雨を弾くほど真新しさのある学ランから、 中学一年生だろうと思う。
この天気の中、少年は晴れやかな笑顔を俺に向ける。 幼さは残っているものの、整った顔立ちだ。
ア ル フ レ ッ ド .
ア ー サ ー
俺がそんなことをしなくちゃいけないのか。
ア ル フ レ ッ ド .
ア ル フ レ ッ ド .
ア ー サ ー
ア ル フ レ ッ ド .
ははっと少年は笑った。まるで今から楽しいゲームでも はじめるみたいに。
楽しくて嬉しくてしかたないみたいに。
それは、今から本当に死のうとしているような笑みには、 見えなかった。
っていうか、どうして 「どちらが死ぬべきか」 を話し合わなくちゃいけないのだろう。
見た目からも、明るそうな口調からも、 少年が俺とはちがうことがわかる。
だから 「同じ日に同じ場所でふたりで死ぬのってなんかダサくない?」 だなんてくだらないことを言えるのだ。
そんな軽い気持ちで同じ場所に立っていることが腹立たしい。
ア ー サ ー
そう言って、少年に近づき下をのぞき見る。 あそこにたどり着いたらいいだけだ。
制服も心なしか軽くなる。
ア ル フ レ ッ ド .
ア ー サ ー
他人と話をし、決意が揺らぐくらいの 気持ちでここに来たわけじゃない。
死ぬなと、死んだら終わりだと、 止める人の気持ちもわかる。
悲しむ人がいることは言われなくても理解している。
それでもなくならない思いを抱きながら、 悩みに悩んで、この決断を下したのだ。
ア ー サ ー
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