米(ヨネ)
米(ヨネ)
米(ヨネ)
米(ヨネ)
米(ヨネ)
米(ヨネ)
一目惚れ。叶わぬ恋。
少女漫画なんかにある、 そんな言葉。
現実はそんなに甘い世界じゃない。
一目惚れするほど美しい人なんて いないし、叶わぬ恋なんて 諦めているだけだろう。
昔からなんでもそつなくできて ほとんど苦痛を経験しなかった 社畜の俺は、愛とか恋とかに興味が なかった。
というか、分からなかった。 よく、分からなかった。
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考えてるだけで迷路で迷って しまったみたいにいったり きたりしてしまう。
ただー。
そんな俺が叶わぬ恋なのに、 一目惚れした人。
あんなに愛とか恋に毒づいていた ことが嘘みたいに虜だった。
会ったことも、声を聞いたことも なかった。
いや、もう会えないし、 声も聞けないのだけど。
その人を初めて見たのは、職場の 先輩からもらった無料券で 美術館に行ったときだった。
まだカメラが白黒だったころに 撮られたとみられる写真が、 今のカメラと性能が変わらず 色つきでしかもその写真に写る人が めっちゃ美人らしく、話題に なっているらしい。
美術館の絵をひとつひとつ 見ていくが、正直、何がいいのかは 分からなかった。
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そう言いながら、美術館の 一番奥にきた。
題名は「名無しの女神」。
はだけた着物と、少し悲しげな目。
その写真を見た瞬間
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涙があふれた。 心の底から美しいと思った。
これが一目惚れで叶わぬ恋だと、 すぐに分かった。
それでもできるだけ側にいたくて。
気づけば常連になっていた。
そして今日も仕事の合間を縫って ここへきていた。
???
いつものように見入っていると、 声をかけられた。
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りうら。俺と同じく、この写真に 心を打たれた一人だ。
り
i
り
りうらには何度もここで 鉢合わせして、いつのまにか仲良く なっていた。
り
i
この写真のひとは男らしい。 最初聞いたときは驚きすぎて目玉が 飛び出るかと思ったぐらいだ。
り
i
り
りうらはぐーっと伸びをしながら 明るく言った。
り
i
り
i
りうらは俺の方をみてぽかーんと 口を開けた。
り
i
り
り
i
俺らが生きてる時代に、 タイムマシンなんてできるのかは わからないけど。
i
美術館から出て、鞄の中から カメラを取り出した。
名無しの女神を撮影した人に憧れて 即買いした、ちょっと高めのやつだ。
ここにきた日を記録するために、 目の前のサイコロの石像を撮る。
i
位置を決めてカメラの シャッターを押すとー。
i
急に、知らないところに来ていた。
i
今の時代とは思えないような 町並み。
周りの人は着物のような服を 着ていて、俺は浮いていた。
女性
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まぁ、この服なら目立って 当たり前だろう。
i
???
わからないことだらけで冷静さを 保てるはずもなく、どうしようか 困っていると一人に声を かけられた。
i
そう言いかけて俺は目を疑った。
一瞬、時が止まったかと思った。
だって目の前には、いつも 美術館で見ていた あの写真の人がいるのだから。
i
その人は周りを見回して言った。
きっと、まわりの目を 気にしたのだろう。
放心状態の俺の手をひいて 歩きだした。
ずいぶん離れたところで 立ち止まった。
i
やっと正気に戻って、 逆に夢だと思った。
けど、さっき手を引かれた感覚は 夢ではなかった。
珍しい服装…?ここではみんな、 着物が普通だと思っているのか…? …まてよ。
i
i
こ、これってもしかして タイムリープ…?
よくない。全然よくない。 けど、写真を撮ったらタイムリープ したんだから、サイコロの石像の 前に戻って写真さえ撮れば…。
i
あ、じゃあ場所は変わって ないのか…!戻れるかも…!
i
こんな機会めったにないから 勇気をだして名前を聞いた。
な
ないこ…。 女神の名前だと思うと、呼ぶこと すらおこがましく思えてくる。
i
な
i
な
いやあんたの方が可愛いから! 自覚症状なしやん…。
な
…え。逆にいいんか…? 明日死ぬんかな…。
i
あの石像、できたの明治時代 だったし…あってくれ…!
な
i
まじか…。もしかして、 俺死んでる…? いや生きてるよな…。
な
i
女神にタメ口はいけないと 思うけど…。 せっかく案内してくれるのに 距離があったら相手に 気使わせてしまうかもしれんし。
てか、女神って言ってるけど 俺と同じ人間だし…!
な
i
な
i
ないこにつれられてある服屋(着物 しか売ってないのだが。)にきて ないこが着物を選んでくれた。
な
着替え終えて恐る恐る出ていく。
な
i
な
あの写真を見てただけのころは 大人っぽいひとだと思っていた けど、意外と人懐っこくて 本当に可愛かった。
な
i
な
現代のお金がこの時代で使えるかも 分からないし…。
i
な
あれからいろいろまわって夜。 ないこにつれられて、 あるお祭りにきた。
i
今とそんな変わらないんだな…。
i
な
i
ないこが店の人にお金をわたす。
な
i
な
二人でヨーヨーを真剣にすくう。
な
i
i
な
ないこの手には青いヨーヨー。
そして、俺の手には ピンクと赤のヨーヨー。
な
i
人混みの中、 ヨーヨーの中の水が ゆらゆら揺れていた。
いろいろまわっている間に もう日が沈んでいたた。
二人で近くの椅子に腰かける。
な
i
i
な
i
な
ないこの顔がみるみる紅くなる。
i
な
i
な
な
顔を紅くしながら言う。 別に…。
i
な
少しさりげなく。 けど、心からの気持ちを込めて。
i
この気持ちを伝える ことなんて出来ないと思ってた。
だから、この今の瞬間を 無駄になんて出来ない。
な
i
恥ずかしいのか敬語のないこに、 からかいながら口調を合わせる。
な
i
な
顔を背けていて、どんな表情を しているかは分からなかったけど お互いきっと。
i
右にいるないこの手をつかむと、 ぎゅっ…と握り返してくれた。
な
i
この瞬間が。
本当に幸せだと感じた。
すっかり遅くなったしまい、 ないことすぐ側にあった 宿屋に入った。
i
な
うわぁ…。俺の彼女可愛い…。
な
あ、そっか…。俺は現代に 帰らないといけないのか…。
な
i
な
i
そっか。この時代ってカメラが 貴重品なのか。
な
ないこは急に、着物を脱ぎ始めた。
i
な
な
ないこは少し 悲しげな目をしていた。
i
な
ないこは畳に仰向けに寝転がった。
な
i
ないこの右手には青色のヨーヨー。 少し離れたところに ピンク色のヨーヨー。
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な
「会ってみたいなぁ。 この、女神に!」
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な
i
現代には戻らない。
i
な
i
な
i
そのままゆっくり、 カメラのシャッターを押した。
な
i
り
毎日のように来ていたまろが、 来なくなった。
り
りうらは美術館に今日も来ていた。
り
女神の写真がすこし違った。
女神の目に…青い影が見えた。
ずっと見てきたから分かる。 目にこんな影、写っていなかった。
り
り
り
り
り
でも、それぐらい好きだったんだ。 女神のこと。
分かってたんだ。
りうらに勝ち目 なんかないって。
写真を見て泣いている 姿が美しくて。
うそついて近づいた。
自業自得だ。
でも…。
り
り
り
コメント
3件
昭和5年と言うことは1930年頃でしょうか。そこから💙君は残りの人生を歩んでいくんですね。💙君は社会人という設t))社会人なので20代の真ん中辺りでしょうか。そうすると❤️ちゃんには会えない…会うためには💙君が110歳を過ぎても存命している必要がある… 確り作られてますね。素敵です。
めっちゃ好きです(^-^) タイトルの意味とかものすごく工夫されていて最高でした!最後の赤君のシーンで泣きそうになりました…(´;ω;`)カンドウスルヨォ… あ、それとコニカルコンクール準グランプリおめでとうございます!🎉前回といい今回といいすごいです!尊敬しますっ😍
言葉選びとかカメラの場面とか本当凄くて自分の語彙力じゃ表せないほど綺麗でなんかもう、本当凄いしか 言えなくってごめんなさい! 凄く綺麗な物語でした!ありがとうございます!