赤
さっきの慌ただしさとは一変し、病室は一気に静けさを増した
赤はスヤスヤと寝息を立てて、気持ちよさそうに寝ている
黄
うわ言のようにポツリと呟いてみる
だが、もちろんのこと、その言葉は誰にも届かない
黄
黄
ずっとずっと…ここ数年はこの件で悩まされっぱなしだ
赤をこうしたのは…僕な気がして
あの頃に…と思う僕は
相変わらず、弱かった
黄
黄
黄
赤のこと心配して、
一人の時は、自己嫌悪に陥って
それの繰り返し
黄
黄
黄
黄
今も寝てるであろう彼の頭を撫でると、僕は病室を後にした
赤
赤
ガチャっとドアが閉まる音が聞こえる
それは、いまさっきまでいた彼が帰ったことを指し示すには十分すぎた
赤
さっきまでいた彼は、俺よりもずっとずっと強い人
泣かないし、弱みも見せないし
俺の心配をしてくれている、優しい親友
そう思っていた
赤
実際の彼の姿を目の当たりにし、ここまで冷静を保っている俺を褒めたいほどだ
彼は、俺の思っているよりはるかに弱かった
ただ、それに絶句したというよりも、ここまで彼を追い詰めていた自分に絶望した
彼を追い詰めていたのは、紛れもない自分自身
その事実が頭にフラッシュバックしている
赤
赤
途端に襲ってくる頭痛と目眩に吐き気がした
赤
吐いた物は、殆どが胃液で、最近食事をまともに取っていないと知らせていた
赤
さっきの事実を頭から消し去りたくて、俺はナースコールを押した
こんな自分はいらないのだと、頭に刻みながら
コメント
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ブクマ失礼します。