テラーノベル
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episode 1
『あなたとのであい』
私の思い出の場所 、それはとある空き地 。
あの空き地は 、風の音がよく聞こえる場所だった
ランドセルの中で 、水筒が ごとごと となる
学校帰りの道を 、私はいつもよりゆっくり歩いていた 。
ある人を見るためだけに
雑草が生い茂る中で 、ある人が決まった時間にそこにいる
草むらの中に座って 、スケッチブックを膝に広げて 。
今日は遠くの電柱や 、近くの雑草を黙って見つめていた
帽子に恐竜みたいなマークがついていたから私はこっそりその人を「恐竜さん」とよんでいた
最初はずっと 、見ているだけだった
ある日 、恐竜さんと目がバッチリあってしまった
桃
か細い声が出た 。
その姿に恐竜さんは 笑って 軽く手を振ってくれた
その時から 、少しずつ恐竜さんに話しかけるようになっていた
話しかけるうちに知った 。 恐竜さんは 緑 という名前らしい
その後は家族ぐるみで仲良くなった
今日も 、いつもの場所にいる
桃
桃
緑
桃
その時 、緑さんは少し笑って 「だから難しいし楽しいんだよね」といった
その頃子供だった私には 、それが理解できなかったのだけれど 。
その時の 緑さんの目は真剣な目だった
それだけは覚えている
それから数日 、私は勇気をだして言った
桃
そう 。言った
緑さんはまた少し笑った 。
困ったように 、でもどこか嬉しそうに 。
緑
緑
桃
緑
緑
それは 遠回しに 、やんわりと断る言葉だったのかもしれない 。
でも私は本気だったし 、なぜかその言葉がとても嬉しかった
桃
そう言って指切りしたのを今でも覚えている
それからずっと私は毎日のように空き地に通った
学校よりも 、友達よりも 、緑さんと話すのが楽しかったから
緑さんはいつも絵を描いていたけれど 、私に完成した絵はほとんど見せてくれなかった
けれど 、見る を大切に 、一緒に絵を書いている時間は楽しかった
緑
桃
緑
桃
緑
緑
桃
桃
緑
緑
桃
緑
桃
桃
緑
そうやって教えてくれたのを今でも鮮明に 、ずっと覚えている
私は緑さんが 、描いている途中の絵も上手くかけたと言っていた自信作の絵も見たことがない
でも 、緑さんと何かを見つめている時間が私は好きだった
その背中が、風の中に溶けていくようで。 見えないものまで見ているような気がして。
私もあのようになりたい 。そう本気で思った
ちゃんと世界を見てくれているような 、あの人に
緑
𝓝𝓪𝓶𝓮 : 白石 緑 𝐞𝐭𝐜 .. : 桃の憧れの人 。 毎度同じ場所で絵を描いている
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ?
コメント
4件
1コメ?!やた!! 予想通りでしたw この作品大好きすぎる(すぐ強調するやつ)
次の話を出す時は未定です いいねください …