いつからだっけ
いつから、私こんなに
__自分のこと嫌いになったんだっけ
ジリリリリリリ
綾音
うるさいアラームの音で目を覚ます。
私はこのアラームの音が大嫌いだ。
綾音
綾音
私の名前は久代 綾音(クシロ アヤネ)。
風弥(カザミ)高校の2年生。
地味で冴えない、 なんの取り柄もない女子高生。
寝ぼけ半分でベットから起きあがり、 鏡の前に立つ。
ボサボサの長い黒髪に眼鏡。
「陰キャ」を擬人化したような姿に、 自分でも笑ってしまう。
綾音
寝癖のついた黒髪を撫で、 そう呟いてみたが、
髪を切るつもりはない。
なぜなら、「彼女達」の気を 悪くしてしまうから。
松永
きつい香水の匂い。
男ウケしそうな 栗色のふわふわくるくるパーマ。
彼女はクラスメイトの 松永 りお(マツナガ リオ)。
このクラスの女子達を仕切る 「陽キャ」である。
綾音
松永
松永
彼女がそう言うと、 とりまき達が高い笑い声を上げた。
綾音
私が俯いてそう言うと、 彼女は満足そうに鼻を鳴らした。
松永
松永
綾音
松永
松永
ドンッ
いきなり背中を押され、 ドサリと床に倒れ込んでしまった。
松永
高い笑い声をあげる女達。
私はこいつらが、大嫌いだ。
綾音
逆らえない私が、大大大嫌いだ。
渡り廊下に設置された自販機に 早歩きで到着する。
綾音
綾音
私はこのように、彼女達のパシリをやらされている。
綾音
そんなことをぼーっと考えていると、後ろに人の気配を感じた。
龍夜
綾音
声をかけられ振り向くとそこには、
学校一のヤンキーと言われる、
___神城 龍夜(カンジョウ リュウヤ)が立っていた。
綾音
綾音
神城龍夜は全然学校に来ない。
神城龍夜は一応隣のクラスだが、
来たとしても、授業を真面目に取り組んでいるところは見たことがないし、
大抵3時間目ぐらいにはどこかに消えてしまっている。
龍夜
綾音
龍夜
どうやら神城龍夜が用があるのは、私ではなく、自販機のようだった。
綾音
慌てて自販機から離れ、頭を下げる。
龍夜
綾音
綾音
朝から教室で盛大にコケて、パシリさせられて、
学校一のヤンキーに舌打ちされてしまった。
綾音
龍夜
綾音
泣きそうになりながら俯いていると、再び声をかけられた。
龍夜
綾音
意図不明の質問に混乱しながらも必死に答える。
龍夜
綾音
慌てて自販機を覗き込むと、ミルクティには売り切れの赤字が光っていた。
綾音
龍夜
綾音
綾音
一生関わることのないと思っていた人物との会話に、
私は内心とても緊張していた。
龍夜
綾音
図星をつかれてグサッと胸に刺さる。
龍夜
神城はそう言い残すと、サイダーを購入して立ち去って行った。
綾音
綾音
私って、だっさい.......
綾音
学校から帰って来て、布団にくるまって、今日のことを振り返る。
結局、違うメーカーのミルクティを買ってきて、松永さん達に怒られてしまった。
綾音
綾音
茶色く染めた髪に大量のピアス。
切れ長の目は相手を怯ませる迫力がある。
整った顔は1部から高い評価を受けていて、ファンまでいるとか。
綾音
だっさ。
言われた言葉が頭に蘇る。
綾音
私はもう一度布団を深く被り直した。
松永
綾音
松永
松永
松永さんが私に詰め寄る。
綾音
松永
綾音
綾音
松永
じりじりとまわりをとりまき達に囲まれる。
今にも暴力を振るわれそうな目線を浴びせられ、
私は助けを求めてまわりのクラスメイトを見る。
綾音
「見て見ぬふり」。
誰もが気づいていないふり。 関係ない、知らない、と言わんばかりにお喋りを続けている。
綾音
綾音
そう思った時だった。
ガゴンッ
松永
教室のドアから、ミルクティが飛んできて、松永さんの頭に直撃。
誰もが教室のドアを見やるとそこには、
_____神城龍夜が立っていた。
コメント
2件
気づかずにすみません!ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします😘
続きみたいです!楽しみにしてます!