ツム、襲来!Ⅲ
《 植物園ー温帯ゾーン 》 Botanical Garden - Temperate Zone
レオナ
空の穴も消えて、すっかりいつも通りの景色。
レオナ
不気味なぐらいに平穏だ。
レオナ
あの光が消えてすぐ、エペルは人の話も聞かずにポムフィオーレに向って走り出していきやがった。
レオナ
‥‥俺も寮を確認するか。
レオナ
面倒なことが起こらなきゃいいんだがな。
《 学園長室 》 Headmaster’s Office
エペル
失礼します!
エペル
学園長、今よろしいですか!?
エペル
実は、突然空から変な生き物が降ってきて‥‥
クロウリー
おやおや、フェルミエくん。
クロウリー
貴方もですか。
クロウリー
これで5人目ですよ。
クロウリー
そうして”不思議な生き物”を抱えて私の部屋を訪れてくる生徒は。
エペル
えっ‥‥5人目って‥‥?
ケイト
やっほ〜エペルちゃん!
ケイト
オレも少し前にここに来たんだ。
ケイト
子の子を連れて、ね。
クロウリー
フェルミエくんも先程、オンボロ寮上空の奇妙な光を見たんでしょ?
クロウリー
そして他の方と同様に、降ってきた”不思議な生き物”を捕まえた、と。
クロウリー
‥‥学園の結界すらなんなく通過されるとは、本当になにが起こっていることやら。
フロイド
コイツ、なんでオレとおなじ位置にメッシュ入ってんの?
フロイド
目の色も一緒だしさぁ。
クロウリー
ふむ‥‥
クロウリー
見れば見るほど、フロイド・リーチくんの姿にそっくりですね。
クロウリー
皆さんがそれぞれ連れてきた”不思議な生き物”も、あなた方に瓜二つに見えます。
ジャック
ったく‥‥
ジャック
とんだ面倒事に巻き込まれちまったみてえだな。
エペル
ぬいぐるみみたいに見えるけど、好き勝手に動き回るし‥‥一体何なんだろう?
セベク
魔術も施されていないと若様は仰っていた。
フロイド
そもそも、コイツらが出てきた空の穴ってドコに繋がってるわけ?
クロウリー
彼らが何者でどこからやって来たのか‥‥
クロウリー
それはさっぱりわかりません。
クロウリー
ですが‥‥。
クロウリー
そんなことよりも、我々には真っ先に考えなくてはならない重要なことがあるでしょう!
ケイト
考えなくてはならない重要なこと‥‥?
ケイト
それは‥‥
クロウリー
彼らの”名前”についてですよ!
クロウリー
な・ま・え!!!
[セベク・エペル・ジャック] ‥‥はあ???
[フロイド・ケイト] ‥‥はあ???
クロウリー
彼らは、誰も見たことのない未知の生き物。
クロウリー
発見した我々が名付け親になってあげなくては。
クロウリー
私、優しいので。
セベク
くだらん。
セベク
ペットでもあるまいし、名前など悠長につけている場合か!
クロウリー
くだらないとはなんですか!
クロウリー
どんなものにも名前は必要‥‥って、アッ!
クロウリー
ちょっと!
クロウリー
”フロイド・リーチくん似の生き物くん”!
クロウリー
私の大事な書類を破らないでもらえますか!
クロウリー
‥‥ほら、先程から彼らを呼ぶのも一苦労なんです。
クロウリー
ずっとこの調子では困ってしまうでしょう?
ジャック
‥‥おい。
ジャック
コイツら、1か所に集まりはじめたぞ。
エペル
ほんとだ。
エペル
僕に似たヤツがジャッククンに似た生き物に乗ろうとして‥‥
セベク
タワーのようになっている‥‥!
フロイド
サンゴトラザメみたいでオモシロ。
フロイド
なんでコイツらこんなことすんの?
ケイト
わ〜すごいバランス感覚!
ケイト
見事に積みあがってるね‥‥
ケイト
って、ハッ!
フロイド
積みあがる?
エペル
積み木みたいに、”積む”‥‥。
セベク
互いに”積む”‥‥。
ジャック
次々に積み重なるその様子、名付けるなら‥‥
「セベク・エペル・ジャック」 ツムツム!!!!!
クロウリー
ああ、こんなにも我が校の生徒の息が合うなんて珍しい!
クロウリー
決めました、この”不思議な生き物”たちを『ツム』と呼ぶことにしましょう!
クロウリー
ほら、彼らも喜んでいるようですよ。
クロウリー
フェルミエくんのツムなんて、嬉しそうに飛び跳ねて可愛らしい‥‥
「クロウリー」 痛っ!!!!!
クロウリー
な、なんですか急に!?
クロウリー
フェルミエくんのツムが私に目掛けてタックルを‥‥
エペル
どうやら「可愛い」って言葉が嫌みたいで、そう言われる度に相手に向かって飛び掛かっていくんです。
エペル
ここにたどり着くまでにも、他の生徒に喧嘩をしかてました。
エペル
自分よりずっと大きなやつが相手なのに!
セベク
僕もコイツには手を焼いている。
セベク
若様のあとばかりついて回って‥‥迷惑はなはだしい!!!
セベク
一刻も早く元の場所へ送り返さねばならん!
セベク
学園長、いったいどうすれば良いのだ!?
ガヤガヤ
クロウリー
仕方ありませんね。
クロウリー
私がツムたちを還す方法を探してみます。
クロウリー
それまでの間は、各々ツムの面倒を見ていて下さい。
クロウリー
目を離して騒ぎになったら困りますからね。
「フロイド・ケイト」 え〜〜〜〜〜〜っ。
ジャック
なんで俺がそんな面倒くせえことを‥‥。
セベク
くっ‥‥仕方ない、若様の平穏無事な日々を守るためだ。
セベク
僕が目を光らせよう!
フロイド
ま、オレも別にい〜よぉ。
フロイド
コイツ見てると退屈しなさそうだし。
ケイト
ツムちゃんが帰るまでの間に、カワイイ写真たくさん撮っちゃおっと♪
クロウリー
私が学園長になって以来、初めての事態ですが‥‥
クロウリー
学園の平穏のため、皆さんよろしくお願いします。