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夏の終わりは恋の終わり

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夏の終わりは恋の終わり

4 - 夏の終わりは恋の終わり

2020年09月13日

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遊園地

佐藤 桜

遊園地なんて久しぶり!

篠崎 美優

あ、あそこにアイスある!

中野 夏帆

お土産も!

佐藤 太陽

ジェットコースターも!

雨宮 誠

はぁ、はしゃぎすぎです

篠崎 美優

だって楽しみなんだもん!

雨宮 誠

ほんと子供

篠崎 美優

うるっさい!

佐藤 太陽

まず何乗る?

中野 夏帆

ジェットコースター!

佐藤 桜

賛成です!

篠崎 美優

行きましょ!

雨宮 誠

俺は良い

佐藤 桜

…高いところ怖いの?

雨宮 誠

違うし…

中野 夏帆

私達と乗れば怖くないよ!

佐藤 太陽

誠も行くぞ!

雨宮 誠

ちょっ…!

ジェットコースターに乗り込んだ

皆のドキドキは最骨頂だ

雨宮 誠

うっ…

雨宮 誠

来る…

中野 夏帆

雨宮くん、来るよ!

ジェットコースターが急降下した

中野 夏帆

きゃぁぁぁ!

中野 夏帆

あはは、最高~!

雨宮 誠

ううう…

誠くんは目をつぶり頑張って耐えている

少し可哀想なことをしただろうか

…………

篠崎 美優

はぁ、楽しかった!

中野 夏帆

最高だったね!

佐藤 太陽

久しぶりスリル味わった気がする!

佐藤 太陽

な、桜!

佐藤 桜

あ、あぁ、は、はい!

中野 夏帆

大丈夫?桜ちゃん?

中野 夏帆

(凄く動揺してる…)

佐藤 桜

だ、だ、大丈夫です!

中野 夏帆

(顔も真っ赤だし、先輩と何かあった?)

中野 夏帆

(ううん、考えるの辞めよ…)

佐藤 太陽

次はあれ乗ろうぜ!

中野 夏帆

行きましょ!

篠崎 美優

行こ行こ~!

その後も沢山のアトラクションに乗った

終始、先輩は桜ちゃんをチラチラと見ていた気がする

…………

佐藤 太陽

もう暗くなってきたな

佐藤 桜

どうします?

佐藤 太陽

あと2つだけ乗りたいんだよな~

篠崎 美優

何乗りたいんですか?

佐藤 太陽

あのボートと観覧車

雨宮 誠

それ乗ったら帰りますよ

篠崎 美優

先にどっち乗りますか?

佐藤 太陽

ボート行ってもいいか?

中野 夏帆

良いですよ!

佐藤 太陽

じゃあ、夏帆

佐藤 太陽

一緒に乗ってくれないか?

中野 夏帆

え、私ですか…?!

中野 夏帆

(すっかり話のこと忘れてた…)

佐藤 太陽

じゃ、行くか!

中野 夏帆

は、はい!

篠崎 美優

じゃあ、私達は3人で乗ろっか

佐藤 桜

うん…

雨宮 誠

分かった

…………

中野 夏帆

あの、先輩話って?

佐藤 太陽

夏帆に言いたいことあってさ

中野 夏帆

はい…

中野 夏帆

(なんだろう、告白…なわけないよね)

佐藤 太陽

俺、告白しようと思ってるんだ

中野 夏帆

…桜ちゃんですか?

佐藤 太陽

うん、そう

中野 夏帆

そうですか…

中野 夏帆

頑張ってくださいね…!

佐藤 太陽

おう、ありがと

中野 夏帆

きっと成功しますよ

中野 夏帆

(これで私の恋も終わりか…)

…………

佐藤 太陽

じゃあ、次は観覧車だな!

佐藤 桜

はい、そうですね…!

中野 夏帆

(先輩、頑張ってください)

佐藤 太陽

桜、一緒に乗るぞ!

佐藤 桜

良いんですか?

佐藤 太陽

当たり前だろ!

佐藤 太陽

ほら、行くぞ!

桜ちゃんがこちらをチラッと見る

中野 夏帆

楽しんでね~!

私は涙を堪えながら、笑顔で桜ちゃんを見送った

2人が観覧車に入っていった

私の目からは涙がこぼれ落ちた

篠崎 美優

もう、良いんですか?

中野 夏帆

美優ちゃん…

雨宮 誠

僕も気づいてましたよ

中野 夏帆

そっか…

篠崎 美優

どうせ、私が告白したら先輩が困るから…

篠崎 美優

とか思ってるでしょう!?

中野 夏帆

…うん

雨宮 誠

気持ちだけ伝えたらどうですか?

中野 夏帆

でも、いつ?

篠崎 美優

今日の帰りにでも伝えてください

篠崎 美優

私は桜と帰りますから

篠崎 美優

夏帆先輩は佐藤先輩と帰ってください

中野 夏帆

うん…

篠崎 美優

まだ迷ってるんですか?

篠崎 美優

今告白しなかったら一生後悔しますよ

美優ちゃんの一言で何かが吹っ切れた

中野 夏帆

うん、そうだよね

中野 夏帆

私、告白するよ

篠崎 美優

先輩ならそう来ると思いました!

雨宮 誠

頑張ってください

中野 夏帆

ありがとう、2人とも!

…………

先輩と桜ちゃんが戻ってきた

案の定、2人は付き合っていた

中野 夏帆

おめでとうございます

佐藤 桜

ありがとうございます…!

佐藤 太陽

ありがとな!

篠崎 美優

それじゃ、解散しますか!

中野 夏帆

そうだね!

篠崎 美優

桜、帰ろ!

佐藤 桜

うん!

佐藤 太陽

夏帆、帰る方向同じだろ?

中野 夏帆

あ、はい

佐藤 太陽

一緒に帰ろうぜ!

中野 夏帆

分かりました!

篠崎 美優

雨宮はどうすんの?

雨宮 誠

俺は用事あるから

篠崎 美優

そっか、じゃまたね!

雨宮 誠

うん

…………

中野 夏帆

(先輩と二人きり、今しかない…)

中野 夏帆

あの、先輩!

佐藤 太陽

ん?

中野 夏帆

言いたいことがあります

佐藤 太陽

なんだ?

中野 夏帆

私、先輩の事が好きです

中野 夏帆

去年の夏からずっと…

佐藤 太陽

…………

佐藤先輩は驚いていた

佐藤 太陽

ごめん、気づけなくて…

中野 夏帆

いえ、大丈夫です

佐藤 太陽

えっと…

先輩は返事に困っているようだった

中野 夏帆

答えはいりません

中野 夏帆

桜ちゃんとお幸せに

佐藤 太陽

あぁ、ありがとう

中野 夏帆

じゃあ、また明日…!

佐藤 太陽

おう、またな

先輩は私に背を向け歩き出した

だけど、1度だけ後ろを振り返って

佐藤 太陽

これからもよろしくな!

と、いつもの調子で言った

私は何も言わず、笑顔で頷いた

だって、一言でも話すと涙が止まらなくなりそうだったから

先輩が見えなくなったあと

私は海を見に行った

中野 夏帆

はぁ~

中野 夏帆

…大好きだったのにな

涙が私の頬を撫でる

中野 夏帆

お幸せに

中野 夏帆

私の初恋の人───

私の精一杯の叫びは

夜の海にかき消されてしまった

「夏の終わりは恋の終わり」

[完]

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