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ある日の夜

高野 桔平

本当にいいのか?

高野 桔平

旦那さん帰ってきたら…

片岡 陽菜乃

大丈夫ですってば~

片岡 陽菜乃

今日は帰ってきませんから

高野 桔平

でも…仁香ちゃんは?

片岡 陽菜乃

あぁ…仁香も親のとこに預けてるんで

少し離れた場所でも、分かってしまう

高野 いろは

…!

高野 いろは

(待って…)

見てはいけない場面を見てしまった気がした

その場で足がすくんで、なにも音が聞こえなくなるような

そんな感覚に陥った

高野 いろは

(どういうこと!?)

高野 いろは

(なんで…!?こんなっ…)

【不倫】なんて言葉

私には関係ないと思っていたのに…

──数ヶ月前

私たち家族は、夫・桔平の仕事の都合で、新しいマンションへと引っ越してきた

娘・莉緒の保育園も近くに見つかり、この場所が最適だと思ったから…

ある日の夜

高野 莉緒

ママ~!パパまだかえってこないの~?

高野 いろは

そうねぇ…もうすぐ帰ってくると思うから

高野 いろは

ご飯の準備をして待っていようね

高野 莉緒

は~い♪

高野 いろは

(ここに引っ越してきて正解だったな)

高野 いろは

(同じマンション内に莉緒と同じ保育園の子たちもいるし)

高野 いろは

(桔平の通勤にも便利だし)

私はライターの在宅仕事だから、正直、どこでもいいけど

生活全体のことを考えると、このマンションで正解だと思えた

高野 桔平

ただいま~

高野 莉緒

あっ!パパ!おかえり~

高野 いろは

おかえりさない、あなた

高野 桔平

いい匂いしてるな~

高野 莉緒

あのね、あのねっ!わたしもおてつだいしたの~!

高野 桔平

えらいぞ~莉緒~!

高野 莉緒

パパのかばんくださいな♪

高野 桔平

えっ!あぁ、持ってくれるのか。はいはい…

幸せな家庭

楽しい会話

高野 いろは

(幸せだなぁ…)

莉緒は最近、私の真似をすることが多く

夫の鞄をソファに持っていくことを楽しみにしている

高野 桔平

子どもはほんと親の行動を見ているな

高野 いろは

ふふっ、ほんとそうね

高野 桔平

いつも色々ありがとな

高野 いろは

なによ、急に改まってそんなこと~

高野 いろは

明日は雪でも降るんじゃない?

高野 莉緒

ふゆじゃないけど、ゆきふるの~?

目をキラキラさせながら、興味津々な表情で私と夫の話に耳を傾けている

高野 桔平

あはははっ

高野 桔平

たとえ話だよ、莉緒。まぁまだ莉緒には少し早いな笑

高野 莉緒

…?

高野 莉緒

よくわかんないけど、ふったらいいね♪

高野 莉緒

ふったら、ゆきだるまさんつくる~

無邪気に笑う莉緒を見ていると

いつまでもこの生活が続くことを、願わずにはいられなかった──

高野 桔平

そうだ、莉緒。明後日の日曜はどこか出かけるか!?

高野 莉緒

いく~~!!

高野 いろは

いいわねぇ。莉緒はどこへ行きたい?

高野 莉緒

う~ん…どうぶつえん!

高野 桔平

よし!じゃあ、日曜は動物園へ行くか!

高野 いろは

天気もよさそうだし、お弁当も持っていかなきゃね

高野 莉緒

たこさんウインナーもいれてね~ママ!

高野 いろは

莉緒、大好きだもんね~

高野 莉緒

うんっ!

高野 桔平

じゃあ、莉緒…ご飯食べたら一緒にお風呂入ろう

高野 莉緒

いいよ~!あっ、でもきょうはママとはいるひだった笑

高野 桔平

な~んだ…そっか、パパ寂しいなぁ…笑

高野 莉緒

…!ママぁ…

高野 いろは

ふふっ、パパと入ってきたら?笑

高野 いろは

ママはご飯食べたら、後片付けとかもしなきゃだし

高野 莉緒

は~い!じゃあ、パパとはいってあげるね!

高野 桔平

おっ?やった!笑

高野 桔平

(いつまで一緒に入ってくれるんだろうなぁ…)

高野 桔平

いろは、色々不便な思いさせててごめんな

高野 いろは

えっ?全然そんなことないよ?色々近くて便利だし

高野 桔平

そっか。それならいいんだけど…

高野 桔平

莉緒やいろはといると、ほんとホッとするし、この家は俺の癒しみたいなもんだよ笑

高野 いろは

なにそれ~、急にそんなこと言い出すなんて、何か怪しいんだけど笑

高野 桔平

何も怪しくないって笑

高野 桔平

ふたりのこと大事にして、これからも幸せに過ごしていきたいなって思っただけ

高野 いろは

ふ~ん…

目を細め、冗談で疑いの目を向ける

高野 桔平

なんだよ~笑

高野 いろは

ふふっ、べっつに~

高野 いろは

(桔平はほんと私にも莉緒に優しくて)

高野 いろは

(こんないい人、私には勿体ないくらいだよ)

高野 いろは

(あぁ…ほんと大好きだな…)

引っ越してきて3週間くらい経ったある日

住人A

あら~、あなた見ない顔ね~

高野 いろは

こんにちは~

住人A

最近引っ越してきたの?

高野 いろは

えぇ…3週間くらい前です。これからよろしくお願いします

高野 いろは

高野いろはといいます

急に話しかけてきたのは、私よりも少し年上そうな女性だった

ギロリと見開いた目で、私の全身を舐めまわすように見定めた後…

住人A

30手前ってところかしら?

高野 いろは

えっ?

住人A

年齢よ、年齢

高野 いろは

あぁ…はい。29ですけど…

住人A

なるほどね~。私の勘もだいぶ冴えてきてたわね…

名前も名乗らないその女性は、腕を組みながら、ブツブツとなにか言っている

高野 いろは

(…?)

高野 いろは

(なにがなるほど…なんだろう?)

何となく馴れ馴れしく感じるその女性も、きっとこのマンションの住人だろう

高野 いろは

(ママ友以外の人でも、お隣さんとかとはもう話したことあるけど…)

高野 いろは

(これからも色んな人と出会いそう)

住人A

旦那さんは何されてる方なの?

高野 いろは

普通のサラリーマンです…

住人A

へぇ…

そんなこと聞いてどうするの…?

高野 いろは

(他にも何か言いたそうな顔してるけど)

高野 いろは

高野 いろは

(そういえば、引っ越してきたすぐの頃も、階の違う住人の人に色々聞かれたっけ…)

このマンションの人たちって、なんでそんなに新入りの情報を知りたがるの!?

直感的に怖いとさえ思った

そんな中、私と莉緒は、このマンション内で行われているママ友たちのお茶会に誘われた

初めての参加ということもあり、正直…行くのは気が引けたけど

断る理由も見つからなかったため、とりあえず参加してみることにした

高野 いろは

(初めてだし、断っちゃうのも感じ悪く思われちゃうだろうしね)

お茶会当日

午後2時

高野 いろは

初めまして、先日引っ越してきた高野いろはといいます

高野 いろは

莉緒の母です…

来人くんママ

莉緒ちゃんママ!来てくれてよかった~

澪ちゃんママ

いらっしゃ~い

澪ちゃんママ

高野さん、初めまして。平井澪の母です。よろしくね?

高野 いろは

はい…よろしくお願いします

高野 いろは

(思いの外、フランクな感じ…なんだ?)

澪ちゃんママ

今日は久しぶりのお茶会ね~

来人くんママ

澪ちゃんママが作るケーキ、うちの来人(らいと)も大好きなんですよ~

澪ちゃんママ

あら、そうなの~!?嬉しい!

澪ちゃんママ

今日もがんばっちゃったから、どんどん食べてね~

片岡 陽菜乃

莉緒ちゃんママも今日は来てたんですね!

高野 いろは

はい、来人くんママに誘っていただいて…

高野 いろは

(仁香ちゃんママは相変わらず可愛い人だなぁ)

仁香ちゃんママは、引っ越してきて最初に話したご近所さん

高野 いろは

(まだ数回しか話したことはないけど…)

こうして、思ってた感じとは少し違う少人数でのお茶会が始まった

私たち母親同士が話している間、子どもたちは子どもたちで

別室で仲良く遊んでいた

すると、私たちの話はそれぞれの旦那の話に矛先が変わる──

澪ちゃんママ

高野さんとは初めてだから、色々お聞きしたいわ~

来人くんママ

あっ、私も~

来人くんママとは、マンションの外でこの間会った時に少し話したくらいで

まだあまり話もできていなかった

片岡 陽菜乃

莉緒ちゃんママのとこって、ご夫婦仲いいですよね?

高野 いろは

えっ、あ…はい。そうですね

片岡 陽菜乃

…………

急に話をふられ、動揺してしまった

高野 いろは

(仲がいいことには変わりないから、何も怪しいことはないんだけど)

来人くんママ

夫婦で仲いいのって羨ましい~!

来人くんママ

うちなんて、もう他人より冷めてるわ笑

澪ちゃんママ

うちも似たものよ~

澪ちゃんママ

仁香ちゃんママのとこも仲いいじゃな~い

片岡 陽菜乃

う~ん…そうですかね?笑

片岡 陽菜乃

茂樹さん、クールなんでよく分かんないんですよね

それぞれが自分の夫の話をする中、仁香ちゃんママは私の夫のことを執拗に尋ねてきた

片岡 陽菜乃

莉緒ちゃんパパって、ほんとパパの鑑って感じですよね~!

高野 いろは

(えっ…なんでそんな知ってる風なこと言うの?)

片岡 陽菜乃

あっ、部屋が近いからよく見かけるんですけど~

片岡 陽菜乃

莉緒ちゃんとよく一緒にいるじゃないですか~?

高野 いろは

(びっくりした。そういうことか…)

確かに部屋も近いから、仲がいい雰囲気を見られていてもおかしくはない

高野 いろは

そうですね…。莉緒ともよく遊んでくれますし

高野 いろは

いいパパだと思います

澪ちゃんママ

理想ですね!うちはさっきも言ったけど、私も澪のこともほったらかしなのよ~

高野 いろは

そ、そうなんですね…

片岡 陽菜乃

あっ、そうそう!

片岡 陽菜乃

来人くんパパには、この間荷物運ぶの手伝ってもらっちゃったんですよ~

片岡 陽菜乃

ありがとうございました!

仁香ちゃんママが、何食わぬ顔でみんなの前で礼を言うと

来人くんママの顔は微妙に、引きつっていた

片岡 陽菜乃

莉緒ちゃんパパも、と~ってもやさしかったですよ?

高野 いろは

えっ?

片岡 陽菜乃

この間、エレベーターで…

片岡 陽菜乃

片岡 陽菜乃

いえ、何でもないです…ふふっ笑

片岡 陽菜乃

(これは秘密だった…)

仁香ちゃんママが意味深に笑った瞬間、その場の空気が一瞬変な空気に包まれた

その日の夜

高野 桔平

ただいま~

高野 いろは

おかえりなさい!…あれ?酔ってる?

高野 桔平

まぁな~。ってか、ここの人たち、いい人ばっかりだな~

高野 いろは

そ、そうね…

高野 桔平

ちょうどマンション前で、平井さんの旦那さんと会っちゃってさ

高野 桔平

飲みに行こうってなって、近くで飲んでた~

高野 いろは

高野 いろは

そうなのね

高野 いろは

(このマンションの人はきっと、フレンドリーな人が多いんだろうな…)

だけど、ある日…

午後10時

高野 いろは

(桔平ったら、今日は帰ってくるの遅いとか聞いてないんだけど…)

高野 莉緒

ママぁ…ねむい…

高野 いろは

もう歯は磨いた?

高野 莉緒

うん…

高野 いろは

じゃあ、先に寝ようか。パパまだ帰ってこないみたいだし

高野 莉緒

えぇ~。かえってくるのまつ~

高野 いろは

でももう莉緒は寝る時間すぎてるでしょ?かわりにママが待ってるから大丈夫よ

高野 莉緒

高野 莉緒

…わかった。じゃあ、ねるね…。おやすみなさい

高野 いろは

おやすみ…

莉緒はいつも夫が帰ってくるのを楽しみに待っている

高野 いろは

(桔平だって、それくらい分かっているだろうに…なんで一言も連絡ないの?)

またこの間みたいに、ここの住人と飲みに行ってるのかもしれない

そう思ったけど、とりあえず玄関の外へ出てみた

ドンッ

高野 いろは

きゃっ

ドアを開けて外に出た瞬間、誰かにぶつかり、尻餅をついてしまった

片岡 茂樹

あっ、すみません

高野 いろは

いえ!私のほうこそすみません…

スッ…

高野 いろは

えっ

片岡さんは、私の手を取り立たせてくれた

高野 いろは

…!すみません…なんか…

片岡 茂樹

いえ。俺が転ばせてしまったようなものですし

高野 いろは

そんなことないです…

なんて紳士な人なんだろう…

話したのは初めてだったけど、佇まいで分かるくらい

とてもいい人だ

高野 いろは

(片岡さんの家族は、同じ階で近くに住んでるんだよね)

片岡 茂樹

(あっ、車に忘れ物したか…)

高野 いろは

どうぞ…お通りください…

片岡 茂樹

いえ、車に忘れ物をしたようなので、車に戻りますので

そう言って引き返していった

高野 いろは

(あっ、そうだ!桔平!…まだ帰ってこないなぁ)

すると、近くの家の玄関が開き、聞き覚えのある声が──

高野 いろは

(片岡さんのおうちだ…)

高野 桔平

本当にいいのか?

高野 桔平

旦那さん帰ってきたら…

片岡 陽菜乃

大丈夫ですってば~

片岡 陽菜乃

今日は帰ってきませんから笑

高野 桔平

でも…仁香ちゃんは?

片岡 陽菜乃

あぁ…仁香も親のとこに預けてるんで

少し離れた場所でも、分かってしまう

高野 いろは

…!

高野 いろは

(待って…)

高野 いろは

(なんで…!?こんなっ…)

高野 いろは

(桔平が仁香ちゃんママと一緒にいるって…どういうこと!?)

高野 いろは

(この間のお茶会で、仁香ちゃんママが何となく様子が怪しかったけど…彼女が不倫!?)

ふたりは、私のことには気づかず、家の中へと姿を消した

そして、これはまだ始まりに過ぎなかったのだ…

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