???
どこからともなく、声が聞こえる…?
???
この状況おそらく貴殿の時代には無い概念だ。
こういう言葉が流行るのは後150年ちょい経ってからだからねぇ〜
…何言ってるのかさっぱりだが 人の死に目にも関わらずやかましい声だ…
???
全く、私の声を騒音扱いするとは…
実に貴殿不敬であるぞ!
今思ってることを読まれたのか…!?
???
どうだ大したものだろう〜
なんてったって全知全能の私だぞ!
徐々に眼を開けていく… 広い空間だ、しかし周りはどこまでも暗闇が続く。 目の前を見るとそこには一人の人物が立っていた… が、顔がよく見えない… いや正確にいえば見えているが… どのような顔の構造かを言葉にするのが難しい…
???
お生憎私の顔はこういうものだと思って貰うしかないのでねぇ…
まぁもうしばしの付き合いだ。
辛うじて耐えてくれたまえ
人の考えを読むのやめてください… 趣味悪い上に気色悪いですよ…
???
言うに事欠いてそういうこと言うのか!
なぁら声出してくれたまえよぉ!!
会話というのはお互いが声と声を出し合って成り立つものだろう!!
私このままじゃ1人だけギャーギャー騒いでるヤバいやつじゃないかぁぁ!!
はぁぁぁ……
保安官
???
たまんないねぇヤンク野郎…💢
保安官
加えて、私の状況から察するにここはあの世でしょう?
生憎もう死に絶える身なので言葉選びとか今更気にかける気など…
???
前世に後悔はないのかい?
保安官
ただ、こうなってしまった以上もうどうしようもないですし…
???
保安官
???
貴殿が残してきたもの達の為にできることはあるのだよ?
っ!
保安官
???
とりあえずお互い座ってさ?
そうして、私と…目の前の得体の知れない何かは向かい合いながら胡座をかく
保安官
???
生前の一部始終を見させてもらったのだが…
だいぶ悪党退治が達者じゃないか?
その腕前でどうかね?
全くの他所で生活中の
困ってる人々を助けるなんて事やっては貰えないだろうか?
保安官
???
街や州どころか…
国や大陸といった範囲だ
なんと荒唐無稽な…
保安官
???
無論これから出向いて貰う先にも兵隊や政府というものはある。
彼等と協力して、平和を守る事を依頼したい。
…聞いた話の通りなら、その出先とやらでもやることは変わらない… ただそうなると気がかりなことがひとつある…
保安官
人相や毛色、人種や外見など…
そういった辺りで何か知ってるものがあるなら事前に教えてもらいたい。
手配書があれば尚助かるんですが?
???
保安官
犯罪者なら手配書きの一つや二つ出回るもんでしょう?
???
というのもそういう連中というのは貴殿と同じく前世から飛ばされたりした者だ。
ただ、みんなほとんど戦闘経験がない場合が多くて、送って早々あっさりやられたら困るからと、色んなサービスやオマケ持たせて送り出したのさ。
保安官
宝の持ち腐れになるのがオチなのでは?
加えて、ロクな心構えも無い者が知識とか力ばかり身に付けるなど…
それこそニューヨーク徴兵暴動のような目的もなんもしっちゃかめっちゃかな事になりかねないのでは?
???
その例え相当コアな層じゃ無ければ通じないと思うんですけど…
保安官
???
保安官
???
最初こそそういう連中もこちらの言う通りに動いてた所までは確かに良かった…
ただ…お察しの通り精神的に未熟な輩というのも結構混じっててねぇ、そのせいで大暴走はするわ好き勝手むちゃくちゃやるわで現地の人たち大迷惑になってしまったわけなのですよぉぉ〜
保安官
???
だ…
だからこそ!
ある程度生前に理性的な性格で!
戦う腕前も持っている人間にお灸を据えてもらおうというわけです!
保安官
話を聞く限り、相当手を焼く連中を相手にしないとならないのでしょう?
なら、全て成し遂げた後にそれ相応の見返りが無ければお断りしますよ?
???
保安官
こう話しているうちにあなたがどういう存在かは何となく読めました。
私が待ち伏せで吹っ飛ばされる前くらいに時間を巻き戻すくらいの芸当できるのでは無いですか?
???
保安官
???
私もできることならそうしたい…
が、貴殿のいた所は少しばかり事情が特殊でね…
1度死んだのならばもう戻る事は出来ないのだよ…
保安官
ならこの話は…
???
先程も言ったように
貴殿が残したものたちの為に出来ることはある。
生活に困らない寿命を全うするまで穏やかに生きれるその位は朝飯前だ…
それこそ、私1人を何とかするよりも難しいのでは…?
???
それ相応に危ない目にあってもらう訳だしね…
また心を… ただ…
保安官
特に、家内は天涯孤独の身…
裕福とまで行かなくともひもじい想いはして欲しくない。
本当に手回ししてくれるんですか…?
…少しの沈黙、胡座をかいた目の前の者が拳で胸を打つ。
???
保安官
今の言葉忘れたとは言わせませんからね?
あぁ…私の妻… 最愛なるアメリアよ… 叶うならもう一度抱きしめたい… 君を残して逝ってしまうこと… 今更ながら本当に悲しくて仕方がない… 不意に目元から一筋の涙が流れた…
そんな私の心を読み取ったのか… 目の前の顔の見えない存在もまた 何かを想うように立ち上がり… 私に手をかざしてきた…
やがて、その手元から暖かな光が灯り…この身体を包み込んだ
???
汝の願い…
私がしかと預からん。
我が使命叶えられた暁…
汝の嘆きまた現実とならん。
異邦の地へ赴かん我が神託携えし勇者よ…
その身、これより我が名の元に…
授けん祝福は回天成し得る理…
願わくば、高潔なる汝の魂…
堕落の誘惑に敗北せん事を…
身体の中に、何かが入り込んだ… 不快感が無ければ苦痛もない… きっとこれはかつて… 聖人と呼ばれたもの達が賜った者と同じなのだろう… 私の体は自然と… 目の前の者… いや目の前の御方にの前で両手を握り 片膝を地面に着ける祈りの姿勢を取った。
保安官
この生命にかけて成し遂げます…
不敬の言動にお詫びを…
私への心意気に感謝を…
???
後はお願いするばかりだ。
保安官
では早速、現地へ向かいたいので行き方を教えて欲しいのですが?
???
今すぐ送還するのでね。
保安官
それってどういう…
???
パッチンと、指を鳴らした… 直後私がいる床が筒抜けて身体が一気に下に落ちた…
保安官
うぉぉぉぉおぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!