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日曜日の夕暮れ時 釉(ゆう)は買い出しのついでに 少しでも長く外にいるために散歩に出かけた
買い物が終わり 帰りの足が自然と向かったのは 近くの海辺だった
ベンチに座り 静かに日が沈んでいく海を眺める
両親が家にいないことはわかっていても 帰る気はしなかった
この場所の光と闇が入り混じる境界線が 今の自分には心地よかった
気が済むまで座っていると 空はすっかり闇に包まれ始めた
やがて 半月の月が姿を現し 夜空に一番星が瞬き始める
やがて 半月の月が姿を現し 夜空に一番星が瞬き始める
紫色に色づく空の下 すべてが濃い紺色に染まり 月と星の光が街を照らし出す。
ぼーっと考え事をしていると 不意に真後ろから声をかけられた
警察官
驚いて振り返ると 制服姿の警察官が立っていた
警察官
そう聞かれて秞はハッとした
もう補導されてもおかしくない時間帯だった
警察官
警察官
釉
警察に通報され 家に電話を入れられたらどうなるか
父親は怒鳴り暴力を振るうだろう
母親はいつものように 「瑠(るい)を見習いなさい」 冷たい言葉で突き放すだろう
そう考えると 恐怖で声が出なかった
警察官
釉が言葉に詰まっていると 砂浜の方から二つの 穏やかな声が聞こえてきた
振り返ると 柊星(しゅう)と颯叶(はやと)さんが こちらに向かって歩いてきていた。
二人は警察官に軽く会釈をする。
警察官は 怪訝な顔をして尋ねた
颯叶
柊星
警察官
その時
柊星が一歩前に 出て迷いのない声で答えた
柊星
警察官
颯叶
その言葉に釉は目を見開いた
釉
「弟」という温かくて、強い響き 続けて颯叶さんも口を開く
颯叶
颯叶
颯叶
二人の淀みない説明に 警察官は納得したようだ
警察官
警察官
警察官はそう言い残し その場を立ち去った
警察官の姿が見えなくなると 釉はすぐに二人に頭を下げた
釉
颯叶
柊星は優しく微笑む颯叶さんも
颯叶
軽く釉の肩を叩いた
柊星
柊星
釉
釉は二人が差し伸べてくれた光に心から感謝した
家に着くと リビングでは留がテレビを見ていた
留は釉の様子を察したように テレビから視線を移した
留
釉
釉
留
秞は慣れたように 嘘を混ぜて答える
留
釉
その質問でいつもの日常に戻る
釉
釉はそう答え
留と一緒に仲良く晩御飯の準備をした
オムライスを食べながら 学校の話や、テレビの話す
それは、どこにでもいる普通の兄弟の会話だった
この穏やかな時間が 釉の心の傷にそっと絆創膏を貼ってくれる
この穏やかな時間が 釉の心の傷にそっと 絆創膏を貼ってくれる
両親の暴力や 学校のいじめで 刻まれた心の闇を
この兄弟だけの 小さな安らぎの光が 一時的にではあるが
優しく遠ざけてくれるのだった
そして釉は また翌日からの生活のために安らかな眠りにつく
釉
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