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その日はとても晴れていた

冷たい風が私の横を通り過ぎる

別れを惜しむ間もなく

春が訪れようとしていた

紗結

日差しがあったかいなぁ

風奏

紗結、ここにいたんだ

紗結

あ、ごめん

紗結

もしかして探してた?

風奏

ううん、ただ紗結が泣いてないかなって

紗結

…!

紗結

ふふ

紗結

もう泣かないよ

紗結

私は前に進むって決めたから

風奏

…そっかぁ

風奏

すごく寂しくなるね

紗結

そーだね…

紗結

そろそろ式典に戻ろっか

風奏

うん!

風奏

もういいの?紗結

紗結

……

紗結

うん、私はもうちゃんと大丈夫だよ

紗結

パパを送り出す準備は出来てる

風奏

じゃあ…行こっか

パパを見送って、親戚の方たちと食事会があった

そして無事…葬式は終わった

ショッピくんの家に帰った私は

今現在、土下座をしている

ショッピ

な、なにしてんねん!?

ショッピの奥さん

どうしたの紗結ちゃん!

紗結

私は、パパが亡くなって決めたことがあります

ショッピ

いやなんで土下座?!

ショッピ

顔上げろって!

ショッピ

じゃないと俺が先輩に怒られるわ!

紗結

いえ、こうさせてください

紗結

…私

紗結

私は

紗結

パパの会社を継ぎます

ショッピの奥さん

ショッピの奥さん

それじゃあ…まさか

紗結

はい

紗結

お父さんとパパが完成することができなかった

紗結

ガンを治す薬やパパと同じ病気で苦しんでいる人を治す薬を作ります

ショッピ

そうか…

ショッピ

それが紗結ちゃんの決めたことなら俺はなんも止めんよ

ショッピ

でも紗結ちゃんがここまでするってことは…なんか決めたんやろ?

紗結

…はい

紗結

パパの会社を継ぐと決めた以上、私は学力を高めないといけません

紗結

それも医学の勉強です

紗結

だから私は、今の学校を辞めようと思っています

ショッピの奥さん

コネシマさんの会社で住み込みで勉強するってことね?

紗結

…はい

紗結

わがままで、ごめんなさい

ショッピ

ショッピの奥さん

ショッピ

それが紗結ちゃんの進みたい道か?

紗結

はい!

ショッピの奥さん

そう…寂しくなるわね

ショッピの奥さん

ねぇ未来?

未来

んん…

未来

ねーね…?

紗結

未来、ちゃん

私に抱っこをせがんでくる未来ちゃんに うるっときてしまった

未来

ねーね!

紗結

…未来ちゃん、お姉ちゃんね

紗結

遠いところに行くんだ

きゅるっと大きい目が、私を捉えて離さなかった

未来

紗結

休みが取れたら、会いに行くね

紗結

だからそれまでいい子にしてるんだよー?

未来

あー

未来

ねぇね!

満点の笑顔で私に抱きついた未来ちゃん

この子は将来、どんな子になるんだろうか

紗結

うん…うん!

紗結

ありがとね未来ちゃん

ショッピの奥さん

学校の手続きはもろもろ任せて

ショッピの奥さん

紗結ちゃん、頑張るのよ

ショッピ

俺らはずっと応援してるよ

紗結

〜〜っ!

紗結

ありがとうございますっ!

ショッピくん達に話してから 1週間後

今日は…

最後の登校日

クラスのみんながお別れ会を企画してくれた

風奏

紗結、元気でね

紗結

もぅ…今生の別れじゃないのにさ?

風奏

だぁってぇ〜

一生の別れのように泣く風奏を見て、逆に冷めてしまった

会おうと思えば、いつでも会えるのに

紗結

泣かないでよ風奏ぁ〜

風奏

うええぇええん

それにしても七瀬、父さんの会社継ぐんだってな?

紗結

はい、先輩

じゃあ将来は玉の輿かぁ?

すげぇなー

紗結

まだ研修生って感じですよ

紗結

竹野さんが何から何までサポートしてくれたんです

ほぉー

頑張れよ七瀬

…あとさ

そう言って先輩は耳打ちをして

ゾムが朝から不機嫌なんだけど

なんでか知ってるか?

朝から不機嫌…?

でも朝は普通に話したし…

バカ、よく見ろ

と言われて、教室の隅っこにいるゾムに目を向けると

ゾム

……

たしかに

不機嫌オーラが丸出しだった

紗結

な、ななななんであんなに怒ってるんですか?!

知らねぇよ!

だから七瀬、聞いてやってくんね?

紗結

えぇ…

お前、向こうに行ったら会う機会ほとんどなくなるやろ

紗結

…忙しさ次第ですかね

ほーれみろ

ゾムもさ、知りたいんやないんか?

七瀬の答えがさ

紗結

私の答え……?

風奏

紗結、もう竹野さんが迎えに来てるんじゃない?

風奏が窓の外にある黒の車を指さしていた

竹野さんの車だ…

紗結

あっ、ほんとだ

紗結

じゃ…みんな

紗結

また会おうね!

私はクラスのみんなに笑顔を向けた

たった1年間だけだったけど

たくさんの思い出があるこの教室を

離れたくなかった

だけどこれは私の進んだ道

だからみんな

またね

竹野さんの車がもうすぐの所で

ゾム

紗結!!

ずっと聞きたかった声が聞こえた

紗結

…ゾム

ゾム

…ほんとに行っちゃう、のか?

紗結

うん

紗結

もう行くよ

ゾム

紗結

ゾム…

紗結

私ね、ゾムに出会えてほんとに良かった

ほんとだよ

最初は「一目惚れや!」って言われて戸惑ったけど

いつも私のことを想ってくれて

嬉しかった

この気持ちはきっと…

答えはもう分かってる

ゾム

好きだよ

紗結

…!

ゾム

どうしようもなく、紗結が好きだよ

紗結

……

返事がしたい

だけど私は

私は…

この道を選ぶと決めてるから

紗結

ごめんねゾム

紗結

…ごめん

ゾム

…俺

ゾム

会いに行くよ

ゾム

ずっと、会いに行く

紗結

……

ゾム

紗結を好きな気持ちは

ゾム

明日も、明後日も、1年後も、5年後も、10年後も

ゾム

ずっと、一生変わらない

ゾム

紗結だけや

紗結

紗結

じゃあ、ゾム

紗結

私が18歳になったら

紗結

迎えに来てね

ゾム

え?

持っていた荷物をその場において

ゾムのもとに走った

そして…

軽くキスをした

ゾム

!!!!

紗結

好きだよゾム

紗結

私も大好き!

この恋が叶うのは

そう遠くない未来の話だ

3年後…

紗結

もしもしもしもし?

紗結

遅いよ

紗結

私がどれだけ待ったと思ってんの?

紗結

はあ?迷った?

紗結

大きい桜の木の下だよ!

紗結

え?なぁに?

紗結

後ろ…?

ゾム

紗結

紗結

え、えええ?

紗結

ゾム?!

ゾム

社長就任おめでとさん

紗結

ありがと…

紗結

これ…もしかしてスズラン?

ゾム

そ!

紗結

綺麗なスズラン…

紗結

ありがとうゾム!

ゾム

どーいたしまして

ゾム

で?紗結さん

紗結

小さいリップ音が響いて

ゾムの顔が真正面にドアップで映った

紗結

!!!!

紗結

な、な、な…

ゾム

迎えに来たよ

ゾム

紗結

ゾム

俺と一緒に生きていこうや

すずらんの花言葉は

再び幸せが訪れる

それは突然に…

答えを知っているかのように

幸せが訪れた

???

見て見て!おにいちゃん

???

ママがテレビに映ってる!

???

ホントだ

???

お母さんはやっぱりすげーな!

???

あるつはいまー?を治す薬なんだって!

???

ママすごいな〜

???

お父さんちゃんと見てる?

「見てる見てる、すごいやろママは」

「おじいちゃん達が完成出来なかった薬をママが作ったんや」

???

お母さんの凄さは僕たちが1番知ってるよ

???

そーよパパ!

???

それに、私たちが1番ママのこと大好きなんだから!

「お?言ったな?」

「俺のママへの愛はぜってぇ負けねぇ」

???

パパったら大人げない

???

僕たちまだ子どもなのに…

「……俺が想像してたんと違うわ」

「なんでお前らそんな冷静なん?もっとさぁ」

「こう…じゃれたりしようや!」

???

はぁ

???

はぁ

「なんなん?この冷静さ!?」

「ママの遺伝子強すぎやろ!」

その恋が叶うとき

それは新しい命となって生まれる

大きな2つの花に見守られながら

2つの芽はすくすくと育つ

そしていずれ、花は枯れる

そしていずれ、幼かった芽は花となる

紡がれていく命、想い

それは小さな芽が大きな花になっても

ずっと一生

変わることはないだろう

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コメント

29

ユーザー

作品読みました。すごく感動しました。途中からは涙を流しながら読んでいました。最後には前を向いてゾムくんとちゃんと結ばれるエンドすごく良かったです。感動作品をありがとうございました。

ユーザー

活動お疲れ様です ありがとうございました

ユーザー

初コメ失礼致します  一気に見させてもらいました4回ぐらいよんでるんですけどいつ読んでも感動と愛が伝わってきて最高の小説でした!感動など色々とありがとうございます

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