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kr
tr
俺がそっと声をかけると、彼……trは すぐに振り向いてくれる。
俺はそんな彼が大好きだ。
……彼の左の薬指に輝く、それの存在を 知っていても。
kr
tr
tr
彼は少し困ったように笑ってそう言う。
kr
tr
俺が付け足すと、trは素っ頓狂な表情で俺をまっすぐ見つめる。
……分かってた。
kr
kr
俺はにこりと笑って言う。
彼に軽く抱きついてから、その場を去ろうとした。
tr
kr
……彼は顔を真っ赤にして泣いていた。
kr
俺は焦った。
焦って必死に弁明した。
いつもにぎやかな彼が、ずっと黙って涙を流しているのは珍しくて。
怖くて、申し訳なくて、でもちょっぴり嬉しくて。
そんな自分をもっと嫌いになりそうで……
いや、もうなってるんだけど。
彼は何も言えずにただただ泣いていた。
俺も、そのうち何も言えなくなって、 情けなさに泣きたくなっていた。
……しばらくして、彼はようやく落ち着いたのか、恐る恐るといった様子で口を開いた。
tr
……衝撃的な事実に驚きを隠せなくて、俺はただただ黙って突っ立っていた。
でも、それでも過去形なのが、俺の ぐじゃぐじゃな胸をもっとぐじゃぐじゃに抉った。
tr
消え入りそうな声で彼は言った。
……俺がもっと早く告白していれば、俺の恋は叶っていたってこと?
どうしようもない想いが 溢れだしてくる。
その思いを抑え込もうと自分を責めた。
どうしてもっと早く言わなかったんだ、 この臆病者が
trは待っててくれたのに……?
今思えばそうだ、trはお付き合いするってときも結婚するってときも、真っ先に俺に報告してくれた。
俺がリーダーだからだと思っていた。
けど、違った。
俺はずっとずっと自分を責めた。
責めても責めても想いは止まらなくて、涙になって外に溢れ出ていった。
tr
やっと治まったのに、trの涙はまた溢れてしまった。
kr
俺はtrを強く抱きしめて泣き続けた。
俺はkrさんが好きだった。
……いや、正確に言うと今も好きだ。
結婚しても尚、krさんへの想いは 変わらない。
変わってくれない。
妻への罪悪感はとんでもないほど 馬鹿デカいものだ。
でも、それでも、俺は何処か、krさんが 俺を奪ってくれるのを期待していた。
kr
……だから、そう言われた瞬間、俺の心臓はこれでもかってぐらい大きく跳ねた。
いつもよりもどこか真剣な顔だったから、なおさら。
でも、この想いはもう叶わないって分かってるから。
tr
tr
笑いながら返事をする。
あぁ、もっと早く言ってくれていたら、 なーんて……
でも、どんな意味だったとしても、貴方から好かれているのは、どこか苦しいようで、嬉しいようで、
複雑で幸せだから。
kr
tr
彼の更なる付け足しを聞いた瞬間、俺は死ぬんじゃないかってぐらいの衝撃で、
胸が苦しくなって、頭の中が真っ白になって、苦しかった。
もう、叶わないと思っていたのに。
だって、あの時も……
tr
俺が結婚の報告をしたときだって、貴方は笑って言ったじゃないか。
kr
……って。
控えめに、それでもまるで自分の幸せのように、
にこにこと笑いながら、何度も何度も、 「おめでとう」って。
あの時も、貴方は自分の気持ちを押し殺していたと言うの?
……俺が最初から気持ちを伝えていればよかった?
そうすればすれ違いせず両想いになれてたのに?
なのに俺は、自分で、まだ叶うはずの自分の気持ちを押し殺して。
krほどの愛はないと言うのに、自分を好いてくれた彼女と、
貴方に嫌だと言われて、俺を選んでと言われることを望んで、結婚した。
俺は彼女を、自分の恋の最後の希望を掴むための踏み台にした。
それは結局、叶わなかったのに。
俺は、俺が臆病なせいで、彼女の愛を踏みにじった。
最低だ、俺。
kr
彼の言葉で、俺はようやく現実に引き戻された。
どうしようもない、言葉にできない複雑な想いが、
自分を責めるだけじゃ抑えきれずに、涙として溢れ出ていた。
あぁ、これは止められないな。と俺は思った。
まるで貴方への想いみたいだ。
kr
焦って弁明しようとする貴方の言葉なんて、もう頭に入ってこない。
ごめんなさい、臆病者で。
俺はひたすら涙を流していた。
……しばらくしてようやく気持ちが落ち着いてくると、俺は彼に言った。
tr
わざと過去形にしたのは何でなんだろう。
その言葉を聞いて、彼は目を見開き何もしゃべらなくなった。
……さっきの俺と同じだ。
tr
次第にまたあの気持ちが込み上げてきて、俺は涙声でそう呟いた。
彼は次第に涙を流し始めた。
彼の泣き様は、なんというか、想像通りというか、とても儚くて美しくて。
俺のせいでこんな醜態を晒す事になっている彼に、ちょっぴり罪悪感みたいなものが湧いた。
tr
貰い涙っていうのか、結局俺は堪え切れなくなってまた泣いてしまった。
kr
彼は俺を強く抱き締めてずっと泣いていた。
kr
彼は泣いている間ずぅっと謝りっぱなしだった。
……あぁ、そんなに自分を責めないで。
貴方は何も悪くないのに。
……いや、どっちもどっちか。
tr
貴方も俺も、嫌われるのが怖いからって、ほんの1歩踏み出すことが出来なかったんだから同類。
なんだか共犯者みたい。
俺はそんなくだらない事でも嬉しくなって、思わず
tr
と、笑い声を零してしまった。
kr
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tr
kr
彼はくすくすと優しく笑っていた。
tr
kr
俺が思わず呟くと、彼はほんのり頬を赤らめて固まってしまった。
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俺もなんだか恥ずかしくなって、そのうち2人で思いっきり笑い始めた。
「かわいい」だの「照れちゃう」だの、2人で散々言い合って笑いあって、そのうち涙も出てきた。
いろいろごっちゃになった感情を、思いっきり吐き出していた。
この時だけは、今までの罪が許されてもいい気がした。ダメだけど。
我
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浮気・NTR?要素!!!
不穏!!!(我の大好物)
良ければ進め!!!
しきりに笑って、泣いて、2人の気持ちがおさまった時、俺らはお互いじっと見つめあった。
kr
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彼はそこで言い詰まった。
tr
俺らは見つめあって、そのうち「ふっ」と吹き出した。
kr
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どこか楽しそうに、けれどやっぱり苦しそうに彼は言った。
kr
kr
幸せそうな顔で彼は呟く。
そんな彼の顔を見て、俺の顔も自然とほころぶ。
kr
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krさんは、さっきまでとは違い、どこか希望を持った明るい顔をしていた。
俺も、なんだか妻への罪悪感が、ほんのり軽くなったような気がした。
いけない事だけど。
tr
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自嘲気味に笑って俺は答えた。
kr
さも嬉しそうに笑って、彼は手を重ねてきた。
あぁ、そんなこと言われたら、罪悪感よりも幸せの方が勝ってしまうじゃないか。
俺はこれ以上ない後ろめたさと、それを上回る幸せで心が満たされた。
しばらく2人ではにかみあっていると、krさんは急に俺の手を取り、真剣な顔で言った。
kr
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俺はとても嬉しくなった。
だって、ずっと望んでいた言葉をもらえたのだから。
でも、今の俺にはもう妻もいる。
別の人を想っている時点であれだけど、それでも、やっぱり抵抗感が生まれた。
kr
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彼の目はまっすぐと俺を見据えていた。
……それでも、俺は決められなかった。
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俺は情けなくて、なんだか泣きそうになりながら彼の目を見据え返して訊いた。
すると、彼はにっこりと笑って言った。
kr
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そういうと、彼はどこからか取り出したハンカチを、
俺の口元に押し当てた。
tr
kr
kr
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俺は意識を失う直前、幸せそうに、そして不気味に笑う彼の瞳から光が消え失せるのを見た。
……あぁ、
俺はとんでもない人を 好きになってしまったみたいだ!!
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