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ユイ

やあ

レイジ

……

ユイ

ハロウィンの件から数日

ユイ

私の言いたいことわかった?

レイジ

……

レイジ

その前に俺からも聞かせてくれ

ユイ

どうぞ

レイジ

お前…何か知ってるだろ

レイジ

あの日のこと

ユイ

……

レイジ

俺はあの日…綾瀬が鏡に吸い込まれた日からずっと疑問だった

レイジ

俺が作った鏡は並行世界と現実世界を繋ぐ鏡だ

レイジ

異なる世界を「映す」のではなく、「接続する」装置

レイジ

もしこれが成功なら、世界そのものの理を覆せる。

レイジ

レイジ

確かに並行世界と現実世界の狭間の空間は存在するが、

レイジ

そこに閉じ込めるなんて機能つけた覚えがない

レイジ

…俺以外の誰かの仕業なのか?

ユイ

……

ユイ

ほんとに賢いね

ユイ

その通りだよ

レイジ

やはりか

レイジ

とはいえ俺の道具による影響だ、管理不足は俺だ

レイジ

記憶が抜けてたとはいえ、気づかず悪かった

レイジ

あの空間に閉じ込められた人のことは先生も周りの人間も忘れちまうんだ

レイジ

だけどそういう事件があったこと自体は覚えてる

ユイ

その人にまつわる記憶が抜けるのよね

レイジ

そうだな

レイジ

…誰の仕業なんだ

ユイ

……

公成

なぜだ!なぜできない!!

ユイ

…ごめんなさい

ガンッ!!

ユイ

うっ!!

ドゴッ!!ガンッ!!

ユイ

ぅぅ…はぁ、はぁ

公成

ユイには優秀に育って欲しいんだよ

公成

分かるだろう?

ユイ

はい

昔からそうだった。期待に応えられなければ暴言暴力

お母さんも精神病院送りに

でも私に才能がないと思ってからは、放置されるようになった

毎月特定の額のお金を机に置かれ、あとはご飯も学費も全て自分でやる。最低限生かしてくれてたのがマシだったくらいだ

公成

なるほど

公成

この空間は肉体の時間の進みが遅いのか

ああ、だが本人たちの様子をみるに、精神的には同じだけの時間異空間で過ごすことになる

公成

若い体のまま、つかえる人材をいつでもつかえるわけだ

精神の方がもつかが課題だが

公成

俺の催眠でどうとでもなる

公成

さっそく実験しよう

この恐ろしい実験の管理者は私の父だった

元々鏡の研究は進んでたけど、組織や研究所じゃなくて個人で開発したのはレイジくんが初めてだった

レイジくんの父がアナグノシスの一員だったこともあって、そのことは早くアナグノシスにバレた

…ついでに私がレヴェリオにいることも

公成

おお、久しぶりだなユイ

ユイ

…!!

公成

役たたずでも生かしといて正解だったよ

公成

貴重なサンプルだ

公成

さぁ、役に立ってくれ

ユイ

待って、やめて!他の人たちも解放して

ユイ

こんなこと――

説得は無駄だった

同時多発鏡事件のように、鏡にたくさんの人たちが吸い込まれた

ユイ

(出口は…どこ?)

ユイ

(見つからない…もしかしてずっと…)

レイジ

なるほどな

レイジ

鏡も改造されてたのか

ユイ

5億年ボタンって分かるでしょ?

ユイ

ああいうイメージかなぁ

ユイ

何も無い空間にずっと居なきゃいけなかった…1年だけだけどね

レイジ

今の話をふまえると、まだこの中に綾瀬以外の被害者も眠ってるんだな?

ユイ

うん

レイジ

あの時の記憶はあまり強く残ってないんだ

レイジ

だがたしかに複数人がつれてかれてた感覚がある

レイジ

なら俺が責任もって救わねえと

ユイ

ユイ

その責任っての…やめなよ

レイジ

え?

ユイ

レイジくんだって被害者なんだよ

ユイ

作ったものを利用されて、今責任を感じてるこの瞬間も…被害者なんだよ

レイジ

そんなこと――

ユイ

例えば武器を作ったら、その武器をどう使われてもその人の責任なの?

レイジ

それは…

ユイ

武器じゃなくて日用品だったら?包丁とかさ

レイジ

……

ユイ

作った人が責任を追わなきゃいけないなんておかしいよ

レイジ

(言いたいことは分かるが…)

レイジ

レイジ

だがこれはまだ未知のもんで

レイジ

リスクを想定しなかったのは発明者として――

ユイ

もっと気楽に考えて

ユイ

(全部あいつが悪いんだ…)

ユイ

ハロウィンのとき、レイジくんは解毒剤でみんなのことを救ったでしょ?

ユイ

発明は人を生かすことも殺すこともできる

レイジ

……

ユイ

私は、人を生かす発明をしてるレイジくんの方が

ユイ

楽しそうに見えたな

レイジ

それは…

ユイ

ねえレイジくん

ユイ

ユイ

もっと自分の楽しいと思える発明をして

ユイ

私はレイジくんを責めたりなんかしない

レイジ

レイジ

…ほんとに

ユイ

レイジ

ほんとに責めてねえのか?

ユイ

うん

レイジ

……

レイジ

レイジ

…それをはやく言えよ

レイジ

俺はてっきりずっと――

ユイ

あはは、恨んでると思った?

ユイ

ちょっといたずらだね

レイジ

ったく

ユイ

(恨んでなんかない)

ユイ

(むしろずっと――)

レイジ

レイジ

分かった

レイジ

それはそれとして、この鏡の研究はするぞ

ユイ

え?

レイジ

責任とかじゃねえ、助けたいから助けるんだ

レイジ

それならいいだろ?

ユイ

うん

ユイ

助けてあげて

ユイ

私も協力する

レイジ

おう

ユイ

きっといつか…レイジくんはみんなの希望になる

鏡の空間では外の世界は見えない

だけど「声」は聞こえてたよ

レイジ

誰かいるんだろ

レイジ

必ず助けてやる

ユイ

……

見えないけど…いるって思えた

私はきっと助かるかもって思えた

ユイ

(この声…同じクラスの…)

向こうは覚えてなかったかもしれない

でも私にとってはそれが唯一の希望だった

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