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本田の目は、静かに久留間の手首を見ていた。
赤い呪いが煙るように香る
それがゆらゆらと伸び上がり、静かに渋谷へと伸びていた。
ただし今はそれが先から掻き消えるように
久留間の手元に戻り始めている
さらにその気配が当事者には一切関知できない様子で
久留間も渋谷も、まったくそれに気付いてはいないようだった
本田芙蓉
本田芙蓉
久留間悟
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
ぽつりと落ちた本田の呟きに、久留間が振り返る
きょとんとまばたいての問いかけに笑顔で返し
にこやかさの裏に隠した眼光で今度は渋谷を観察した
本田芙蓉
本田芙蓉
渋谷大
渋谷大
渋谷大
渋谷大
久留間悟
久留間悟
渋谷大
業務の途中退席を申請する言葉が終わらぬうちに
渋谷が胸を押さえて蹲る
その苦しげな表情に慌てた様子で、久留間が顔色を変えた
久留間悟
久留間悟
久留間悟
肩を貸し、外へと連れ出す
その背中を見送り、ポストは言いづらそうに本田を見返った
ポスト
ポスト
ポスト
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
笑んだままの本田の眼光は、しかし柔らかさが見られない
それに些か怯んだ様子で、ポストは静かに体を折った
ポスト
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
ポスト
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
指を組んで思い悩む本田の言葉に、ポストの表紙が傾ぐ。
ポスト
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
ポスト
本田芙蓉
本田芙蓉
本田芙蓉
ポスト
あくまでも腰を上げようとしない本田の様子に戸惑いつつ
二人が出て行ったエントランスを見返る
タクシーを呼んでいるのか、それともほかの理由があるのか
どちらにせよ事務所の敷地内から動いていないその気配に
ポストは小さく唸った。
ポスト
頑張れよーと呟いて、業務に戻る
扉の向こうからは、陽気で無邪気な悪意がしみ出していた
同時刻
カタヅケ屋本舗事務所の駐車場
額に脂汗が滲み、胸元を強く掴んだ渋谷を不安げに支えて
久留間はスマートフォンを取り出していた。
久留間悟
久留間悟
渋谷大
久留間悟
短い呼吸を繰り返し、蒼白になった顔色で
無理に笑ってみせる渋谷の髪をぐしゃりと撫でる。
汗で濡れた感触が夜の情事を思い起こさせ
こんな風に触れたくはなかったと舌打った時だった
渋谷大
久留間悟
崩れ落ちた渋谷の肩を抱き、慌てて周囲を見渡す
車通りはあるものの、タクシーはいっこうに通りかからない
やはりアプリで呼び出した方が得策かと
スマートフォンをタップした時、二人の上に小さな影が差した
サキュバス
サキュバス
久留間悟
聞き覚えのある声に空を仰げば、幼い体躯を
惜しげもなく晒した先日の淫魔が覗き込んでいた
その姿に、渋谷の心臓の痛みが起因している予感が警鐘を鳴らす
久留間悟
久留間悟
サキュバス
サキュバス
サキュバス
久留間悟
サキュバス
サキュバス
サキュバス
ふふと笑う小さな声に、渋谷の肩がひくりと反応する
未だ痛みが残る心臓を無視し、久留間を睨みあげた
渋谷大
久留間悟
久留間悟
サキュバス
サキュバス
サキュバス
歌うようにくるりと体を捻り
淫魔は見た目にそぐわぬ艶然さで唇を開く
サキュバス
サキュバス
サキュバス
サキュバス
サキュバス
渋谷大
渋谷大
渋谷大
渋谷の唇がわずかに笑む
そのままふらつく足で立ち上がり 苦しげな表情のまま淫魔を見据えた
渋谷大
渋谷大
渋谷大
久留間悟
久留間にだけ見えるように、渋谷がふにゃりと笑みを浮かべる
その瞬間走った痛みに咄嗟に顔を顰めるものの
たった一呼吸短く吐き捨て、強気に睨み上げた
渋谷大
渋谷大
渋谷大
サキュバス
カラーコンタクトで彩られた青い目が、虚勢ではなく
挑戦的な光を見せたことに淫魔は思わず怯み、息をのむ
しかしそれもつかの間、すぐさま余裕を取り戻した淫魔は
ゆったりと頬を緩ませ、久留間を見下ろした
サキュバス
サキュバス
小さな投げキスを久留間に寄越し、ひらりと手を振る
その足もとが空中にもかかわらず小さく跳ねるのを見て
久留間は慌てて声を投げかけようと口を開いた
そこから音が発されるのを待たず、淫魔はにこやかに告げる
サキュバス
サキュバス
サキュバス
サキュバス
音だけを残し、淫魔の姿が宙に溶ける
届きもしないのに引き止めようと伸ばした手だけが
所在なく空を切った。
直後、その場に座り込んだ渋谷が深く息を吐く
渋谷大
渋谷大
渋谷大
久留間悟
久留間悟
渋谷大
久留間悟
渋谷の疑問符に、久留間は一瞬沈黙する。
やがて、二人の関係をひた隠しにしている限り
経緯をそのまま報告するわけにはいかないと気づき
苦悩の叫びを上げた