🎶ミクミクミク〜ミクミクミ〜
神代
いらっしゃいませ〜
冬弥
こんにちは、
神代
あ、青柳さん!また来てくれたんですね!
冬弥
ええ、まぁ…
冬弥
(課題…終わりそうにないな。今日も徹夜か……)
冬弥
(「愛」…色々あるが…)
冬弥
(全く分からない…このままじゃまずいな…)
冬弥
これ…お願いします。
神代
はい。お買い上げありがとうございます。
神代
…元気ないですね。寝てないんですか?
冬弥
えっ?
神代
忙しいのも分かりますけど、睡眠は取らなきゃ駄目ですよ。コーヒー、おまけしときますね。
冬弥
え、あ、ありがとうございます…!
神代
無理しないでくださいね。
冬弥
!
人にこんな風に声をかけられたのは久しぶりだった。
冬弥
…ありがとう、ございます。
神代
ふふ、またいつでもお越しくださいね。
「愛」…
俺は机の上に置きっぱなしにしていた鉛筆を手に取った。
冬弥
(今の俺のこれは…)
少なくとも「愛」ではない。
けど、
冬弥
(>\._.)カキカキ...
1週間振りに筆が進んだ。
○○音楽大学
冬弥
(♪〜、ここのフレーズは…)
冬弥
(こう…♪ー…か、♪♪〜か…)
司
冬弥ー!!
冬弥
司先輩!
司
お、進んでるじゃないか!
冬弥
ええ。昨日からやっと。
司
俺もやっと1枚書き終わったんだ!
冬弥
流石先輩!もう書き終わったんですね!
司
ああ!しかし、まだ悩んでるフレーズも多くてな…
冬弥
分かります。
司
♪♪〜……ここをもう少し盛り上げたいんだが…
冬弥
…なら、ここを半音上げて…
司
ふむふむ、
司
ありがとう、冬弥!非常に参考になった!
冬弥
いえ、お役に立てたなら良かったです。
司
♪〜♪♪ー…
冬弥
(俺も先輩の譜面を見ていい刺激をもらった)
冬弥
(先輩は…誰を思ってあれを書いてるのだろうか…)
🎶ミクミクミク〜ミクミクミ〜
東雲
いらっしゃいませー
司
♪♪ー♪〜♪♪〜…
東雲
あれ、新しい曲っすか?
司
ああ、やっと新しいフレーズが完成したんだ。
東雲
へー。いいっすね、なんか楽しい曲調で。
司
ああ!ここは冬弥にもアドバイスをもらってな。
東雲
てことは、青柳さんも曲作ってるんですか?
司
ああ。だいぶ書き進めてたぞ。
東雲
へ〜。テーマ「愛」でしたっけ?
司
ああ。難しいテーマだよな…
東雲
…それは恋人を思って書いたりしたんすか?
司
ん?いや、恋人は残念ながらおらん。
司
この曲は…俺の片想いの曲だからな。
東雲
えっ、好きな人いるんすか?!
東雲
しかも片想いかぁ〜、しんどいっすよねぇ…
司
まぁな。
東雲
俺恋バナ好きだし、全然話とか聞きますよ。
司
ははっ、お前は恋愛経験豊富そうだな。
東雲
えー、そんな事ないっすよー
東雲
別に今は彼女とかいないしー
司
む、そうなのか。
東雲
そーそー。だから今は恋人募集中なんすよw
司
ほぅ……
司
あ、いつものタバコ頼む。
東雲
えー、またっすか〜?
司
片想いが成就するまでは、辞める気はないからな。
東雲
えー
東雲
……ま、程々にして下さいね。
東雲
はい、いつものっす。お買い上げありがとうございました。
冬弥
♪ー、♪♪〜♪ー…
冬弥
(ここのフレーズが気に入らないな…)
神代
綺麗な曲ですね。何の曲ですか?
冬弥
わっ!?
神代
あ、すみません。今からシフトなんです。
神代
丁度見かけたから…つい。
冬弥
い、いえ……
冬弥
これは、えと、自分で…
神代
え!?作曲されてるんですか?!
冬弥
はい。学校の課題で…
神代
へぇ…!凄いですね!
冬弥
あ、ありがとうございます。
神代
えっと…音楽大学でしたよね?何の楽器されるんですか?
冬弥
バイオリンとピアノを…
神代
わぁ…!カッコイイですね!ふふ、1回で良いから聞いてみたいですね。
冬弥
あ…もし、この曲が完成したら…是非、
神代
え、いいんですか?
冬弥
はい。こんなので良ければ…
神代
聞きたいです!
神代
ふふ、僕ミュージカルとか音楽好きで、良く聞いたりするんですよ。
冬弥
そ、そうなんですか?!
神代
ええ。昔はピアノもやってたんですよ。…辞めちゃいましたけど。
冬弥
そうなんですか…
神代
じゃあ曲、完成したらぜひ聞かせて下さいね。
冬弥
は、はい!勿論…!
神代
あ、えーっと、今日もコーヒー買われていきます?
冬弥
あ、はい。コーヒーと夕食を…
神代
最近ずっとお弁当じゃないですか?
神代
お弁当も美味しいけど、そればっかりじゃ栄養偏りますよ。
冬弥
うっ…えと、自炊が出来なくて…
神代
うーん…あ、良かったら何か作ってきましょうか?
冬弥
え?
神代
あ、でも見ず知らずの人のご飯は怖いですよね…
冬弥
い、いえ!そんな事ないですけど…!
冬弥
でも…それは神代さんに迷惑が…
神代
大丈夫です!一人暮らしだし、時間はありますから。
神代
好きな料理とか教えて下されば、明日から作って来ますよ。
冬弥
好きな料理…イカ以外ならなんでも好きです。
神代
分かりました!なら、明日持ってきますね!
冬弥
ほ、本当にいいんですか?
神代
もちろんです!
東雲
あ、先輩!遅いと思ったら…時間過ぎてますよー
神代
わっ!ごめんね!
東雲
あれ、青柳さんちーっす。
冬弥
あ、こんにちは…
神代
青柳さん!また明日待ってますね!
冬弥
あ、え、はい!
冬弥
…あ、コーヒー…
冬弥
……今日はいいか。
神代
ごめんね、遅れちゃって。
東雲
大丈夫っすよ。この時間は客少ないし。
東雲
それに、先輩が遅刻なんて珍しいし〜
神代
ちょっと話し込んじゃって…
東雲
あー、青柳さんと?
東雲
「明日待ってる」って、何か約束したんすか?
神代
え!?あ、いや、ちょっとね…
東雲
ふーん?
神代
もう、何でもないってば…!
東雲
へぇ〜w
「綺麗な曲ですね!」
「完成したらぜひ聞かせて下さいね!」
冬弥
……はぁぁぁあ
この初めて感じた感情の答えは、思ったよりすんなりと口から出た。
冬弥
好きだ……
冬弥
?!
冬弥
え、今、俺は何て…?
冬弥
好き……って言ったのか?
冬弥
俺は……神代さんが好きなのか…?
冬弥
〜〜……!
冬弥
そうか……
神代
(勢いで作ってくるなんて言っちゃったけど……)
神代
(やっぱり迷惑だったかな?)
神代
(いや…でも何か放っておけないんだよなぁ…)
神代
まぁ…いらないって言われたら…その時はその時だね。
神代
何作ろっかなぁ〜
続く