『最期に見えた君の泣き顔は美しい＿｡』

きっと目は覚ましていない。

分かってるけど、もし起きてたらって想像してしまう。

...そんな自分が嫌いだ

起きてる訳無いか...

...ゆあんくんも期待してたくせに

俺はたっつんの手を握った。

...前より、少し冷たくなった気がする

そう言ってゆあんはたっつんから視線を外した。

俺はたっつんの手を暖めた。

...本当に冷たい

ちらっと心電図を見る。

ちゃんとまだ動いている。

でも、いつ止まってもおかしくなさそうだ。

...どうして...もっと傍に居ないんだろう。

いつ居なくなるか分からないのに。

...ゆあんくんはまだ

少しでも悲しみにくれないようにしてるのかな

....怖いのは、分かるけど

だからこそ一緒に居てあげた方が、良いんじゃないかな

俺がふと視線を上げると、もうゆあんは居なかった。

また...たっつんと2人だけの空間が生まれた。

この時間はどうにも早く感じる。

...本当に、＂意味が分からない＂

届くはずもない言葉が、ふと口から漏れる。

...前まで、俺こんな性格だったっけ

夢なんか見てなくて、現実逃避なんかした事無くて

いつも現実ばっか見てたのに...今は違う。

現実逃避ばっかして、夢しか見なくて

...目の前の現実から逃げている。

たっつんが隣に居るようになってから、要らない感情が山ほど生まれた。

...そんなのされたら

きっともう手遅れだ。

たっつんが居なくなったら、隣に空白が出来る。

誰かが代わりになんて出来ない、たっつんだけの場所

そうやって俺はたっつんの小指に自分の小指を絡まらせた。

...冷たくて小さい

、いつ居なくなるか分からないほど、弱々しい手だ

...たっつんはいつ居なくなるんだろう

...どうやったら、たっつんは生きてられるんだろう

いっその事、病気を俺に移すとか、

...きっと、たっつんに怒られる

、もう、どうすればいいか分からない。

...俺が知らない彼奴が出てくる夢だ

あの夢、もう見たくないんだけどな

でもどうせきっとその夢を見る

たっつんが居なくならない限り

...もう本当に疲れた

...こんな愚痴を聞いてもくれない神が嫌いだ

いつも通りの真っ暗空間。

...どうせまた

...もう君の事なんか

...え？

＂好き＂って言葉を...

目の前の彼奴は急に泣き出した。

笑いながら、何度も目を擦っている。

...何でだろう

今は、、

＂本当のたっつんに見える＂

...俺、好きだったんだ

たっつんの事...

...初めて会った時は知り合い感覚だった。

でも、

月日が経つ度に、変な感情が芽生えてきて

俺に無かった笑顔も多くなって、

...友達でも親友でも無かったんだ

俺は少し前から、

たっつんと＂好き＂という感情で関わってたんだ、

そう言って、＂たっつん＂は俺を突き落とした。

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡2000

次回予告

Episode19『問いの答え』

たっつん！

...俺が病室に入った瞬間、吐きそうになる

...っえ

...

『じゃあな』