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覚えているゲームの内容、攻略キャラと主人公、それからシャークのことと周りの人間関係。 イベントの日にちや日常イベで起こるフラグも、なるべく詳細に思い出せる限り書き出していく。 カレンダーを見る限り今は5月2日。 物語の始まりでもある入学式は四月の初めだったから……ストーリーが始まってから大体一か月か……… このゲーム「Pure White Tale」通称PWTは病弱なこの国_アルカナディア国の王子”テンマ・レイ”が三年間の学園生活を通して五人のキャラと交流し、愛を育んでいく恋愛シミュレーションゲームだ。 …主人公の名前が固定されている代わりに全編フルボイスとかいう豪華っぷりの。 物語の初めはレイが空を飛ぶ馬車のようなものでアルカナディアに"帰ってくる"描写から始まる。 レイは身体が弱い。生まれつき病気がちで何か一つでも処置が遅れてしまえば命に関わるような状態がずっと続いている。 アルカナディアはほかの国に比べて医療の発展が遅く、ゲーム中でも俺が過ごしていた現代のような治療ではなく、魔法や儀式などオカルトチックな治療が多々出てくる。 だがレイの母親の出身国であるホンニチ……昔の日本のような国は医療の発展が凄まじく、レイは身体の不調を少しでも良くするためアルカナディア学園に入学する直前までホンニチで治療を受けていた。 シャークはそんなレイが気に喰わなかったのか元からの性格なのか知らないが、レイをいじめる悪役令息。 仮にも国の王子であるレイをいじめるなんてことあり得るのかと思ったが、レイは母親譲りの優しさ故全てを抱え込もうとし、原因が自分にあると考えてしまっているため、大事になっていないのだとストーリーを進めて行く内に分かった。
シャーク
シャーク
確か、そんなイベントだったはず。 ちゃっかりシャークは親とか周りの大人にいい顔して媚び売って招待貰ってんだからますますムカつく。 いじめを目の当たりにした際の反応は皆全然違うんだけど、全員主人公を大切に思う気持ちと言動がくっそカッコよくて普通に惚れるんだよな
シャーク
あんなにカッコよく見えた彼らの言動も、こっち側に立った途端トラウマ製造機でしかない。
シャーク
ふるりと少し身震いして、思考をどうにか切り替える。 とにかく、一番発生が近いイベントはそこだろう。 シャークはなんだかんだストーリー上でかなりの回数出てくる。レイに絡むこともあれば、攻略キャラとやり合うこともしばしばあったような気がするが…
シャーク
けどまあ、ありがたいことにこの身体は完全に俺の意思で動くことが出来る。 つまり回避が可能なのだ。
シャーク
一度ペンを置き、ノートを閉じて 試しに、と口を開く
シャーク
すると魔力で出来た半透明の鎖が現れノートをぐるぐると囲み、すぅと溶けるように消えていった。
シャーク
このゲームをプレイしていて一番楽しかったこと、それはストーリーでもボイスでもなく…"魔法"だ。 種類が豊富で恋愛ゲーとは思えないほど作りこまれている。 何週もしたおかげで大体の魔法は頭に入ってるし、唱え方も分かる。 今使ったのは文字通り、何かに鍵を掛ける魔法。 同じ暗号を唱えない限り絶対に開かなくなるもので、この世界の一般家庭に付いてる鍵は基本この魔法が掛かっているらしい。 シャークはこれで主人公を倉庫に閉じ込めた。……最悪だ。
シャーク
シャーク
手を前に突き出してそう唱えれば、ゲームで見たまんまのUIのステータス画面が現れる。
[シャーク(魄ォ蜥檎伐莠ー縺ィ)] 16歳 男 アルカナディア魔法学園1年生 level:????????? 得意魔法:∞ HP390/400 MP:繧、繝ウ繝輔ぅ繝九ユ繧」
シャーク
所々文字化けしていて読めないのは、シャークという人物に俺が紛れ込んでしまった影響だろうか。 もしくはゲームでそこまで設定されていなかったのかもしれない。
シャーク
この世界では皆当たり前に魔法が使える。 それぞれに得意な魔法の属性があり、基本両親どちらかの得意な属性を子が引き継ぐことになる。 稀に両方の属性が混ざった新たな属性が生まれることもあるらしいが……天文学的な確率だとどこかで読んだ気がした。 主人公レイの得意魔法は光。だがMPもHPも低いためストーリー中で使用する機会はほとんど無い。
シャーク
まあいずれわかるだろう。MPに関しては魔法の種類と魔法を打った回数から割り出せるし。 しばらくステータスと睨めっこしていると、ステータス画面が徐々に透明になっていき、まるで元からそこには何も無かったかのように消えた。
シャーク
目標が見え、やるべきことも分かった。 人間、目標があればまあどうにかなるもんで。案外楽しもうと思っている自分が居る。 …ゲームの世界だからってのもあるか。
シャーク
ゲーム通りならHPは寝る事でも回復できるはず。 シャンデリアに手を向け”light out”と唱えて灯りを消し、ふかふかなキングサイズのベッドに潜った。