テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
100
345
ぴぴ#fukz信者(?)
1,849
次の日は、のあさんの仕事に付き添うことになった。
るな
のあ
朝、アジトを出る前に、のあさんはそう前置きしてくれた。その柔らかい声色からは、これから起きることの重さが、まるで想像できなかった。
任務内容は、とある有名企業の社長の暗殺。しかものあさんは、もう数週間前からこの日のために仕込みを重ね、その社長の秘書として働き、すでに厚い信頼を勝ち取っているのだという。 ビルの前で車を降りると、のあさんの雰囲気が、すっと変わった。柔らかい笑顔はそのままなのに、纏う空気だけが、まるで別人のように張り詰めていく。
のあ
小さくそう言い残してのあさんは社員証を提示し、当たり前のように社内へ入って行った。
私は、あらかじめ手はずが整えられていた屋根裏から、こっそりと様子を覗かせてもらうことになった。 狭い空間から見下ろす社長室は、遠く小さく、けれど不思議なくらいはっきりと見えた。 しばらくは、何も起こらなかった。陽菜さんは資料を運び、スケジュールを確認し、いつも通りの秘書として、淡々と業務をこなしていた。 動きがあったのは、社長にお茶を運んだ、その一瞬だった。 誰にも気づかれないほど自然な仕草で、湯呑みに何かをさっと混ぜる。 もふさんとなおきりさんが特製したという、脳卒中に見せかけられる、証拠の残らない毒だという。 それからしばらく経って――社長が、デスクの上に崩れ落ちた。 その瞬間、のあさんは弾かれたように駆け寄った。 震える声で名前を呼び、救急車を要請し、涙を流しながら周囲に助けを求める。その姿は、本当に、心から慌てふためく秘書そのものだった。 誰ひとりとして、その姿を疑う人はいなかった。 後日、社長は帰らぬ人となった。のあさんはそのショックで体調を崩し、寝込んでしまったことにして、そのまま静かに会社を退職したことになったらしい。 周囲から見れば、それはただ、不運な社長と、その死を深く悲しんだ秘書。それ以上でも、それ以下でもない。 あまりにも、鮮やかな手口だった。 屋根裏から見ていた私は、しばらく声も出せなかった。あの、優しくて食いしん坊で、いつも私を気にかけてくれるのあさんと、今見た光景が――どうしても、うまく重ならなかった。
アジトに戻る車の中、ようやく私は口を開いた
るな
心からそう伝えたつもりだった。けれど、のたさんは困ったように、小さく笑った。
のあ
るな
のあ
窓の外を見つめながら、のあさんは静かに続けた
のあ
その声には、自分を卑下するような響きが滲んでいた。 いつも周りを気遣い、朗らかに笑っているのあさんの、初めて見る一面だった。 けれど、私にはどうしても、そうは思えなかった。
るな
思わず、口をついて出た
るな
るな
のあさんは、少し驚いたように目を丸くした。それから、ふわりと、いつもの柔らかい笑みを浮かべた。
のあ
のあ
その横顔には、さっきまでの陰りは、もうどこにもなかった。
るな
コメント
1件
**みぅ🤍🥀の感想** のあさんの二面性、すごくゾクゾクしました……。普段の食いしん坊で優しい姿とのギャップが、怖いくらい綺麗で。何週間もかけて信頼を積み上げて疑われないように振る舞うって、本当に並大抵の精神力じゃできないと思う。 それなのに「自分は弱いから」って卑下するところに、グッときました。るなちゃんが「かっこよかった」って真っ直ぐ伝えたシーン、すごく良かった。のあさんの心に届いてる感じがして、私もほっとした🌙