ソフィア
リアムさん!
部屋に駆け込みリアムさんを呼ぶ
返事はない
ソフィア
リアムさん…?
リアムさんは本を持ったまま眠っていた
ソフィア
(ずっと調べていたのかしら…)
ソフィア
(私の為にここまで…)
ソフィア
リアムさん、ありがとうございます
小さな声でリアムさんに感謝を伝えた
リアム
んん…
私の声に反応したのか
リアムさんが目を開け
綺麗な瞳が覗く
ソフィア
おはようございます
リアム
あぁ、ソフィア…
リアム
もう帰ったのか…
リアムさんはまだ眠たいのか
話し方が少し幼くて可愛かった
ソフィア
はい、リアムさんに報告したいことがあって…
リアム
ん…なんだ?
ソフィア
私、魔法がつかえたかもしれないんです
リアム
魔法が…?
リアム
本当か?
ソフィア
はい、本当です
ソフィア
私が声に出したものが確かに出てきました
リアム
…………
リアムさんは黙りんだ
何か考えているようだった
リアム
こんなに早く能力が使えるとは…
リアム
ソフィア、君は逸材かもしれない
ソフィア
逸材…?
リアム
あぁ、少し調べていて分かったことがあるんだ
ソフィア
どんな事ですか?
リアム
ソフィア、君は「西洋の魔女」の童話を読んだか?
ソフィア
はい、少しだけですが…
リアム
その物語に何か違和感は?
ソフィア
(お母様にも同じ事を聞かれた)
ソフィア
(私の感じた違和感…)
ソフィア
ありました
ソフィア
物語内に出てくる「ルニネ」という国は
ソフィア
この国の「ルニア」に似ていますよね
ソフィア
それがどうして気がかりで…
リアム
やはり、そこだな
リアム
俺も同じことを思っていた
リアム
それで詳しく調べると「西洋の魔女」の童話は
リアム
この国で起きた出来事らしい
ソフィア
そうなんですね
ソフィア
でも、どうして1文字だけ違うのでしょう…
リアム
それも本に書いてある
リアム
当時、別の国の人が「ルニネ」を「ルニア」と聞き間違えたそうだ
ソフィア
なるほど!
ソフィア
その地域の訛りもありますしね
リアム
そうだ
リアム
そしてもう1つ俺が気になることがある
ソフィア
なんですか?
リアム
ソフィアの瞳の色が紫な事だ
リアム
紫は最高の位にあたる
リアム
普通、先祖に魔女でもいない限りこんな事は起きないはずだ
ソフィア
あ、そういえば…
ソフィア
大お祖母様は魔女だったと聞きました
私がそう言った途端、リアムさんは血相を変えた
リアム
なに?!
リアム
それは本当か?!
リアムさんの顔には今まで見た事が無いような
動揺の色が浮かんでいた
ソフィア
は、はい…
ソフィア
何か問題が?
私は恐る恐る聞き返す
リアム
あぁ、大ありだよ
リアム
君を怖がらせたくは無いが…
私は緊張に息を飲む
リアム
先祖に魔女がいた場合
リアム
祖先の力は異常に強くなり
リアム
訓練でも受けてない限りその魔力に耐えられなくて
リアムさんは一瞬悲しそうな表情をして
私から目を背けた
リアム
…死ぬ
ソフィア
そ、そんな…
リアム
だが、それまでに人間に戻る事が出来れば阻止できる
ソフィア
タイムリミットは後どのくらいなんですか…?
リアム
君は魔女になってからまだ1日目だ
リアム
あと2日はあるはずだ
ソフィア
2日…
ソフィア
(私に残されたのは2日だけ…)
リアム
君の能力があれば必ず出来る
リアム
あの木を解明するんだ
ソフィア
分かりました、頑張ります
リアム
早速調べよう
リアムさんは足早に隣の部屋に入っていった
ソフィア
(私も───)
ソフィア
あっ…
私は歩き出そうとした時
目眩がして倒れてしまった
リアム
ソフィア?
リアムさんが心配そうにこちらに駆け寄ってきた
ソフィア
私は大丈夫…です
その時、急な頭痛が私を襲った
ソフィア
(頭が割れるように痛い…)
あまりの痛みに私はそのまま気絶してしまった