんが現れ、 軽く頭をかく。
ハルトさん
ナギさん
一ノ瀬 姫菜
ユウマくん
一ノ瀬 姫菜
ふわり、と甘ったるい香水の匂いが部屋いっぱいに広がった。
楽しそうに話す姫菜ちゃんの横で、 星奈ちゃんの顔色が少しずつ 体調が悪くなっていく。
浅薙星奈(あさなぎせな)
胸の奥がむかむかする。 甘すぎる匂いが鼻に残って、 息がしづらい。 星奈ちゃんはそっと口元を押さえた。 それに最初に気づいたのは ナギさんだった。
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
そう言った直後、ふらりと身体が揺れる。
ユウマくん
ユウマくんがとっさに肩を支えた。 近くで見た顔は真っ青だった。
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
マキちゃん
マキちゃんも気づいて姫菜ちゃんを見る。 姫菜ちゃんはきょとん。
一ノ瀬 姫菜
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
エムくん
オッキー
ローゼちゃん
突然、バンッ!! と窓が勝手に開いた。 冷たい風が部屋に入り込む。
一ノ瀬 姫菜
酒ーちゃん
ユウマくん
その横でナギさんは星奈ちゃんに 水を渡す。
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくんは姫菜ちゃんをちらりと見た。
ユウマくん
姫菜ちゃんの笑顔が、 ほんの少しだけ引きつる。
一ノ瀬 姫菜
玄関の扉がガチャッと開く。
三途川メグリ
ナナセさん
大きな袋を抱えたナナセさんとメグリさんが帰ってきた ――その瞬間だった。 座っていた星奈ちゃんを見て、二人の動きが止まる。
ナナセさんとメグリさん
ナナセさんとメグリさん
二人が一気に駆け寄った。 星奈ちゃんは慌てて笑おうとする。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナナセさん
メグリさんが額に手を当てる。
三途川メグリ
ナナセさん
リビングの空気が一瞬でピリついた。 ユウマくんが短く答える。
ユウマくん
ナナセさん
ナナセさんの目がすっと細くなる。 その視線の先には姫菜ちゃん。 姫菜ちゃんは慌ててぶりっ子モード全開。
一ノ瀬 姫菜
一ノ瀬 姫菜
三途川メグリ
一ノ瀬 姫菜
三途川メグリ
姫菜ちゃんの肩がぴくっと震える。 ハカちゃんとマキちゃんは小声で。
マキちゃん
ハカちゃん
すると星奈ちゃんが慌てて止めに入る。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナナセさん
その声に星奈ちゃんもびくっとする。 ナナセさんは深くため息をつき、 姫菜ちゃんを見る。
ナナセさん
一ノ瀬 姫菜
笑顔では返事している。 でもその目だけ少し笑っていなかった。 その時だった。 ユウマくんの後ろから、 ぼそっと悪霊の声。
エムくん
オッキー
ローゼちゃん
姫菜ちゃんの背筋にぞわっと寒気が走る。 そしてメグリさんは星奈ちゃんをぎゅっと抱き寄せた。
三途川メグリ
浅薙星奈(あさなぎせな)
三途川メグリ
有無を言わせない声だった。 その様子を見た姫菜ちゃんは、 にこにこ笑いながらも―― 心の中で小さく舌打ちした。
一ノ瀬 姫菜
一ノ瀬 姫菜
一ノ瀬 姫菜
星奈ちゃん以外
星奈ちゃん以外
浅薙星奈(あさなぎせな)
一ノ瀬 姫菜
浅薙星奈(あさなぎせな)
星奈ちゃん以外
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
リビングには、いつもの笑い声が少なくて、どこか変な空気が流れていた。
一ノ瀬 姫菜
姫菜ちゃんは、 わざとらしくため息をつきながら 星奈ちゃんの前に立った。
浅薙星奈(あさなぎせな)
星奈ちゃんが小さく謝ると、姫奈ちゃんは机に置かれていたノートを指で弾く。 パサッ――。 ノートは床に落ち、ページが広がった。
一ノ瀬 姫菜
その声は甘ったるいのに、 言葉だけが妙に鋭い。 近くにいたユウマくん達は、その場では軽く笑って流してしまう。
ユウマくん
でも星奈ちゃんだけは、 ぎゅっと袖を握っていた。 姫奈ちゃんはそれを見て、さらに近づく。
一ノ瀬 姫菜
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん
そう言いながら、姫奈ちゃんは星奈ちゃんの肩を軽く押した。 バランスを崩した星奈ちゃんは、そのまま後ろの棚にぶつかる。 ゴッ。 鈍い音。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん
その時――。 ガチャ。 玄関のドアが開いた。
ハルトさん
帰ってきたハルトさんの声で、 空気が一瞬で凍る。 入ってきたのはハルトさんと ナギさんだった。
そして二人はすぐに異変に気づく。 の視線は、床に散らばったノートと、肩を押さえる星奈ちゃん、そして笑っていた 姫奈ちゃんへ向いた。
ハルトさん
一ノ瀬 姫菜
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
浅薙晃誠
一ノ瀬 姫菜
浅薙晃誠
マキちゃん
ナギさん
誰もすぐには答えられない。 その沈黙の中、 マキちゃんがぽつりと言う。
マキちゃん
黒神ミレイ
黒神ミレイ
黒神ミレイ
黒神ミレイ
ハカちゃん
浅薙晃誠
重たい空気のまま、誰も動けずにいた。 その時――。 ガチャ。 玄関のドアが開く。
ナナセさんとメグリさん
明るい声と一緒に帰ってきたのは ナナセさんとメグリさんだった。 けれど、二人はリビングに入った瞬間に足を止める。
ナナセさんが目を瞬かせた。 いつも騒がしいはずの部屋が、 異様なくらい静かだったからだ。 メグリさんの視線が順番に みんなを見ていく。
俯いているユウマくん。 険しい顔のハルトさんとナギさん。 そして―― 目元の赤い星奈ちゃん。 その瞬間、メグリさんの表情が変わった。
三途川メグリ
静かな声。 でも、空気が一気に冷える。 ナナセさんは星奈ちゃんのそばまで来て、しゃがみこんだ。
ナナセさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
けれど、その震えた声で逆に 全部伝わってしまう。 メグリも空気を察したのか、 いつもの軽い雰囲気を消した。
三途川メグリ
浅薙晃誠
ナナセさん
ナナセさんの笑顔が消えた。 短い一言なのに、部屋が ビリッと震えた気がした。 姫奈ちゃんが焦って口を開く。
一ノ瀬 姫菜
三途川メグリ
三途川メグリ
ナナセさん
誰一人、軽口を叩けなかった。
一ノ瀬姫菜ちゃんが来てから、家の空気は少しずつ変わっていった。 最初はみんな、 「明るい子だね」 「可愛いよね」 って普通に接していた。
でも――。 星奈ちゃんにだけ、 姫菜ちゃんの態度が違った。
一ノ瀬 姫菜
一ノ瀬 姫菜
一ノ瀬 姫菜
笑顔で、冗談っぽく。 だけど確実に刺さる言葉。 しかも姫菜ちゃんは、 人前では“いい子”だった。 ユウマくん達がいる時は、
一ノ瀬 姫菜
って優しくする。 けれど二人きりになると、 小さく笑って言う。
一ノ瀬 姫菜
その日から、星奈ちゃんの私物が少しずつなくなり始めた。 お気に入りのヘアピン。 ノート。 ぬいぐるみ。 見つかる時はいつも、
一ノ瀬 姫菜
で終わる。
星奈ちゃんも最初は黙っていた。 みんなに迷惑かけたくなくて、 家の空気を悪くしたくなくて。
でもある夜、 お風呂上がりに腕に増えたアザを見た ナギさんが眉をひそめる。
ナギさん
ビクッと肩を震わせる星奈ちゃん。
浅薙星奈(あさなぎせな)
そこへ後ろから姫菜ちゃんが ひょこっと顔を出す。
一ノ瀬 姫菜
にこにこ笑う姫菜ちゃん。 けれど―― ナギさんは黙ったまま姫菜ちゃんを見る。 ハルトさんも帰宅した瞬間、 家の異様な空気に気づく。
ハルトさん
その時だった。 ずっと黙っていた悪霊のローゼちゃんが、ボソッと呟く。
ローゼちゃん
空気が、一気に凍った。
ローゼちゃんの一言で、 リビングの空気が完全に止まった。 姫菜ちゃんの笑顔が、一瞬だけ引きつる。
一ノ瀬 姫菜
けれどローゼちゃんはじっと 姫菜ちゃんを見たまま。
ローゼちゃん
ローゼちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさんが静かにしゃがみ込み、 星奈ちゃんの腕をそっと見る。 増えているアザ。 細い引っかき傷。 隠そうとしていた痕。 普段穏やかなハルトさんの表情が、 少しずつ消えていく。
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
答えられない星奈ちゃん。 すると姫菜ちゃんが急に涙目になる。
一ノ瀬 姫菜
一ノ瀬 姫菜
今までなら、その“泣き落とし”で空気は流れていた。 けれど今日は違った。 悪霊達が異様に静かだった。 オッキーも。 悪路王も。 酒呑童子様まで。 静かすぎるほど静か。 ユウマくんがその空気に気づき、 冷や汗を流す。
ユウマくん
三途川メグリ
三途川メグリ
一ノ瀬 姫菜
返事が詰まった瞬間。 カタッ――。 テーブルの上に、ぐしゃぐしゃになった星奈ちゃんのヘアピンが落ちた。 誰も触っていないのに。 姫菜ちゃんの顔が青ざめる。 ローゼちゃんが冷たい声で言った。
ローゼちゃん
その瞬間、 姫菜ちゃんの背後の 電気がバチバチッと明滅した。
次の日の夜、
物置部屋の扉の向こうから、何かがぶつかる音がした。 ――ドンッ!!
「ぁっ……!」
苦しそうな声。 ちょうど帰ってきたハルトさんが、 眉をひそめる。
ハルトさん
もう一度。 バシッ!! 何かを叩く音。 嫌な予感がして、ハルトさんは勢いよく扉を開けた。 すると――。 床に倒れ込んだ星奈ちゃんの姿。 その上から、 姫菜ちゃんが腕を振り上げていた。
一ノ瀬 姫菜
バキッ。 拳が星奈ちゃんの肩に入る。 星奈ちゃんは痛みに顔を歪めながらも、 腕で頭を守ることしかできない。
浅薙星奈(あさなぎせな)
しかし姫菜ちゃんは止まらない。 今度はお腹を蹴り上げる。
浅薙星奈(あさなぎせな)
息が詰まり、星奈ちゃんが咳き込む。 その瞬間。 ガシッ!! 姫菜ちゃんの腕が、 後ろから強く掴まれた。
ハルトさん
姫菜ちゃんが恐る恐る振り返る。 そこにはハルトさんが立っていた。 見たことがないほど怒っていた。 目だけが異様に冷たい。 姫菜ちゃんの顔が青ざめる。
一ノ瀬 姫菜
ハルトさん
一言。 それだけで空気が凍る。 ハルトさんはそのまま姫菜ちゃんを引き離し、すぐ星奈ちゃんの前にしゃがみ込む。
ハルトさん
けれど星奈ちゃんは震えて、 うまく声が出ない。 腕にはアザ。 頬は赤く腫れ、 息も浅い。
それを見た瞬間、 ハルトさんの表情がさらに険しくなる。 そこへ騒ぎを聞いた ナギさん達も駆けつけた。 そして部屋の光景を見て、固まる。 ナギさんがゆっくり姫菜ちゃんを見る。
ナギさん
次に来たメグリさんも息を呑む。
三途川メグリ
ナナセさん
最後に到着したナナセさんが、 部屋の空気を見てすぐ察した。 そして静かに姫菜ちゃんを見る。
一ノ瀬 姫菜
ハルトさん
ナギさん
低い声。 メグリさんはすぐ星奈ちゃんの そばへ駆け寄る。
三途川メグリ
星奈ちゃんは涙を堪えながら、 小さく震える声を出す。
浅薙星奈(あさなぎせな)
その言葉に、 ナナセさんの眉がピクリと動いた。
ナナセさん
部屋の空気がさらに重くなる。 そして姫菜ちゃんは初めて気づく。 ――もう誰も、自分を信じていない。
重苦しい沈黙の中。 メグリさんは星奈ちゃんを 抱き寄せながら、 震える背中をさすっていた。 ナギさんは姫菜ちゃんから目を離さない。 ハルトさんも、怒りを押し殺すように黙っている。 ーーそんな中。 星奈ちゃんが小さく唇を震わせた。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナナセさん
ナナセさんが優しく声をかける。 すると星奈ちゃんは、 涙を堪えきれずに俯いた。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
一ノ瀬 姫菜
浅薙星奈(あさなぎせな)
その瞬間。 部屋の空気が止まる。 ハルトさんがゆっくり目を細めた。
ハルトさん
ナギさんも険しい顔になる。
ナギさん
一ノ瀬 姫菜
浅薙星奈(あさなぎせな)
メグリさんが息を呑む。 ナナセさんは静かに姫菜ちゃんを見る。 その目は完全に怒っていた。
ナナセさん
ハルトさん
ハルトさん
一ノ瀬 姫菜
一ノ瀬 姫菜
その言葉に、 星奈ちゃんの肩がビクッと揺れる。 俯いたまま、 ぎゅっと自分の袖を握る。 空気がさらに重くなった。 けれど次の瞬間。
ハルトさん
メグリさんも星奈ちゃんを 抱きしめたまま、 険しい顔で姫菜ちゃんを見る。
三途川メグリ
ナナセさんも静かに続ける。
ナナセさん
姫菜ちゃんは言い返せない。 本当は分かっていた。 ユウマくんが星奈ちゃんを邪魔だなんて、 思っていないことくらい。 でも―― それでも壊したかった。 みんなが星奈ちゃんを大事にする空気が、 羨ましくて仕方なかった。 その時。 震えていた星奈ちゃんが、 小さな声を漏らす。
震えていた星奈ちゃんが、 小さな声を漏らす。
浅薙星奈(あさなぎせな)
浅薙星奈(あさなぎせな)
その言葉に、 部屋の空気が痛いほど静かになった。
静まり返った部屋。 聞こえるのは、 星奈ちゃんの小さな嗚咽だけだった。 メグリさんは優しく背中をさすりながら、
三途川メグリ
と何度も繰り返す。 ナナセさんは深く息を吐き、 姫菜ちゃんへ視線を向けた。
ナナセさん
ハルトさん
ナギさん
空気が少しだけ緩んだ。 すると今まで耐えていた星奈ちゃんの力が抜ける。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
ハルトさん
三途川メグリ
ハルトさん
一ノ瀬 姫菜
姫奈ちゃんが出てってから、一週間後
みんながリビングでわいわい している中ーー 星奈ちゃんはソファの後ろから、じーっとユウマくんを見ていた。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん
ユウマくんが気づいて振り向く。 星奈ちゃんは少しだけもじもじして、 それから勢いよく前に出た。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
部屋が一瞬しーんとなる。
マキちゃんが
マキちゃん
と声を漏らし、 ハカちゃんは目をぱちぱち。 ミレイさんはニヤァっと笑った。
黒神ミレイ
ハカちゃん
そう言うわりに、ハカちゃんは全然星奈ちゃんの方を見ない。 ぎゅっと服の袖を握ってる。 そこでようやく星奈ちゃんは気づいた。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃんは普段、強気で素直じゃない。 でも星奈ちゃんとユウマくんが二人きりになる話をしてから、 ずっと機嫌が変だった。 星奈ちゃんは少し迷ってから、そっとハカちゃんの隣へ移動する。
ハカちゃん
その沈黙だけで、星奈ちゃんにはなんとなくわかってしまう。 ハカちゃんは優しい。 でも素直じゃない。 だから、寂しい時ほど強がる。 星奈ちゃんはそっと笑って—— ぎゅっ。
ハカちゃん
ハカちゃん
ハカちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃん
黒神ミレイ
ハカちゃん
じーーーっ。 星奈ちゃんが気づく。
浅薙星奈(あさなぎせな)
マキちゃん
マキちゃん
ハカちゃん
ハカちゃん
マキちゃん
ハカちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
マキちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
マキちゃん
ハカちゃん
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
黒神ミレイ
ユウマくん
星奈ちゃんはちょこちょこ ユウマくんの前まで来ると、 見上げながら聞いた。
浅薙星奈(あさなぎせな)
星奈ちゃんがそのまま抱きついた。 ユウマくんの身体がびくっと跳ねる。
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃん
星奈ちゃんはユウマくんを 引き剥がそうとしたけどユウマくんが 星奈ちゃんから離れない
浅薙星奈(あさなぎせな)
そう言いながら、ユウマくんは星奈ちゃんの肩に手を置いた。 ……けど。 離さない。
ユウマくん
ユウマくんは顔を真っ赤に しながら言い返す。 でも星奈ちゃんは全然嫌そうじゃない。 むしろ安心したみたいに、そっとユウマくんに寄りかかった。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん、完全停止。 数秒後、諦めたみたいに深いため息をついた。
ナギさん
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
その後、ユウマくんはしばらく黙ったあと、観念したみたいにため息をついた。
ユウマくん
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん
悪霊達
ハカちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃん
ハカちゃん
浅薙星奈(あさなぎせな)
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハカちゃん
ユウマくん
ハカちゃん
ハカちゃんが即答するけど、耳は真っ赤。 するとマキちゃんがぴょこっと 割り込んできた。
マキちゃん
ハカちゃん
ナナセさんとメグリさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ユウマくん
ユウマくん
ナナセさん
三途川メグリ
ユウマくん
黒神ミレイ
みんなでわいわいしている中―― 後ろから、くすっと笑う声がした。
黒神ミレイ
黒神ミレイ
黒神ミレイ
浅薙星奈(あさなぎせな)
黒神ミレイ
ハカちゃん
浅薙晃誠
浅薙星奈(あさなぎせな)
浅薙晃誠
黒神ミレイ
浅薙星奈(あさなぎせな)
星奈ちゃんが真っ赤になる横で、ハカちゃんがむっとする。
ハカちゃん
マキちゃん
ユウマくん
黒神ミレイ
黒神ミレイ
すると星奈ちゃんは困ったように笑って、
浅薙星奈(あさなぎせな)
その一言で、一瞬静まり返って――
星奈ちゃん以外
ユウマくん
浅薙星奈(あさなぎせな)
黒神ミレイ
マキちゃん
マキちゃんがけらけら笑い、ミレイさんも肩を揺らす。 するとちょうどタイミングよく、大人組が戻って来た。
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナナセさん
三途川メグリ
ハルトさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナナセさん
マキちゃん
ハカちゃん
ユウマくん
次の日――。 リビングのテーブルには、 大きな紙が広げられていた。 そのタイトルは。 『星奈ちゃん企画! わくわくデート♡(仮)』 ……だったはずなのに。 ハルトさんが下に小さく書き足している。 『※実質 家族旅行』
ユウマくん
マキちゃん
ハカちゃん
黒神ミレイ
ナナセさんとメグリさん
浅薙星奈(あさなぎせな)
ナギさん
三途川メグリ
黒神ミレイ
ハカちゃん
黒神ミレイ
マキちゃん
ナナセさん
黒神ミレイ
ユウマくん
ハカちゃん
ユウマくん
大爆笑。 そんな中、星奈ちゃんはそっと呟く。
浅薙星奈(あさなぎせな)
ハルトさん
ナギさん
その言葉にみんなも頷いて―― こうして始まった、 “デート”のはずだった大人数旅行。