一覧ページ

こっくりさん

第44話 - 3週間の眠り

2,409

2020年01月07日

#ホラー

#短編集

テラーノベル

看護師

先生、8号室の患者さんが目を覚ましそうです！

ジングウジ

…そうか。長かったな

ジングウジ

悪いが、彼らに連絡しといてくれないか？

看護師

わかりました

ジングウジ

予定通りに進めて行こう

看護師

先生、でも…

ジングウジ

すべては彼女の為だ

エリコ

…ん、ここは…どこ？

エリコ

あっ…体中が痛い

ジングウジ

目が覚めたようだね。良かった

エリコ

あの…私は…どうして

エリコ

…この手袋は

エリコ

（肘まである長い手袋がつけられてるけど…）

ジングウジ

あっ、それはサポーターなので外さないでください！

ジングウジ

まだ、記憶が混乱しているみたいですね

ジングウジ

大丈夫、焦らなくてもゆっくり思い出せばいい

ジングウジ

僕は君の主治医のジングウジです

エリコ

ジングウジ先生…

エリコ

（30歳くらいかな？ハンサムで素敵な先生で良かった）

ジングウジ

自分の名前は言えるかな？

エリコ

…ネムカワエリコです

ジングウジ

歳は？

エリコ

14歳、中学2年生です

ジングウジ

…他には何か覚えてるかな？

エリコ

えっと…確か

エリコ

車に乗ってたような…

エリコ

私、家族で出かけてた気がする…

ジングウジ

そう、その途中で事故にあったんだ

エリコ

あのっ、パパとママはどこですか？

ジングウジ

心配しなくていいよ

ジングウジ

怪我はしているけど、命に別状はないから

ジングウジ

エリコちゃんとは別の病院に入院しているよ

エリコ

そっか、良かった

エリコ

先生、私ってどのくらい眠ってたの？

ジングウジ

3週間くらいだよ

エリコ

そんなに！夏休み終わっちゃったよ

エリコ

あっ、そうだ

エリコ

先生、小銭貸して！

ジングウジ

小銭？

エリコ

うん、ちょっとパパ達に電話かけたい

ジングウジ

それだったら、このスマホ…

ジングウジ

あっ、いや…

ジングウジ

それより君のお友達がお見舞いに来てるよ

ジングウジ

特別に面会を許可するから、話してごらん

シンちゃん

…エリコ？

シンちゃん

えっとお見舞いに来たけど…

メグ

体調はどう？

エリコ

シンちゃん、メグ！

エリコ

来てくれたんだ。ありがとうー

エリコ

この通り元気だよ！

エリコ

早く退院したいなー

シンちゃん

…なら良かった

メグ

うん、そうだね…

シンちゃん

…………

メグ

…………

エリコ

（…二人とも妙によそよそしいけど）

エリコ

（何だろう？この違和感は…）

エリコ

ねえ、シンちゃんって眼鏡してたっけ？

シンちゃん

…休みの日は眼鏡だよ

エリコ

ふーん。メグもマスクしてるけど、風邪？

メグ

ゴホゴホっ

メグ

うん、ちょっと風邪気味なんだ

シンちゃん

じゃあ、そろそろ俺たち帰るわ

シンちゃん

行こ、メグ

エリコ

ちょ、ちょっと待って！

エリコ

今、来たばっかじゃん

エリコ

シンちゃんと二人で話したいんだけど

メグ

…私、先に帰ってるね

エリコ

シンちゃん、やっと二人っきりになれたね

シンちゃん

うん、そうだな…

エリコ

何か今日のシンちゃん変じゃない？

シンちゃん

そ、そんなことないよ

エリコ

だったら、いつもみたいにキスしてよ

シンちゃん

ここ病院だから、無理だよ

エリコ

大丈夫だって

エリコ

シンちゃんいつも手紙に書いてたじゃん

エリコ

早くエリコとキスしたいって

エリコ

だから、お願い。早くキスして

シンちゃん

ほんとに無理だからっ

シンちゃん

もう、帰る

エリコ

ほんと最悪

エリコ

帰ることないじゃん

エリコ

えっと、トイレどこだろう？

エリコ

なんか体中が痛い…目もぼやけて見えづらいし

エリコ

3週間も眠ってたせいなのかな？

エリコ

ん？あそこにいるのってシンちゃんとメグだ

エリコ

まだ帰ってなかったんだ

エリコ

（何か話してるみたいだけど…）

メグ

ねえ、大丈夫だった？

メグ

私達のことばれてないよね？

シンちゃん

もう、本当のこと言ったほうがいいんじゃねえの？

メグ

それはダメだって！

シンちゃん

俺もう無理だよ！

エリコ

（…どういうこと？）

メグ

でもさあ

メグ

ショック受けて自殺でもされたら

メグ

責任取れないじゃん

エリコ

（もしかして、私が眠ってた3週間の間に二人は…）

エリコ

（ううん、そんなまさかね…）

シンちゃん

つーか、マジできつい

シンちゃん

さっきなんて、キスしてって迫られたよ！

メグ

うわっ、気持ち悪い。さすがに無理でしょ

シンちゃん

だろ？

エリコ

（二人ともひどい。メグも私のこと裏切ってたなんて）

エリコ

（それに人のことオバタリアン扱いして！）

エリコ

（私はピチピチの14歳よ）

メグ

これもボランティア活動だと思って、付き合ってあげなよ

エリコ

もう、我慢できない！

エリコ

ちょっとメグ！ふざけんなよ！

エリコ

私達マブダチだったじゃん

メグ

うそっ、今の聞いてたの？

メグ

痛いっ、やめて！

シンちゃん

メグに何すんだよ！ババア

エリコ

何でメグをかばうのよ！

シンちゃん

お前、キモイんだよ！調子に乗んなよ

シンちゃん

遺言だから仕方なく来てやったのに！

エリコ

えっ、遺言って何？

ジングウジ

二人とも後は僕から話すから、もう帰りなさい

エリコ

先生…

シンちゃん

わかりました

シンちゃん

メグ、もう行くぞ！

エリコ

イヤっ、待ってーーーーーーーー！

ジングウジ

少しは落ち着きましたか？

エリコ

はい…

ジングウジ

鎮静剤を打っておいたので

エリコ

先生、教えてください

エリコ

シンちゃんとメグは付き合ってるんですか？

エリコ

それにさっきの遺言って…

ジングウジ

君に話さないといけないことがあるんだ

エリコ

話さないといけないことって…

ジングウジ

目を覚ましたばかりの君には

ジングウジ

ショックが大きいと思って、黙っていたけど…

ジングウジ

手袋を外してみてください

エリコ

この手袋ですね

エリコ

えっ、私の手が…

エリコ

（しわとシミだらけで、おばあちゃんの手みたい…）

エリコ

何よ！これどうなってるの？

ジングウジ

眠ってたのは3週間だと言ったけど

ジングウジ

…本当はもっと長い間なんだ

ジングウジ

あの二人はシンイチさんとメグミさんのお孫さんです

エリコ

シンちゃんとメグは…

ジングウジ

あなたが目覚める数年前に亡くなりました

エリコ

イヤッ、そんなの嘘よ…

エリコ

嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、そんなの信じないからっっっ！！！！！！

ジングウジ

君の心は14歳のままかもしれないが

ジングウジ

君の身体はすでに90歳です

こっくりさん

作品ページ

この作品はいかがでしたか？

2,409

48件

電話が気軽に使える、オバタリアンって言葉の認知からして寝たきりになったのが80〜90年代？

「ピチピチの14歳」が何度読んでもクスッとする

テラーノベル

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

こっくりさん

第44話 - 3週間の眠り

作者の他の作品すべて見る

#ホラーの新着小説
一覧

関連するタグ

こっくりさん

第44話 - 3週間の眠り

作者の他の作品すべて見る

#ホラーの新着小説一覧

関連するタグ

#ホラーの新着小説
一覧