数十年後、父上は死んだ
その頃の私は、幼くなかった
哀歌
私は、この島を出ていきます。
母上
そう。構わない
剣を握らなくなってから、
私はナースになろうと試みた
数十年後、勉強をしていたから、
困ることはなかった
母上も、私のことをどうと思っていない
だれも、私を止めない。
だれも、私を止めてくれない
幸せだった。
モビーディック号に乗っていたあの日
襲撃が起きて、逃げる途中――
サッチ
っ、こっちか、
メラメラと炎が燃え上がる
私の背丈以上に大きい
哀歌
ごほっごほっ、
灰色の煙を吸ってしまったみたい
むせることが、止まらない。
サッチ
っ、あともう少しだぜ。
サッチ
我慢して歩けるか?
哀歌
だ、だいじょ、ごほっ、、
上手く歩けないけれど、
炎の中を抜けるには、歩くしかなかった
すると、向こうから人影が―――
サッチ
っ、危ねぇ!!
サッチさんが、私を押した
ぽとりと、彼の傷口から血が出る
モブ
ちっ、かわしたか
モブ
お前、邪魔だ。―――退け
サッチさんが、吹っ飛んだ―――
哀歌
サッチさん、!!
モブ
おいおい、その前に自分の身を案じたらどうだ?
首元に、剣が突きつけられた
哀歌
はっ、、?
サッチ
っ、、逃げろ、哀歌!!
サッチさんは、私を逃がそうとしてくれた。
だから、サッチさんを置いて、
逃げればよかったのに、
体は動かず、戦うことを選んでしまった
自分の力を試して見たかったのかもしれない