朝起きる、身支度をする、部屋から出て朝食を食べる 馬車に乗り込み、学校へ行く なるべく目立たないよう教室の隅を陣取り、授業を受ける 休み時間は絶対に主人公と会わないよう屋上で過ごし、また馬車で家に帰ってくる そんな暮らしにもようやく慣れてきた。 最初こそ気になっていた周囲の視線も陰口も、五日も過ごせば日常の喧騒の一部だ。 運が良い事に主人公や攻略対象とは一度も会わなかったし、変に絡んでくるヤツも居なかった…いや、俺が絡む側なのか、、元は。
何はともあれ今日は5月7日。 …30分後、午後6時から例のパーティーがある。 パラパラとノートを見直して、なんとなくの流れを頭に叩き込む。
シャーク
ここで誰が選ばれるかはランダムだったはず。 不確定要素があるのは怖いが仕方がない、ゲームの仕様は変えようが無いからな。
シャーク
自分でそう口に出してハッとした
シャーク
プレイしていく上で忘れることなんてまずないし、5周もすれば忘れる気もしないが、念のためとノートを取り出す。
シャーク
パーティーの時間も迫っているため、いつもより雑めに名前を箇条書きする。
シャーク
"Nakamu""きりやん""きんとき""スマイル""Broooock"
この愛称は仲良くなった奴らでしか呼び合わない。 なら書かなくてもと思わなくもないが、念には念を、だ。
コンコンッ
使用人
シャーク
あの日からずっと、家の使用人にも誠実な態度を取り続けている。 そもそも俺は他人をけなす趣味なんてないし、ストーリーに絡んでないとはいえ変な所でフラグを踏んでも嫌だし。
シャーク
結末は…未来はきっと変えられる。
……………多分。
ガタガタと馬車に揺られること約20分。 この世界での移動手段は様々だが、貴族は馬車を使うことが多い。 そうすることで財力や権力を示してるとかなんとか。 外をちらりと除けば、ぼんやりと明るい屋敷が見えてきた。 なんでもパーティーのためだけに作った屋敷らしい。 広い会場があり、宿泊する部屋もあり、ちょっとした娯楽施設までついている。 馬車は飲酒した状態で乗ると高確率で吐くからと作られたらしいが、そこまでして酒が飲みたいのか。
使用人
使用人の言葉が不意に途切れた
使用人
シャーク
人間は鏡だ。 どれだけ立場が違おうと、少しは自分の態度が反射して反映される。 馬車に揺られまた家へと戻っていった使用人の言葉を何度も頭の中で思い出しては、どうか彼女たち使用人のためにも、揉め事にはなりたくないと強く願った。
シャーク
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